やる気になれば誰でも挑戦できる
イノベーションを引き起こし、ゼロから市場を開拓する、急成長を狙う企業体を「スタートアップ」と呼ぶ。日本では、ベンチャーという用語が広く使われているが、スタートアップは、より挑戦的に成長を目指すというニュアンスがある。社会に大きな変革をもたらすには、ある程度の規模が必要だ。中小企業にとどまらず、果敢に挑戦し続けるのがスタートアップである。
現在、起業するハードルが下がり、スタートアップはすべての人にとって、それほど遠い話ではなく、やる気になれば誰でも挑戦できるようになった。自分の技術やアイデア、経験を活かして、ワクワクするようなプロジェクトを起こすことは楽しいし、とてもやり甲斐のあることだ。そして、自分たちが生み出した製品やサービスを誰かが喜んでくれたり、社会の役に立つことが直接的に実感できたら、これこそ自分がやるべき仕事と思えるのではないだろうか。起業とは特別難しいものではなく、自己実現の手段であり、自分の能力で社会に貢献できる直接的方法だ。
新しいレールをつくる側に回ろう
日本では、一般的に良い大学に入り、大企業に就職するというレールに乗った人生をまずは考えるのが普通だろう。日本の高度経済成長時代には、あらゆる産業が右肩上がりで成長しており、優秀な人材を大企業が獲得して、研究開発を行い、製品やサービスを開発し、継続して改良することによって、事業を拡大することができた。しかし、そうした時代は終わりを迎え、大きな変革のタイミングを迎えている。新しいテクノロジーによって既存の産業に軋みが生まれたり、隙間ができたり、全く新しい分野が立ち上がりつつある。変化を先取りして、新しいことにいち早く取り組む多くのチャレンジが望まれている。
今の大企業も昔はスタートアップだったことを思い出そう。大企業においても、新規事業の創出が課題になっている。既存事業の延長線上にない新規事業や、既存事業を脅かすかもしれない新しいビジネスモデルに取り組む必要がある。大企業に入ってレールに乗っかるばかりでは、この国の発展はままならない。新しいレールをつくる側に回ろう。
まずはやってみることだ
スタートアップを始めるための訓練として何をすれば良いのか。何か少しでも興味のあるテーマを選んでプロジェクトを企画し、実行することをオススメする。「プロジェクト」とは、目的を設定して計画を立て、チームを作って推進し、ゴールを達成することである。友達が始めた面白そうなプロジェクトに参加するのも悪くない。
そもそも最初から自分のやりたいことをはっきりと持っている人の方が少ないのではないか。情熱の持てるテーマで起業を考えようと言われても、そんなに強い興味のあるものがまだ決まっていないというのが、むしろ普通である。では、どうすれば良いのか。まずはやってみることだ。スポーツでも何でもやってみて初めて好きになる。好きになると、どんどんのめり込んで詳しくなり、色々なアイデアも出てくる。やる気と情熱が湧いてきて、自信もついてくる。やりたいことは突然天から降ってくるものではない。何かを始めるきっかけとは、最初は気の進まなかった友達の誘いとか、頼まれて仕方なく始めたプロジェクトとか、意外とそんなものだ。