宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。

発刊
2018年3月20日
ページ数
221ページ
読了目安
214分
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誰でもできるリーダーシップの磨き方
漫画『宇宙兄弟』の主人公を題材に、リーダーシップとは何か、どのようにリーダーシップを発揮すればよいのかを紹介している一冊。

「Want思考」でリーダーシップを磨く

リーダーシップは、チームや組織を束ねるポジションにいるかどうかに関係なく、組織に所属するすべての人たちが発揮できる。従来の「リーダーは常に固定された人物」という考え方ではなく、チーム全員がリーダーであり、状況に応じて誰かがリーダーシップを発揮する。

リーダーシップを磨く方法は、「〜したい(Want)」という自分の意志を、周囲に発信することである。しかし、実際の世の中は「Sould(〜しなければならない)」で溢れている。

・勉強をしなければならない
・その仕事をやらなければならない

我々は「〜しなければならない」と言われ続け、あらゆる課題に追われている。結果、「What思考」が麻痺状態に陥っている。まずは日常生活の中で「私は、〇〇したい」という感情を掘り起こすこと。「Want」がクリアになれば、そのためにはどう動けば良いのかも明確になる。

「Want」を発信する場を探す

「Want」を発信しているにもかかわらずフォロワーが現れない場合、その要因の1つとして、伝えるべき人に伝わっていないという可能性がある。「自分のWantに共感してくれる人はどこにいるのか」を見直してみると、発信するべき場所が見えてくる。

物事を「Want」で語る習慣を身につけることでリーダーシップは磨かれていくが、そのすべてが叶うわけではない。反対意見も出るし、それによって議論が起こることもある。注意したいのは、「Want」や夢を頭ごなしに否定する「ドリームキラー」という存在。彼らは、「そんなの無理だよ」「やめておきなよ」といった言葉で、「Want」を打ち消していく。ドリームキラーに関しては、理解してもらおうと無理に対処する必要はない。受け流しておけば十分で、相手の言葉に振り回されないことが重要である。

「Why」によって人を動かす

人の心を動かすのは。「支配」ではなく「共感」である。人々から共感を得るには、物事を次の順番で考えて伝える。

①Why(なぜ、なんのために)
②How(どうやって)
③What(何を)

「What」や「How」は、理解はできても共感はできない。人は「何に」ではなく、「なぜ」に動かされる。共感されるリーダーシップを発揮するためには、「Why」をしっかりと認識しておくことが大切である。

愚者風リーダーシップのススメ

リーダーシップには大きく分けて2つのタイプがある。

①賢者風
頭脳明晰で決断力に長け、先頭に立ってみんなを引っ張りながらチームをまとめていく。「リーダーとはこうあるべき」という明確な観念があるので、その理想像に自分を寄せていくために惜しみない努力をする。

②愚者風
先頭に立って引っ張るというよりは、「どうすればいいと思う?」と、チームや相手の意見を聞きたがる。具体的なアクションについても、指示や命令ではなく、「私はこうしたい・こうして欲しい」といったニュアンスで伝える。また、自分が完璧でないことを理解しているので、相手にも完璧を求めないし、競争での勝ち負けや優劣をつけることに価値を置かず、常にフラット。

賢者風と愚者風、どちらが正しいというわけではない。しかし、賢者風リーダーシップを発揮するには、「しんどい」が常につきまとう。自分が優秀であることを自負しているため、周囲に対しても同等の評価を求める。そこにギャップがあると、「正しく評価されていない」と、大きなストレスになってしまう。一方、愚者風リーダーシップのいいところは、この「しんどい」がない。

リーダーの仕事は、メンバーを仕切ったり、命令したりすることではない。「リード」することである。愚者風リーダーシップは意外な効果を発揮し、仲間たちの心を動かす。