Mood Shift

発刊
2026年5月27日
ページ数
358ページ
読了目安
458分
推薦ポイント 8P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

感情をコントロールするための方法
感情が発生することは避けられないが、発生した感情をコントロールすることはできる。
ネガティブな感情をただ避けるのではなく、それに対して感情を受け止め、コントロールするための考え方と手法が紹介されています。

多くの人が、湧き出てきた感情に対して、自動操縦の状態にしており、管理していないとし、感情をコントロールすることの有効性を説いています。

感情をコントロールすることが重要

私たちは、ほぼ絶え間なく何らかの感情を抱いている。ある研究では、被験者は90%以上の時間、1つ以上の感情を経験していると回答している。感情は行動の重要な支柱でもあり、良くも悪くも私たちの進み道を決定し、人生を左右する。

 

感情とは、自分にとって意味のある経験に対する反応であり、状況にうまく対処するための道具である。ほとんどの人は、喜びや興奮といった感情を心ゆくまで味わうのに対し、恐怖や恥といったネガティブな感情は避けようとする。しかし、ネガティブな感情は適度に経験される限りは、私たちの人生によって欠かせないものだ。不安は、目の前の脅威に近づくか回避するかについて適切な対応を促し、厄介な事態を乗り切れるようにしてくれる。悲しみは、内省が必要な瞬間に生理的に自分を落ち着かせ、それによって、喪失を惜しみ、失われたものとの間に残る繋がりを強める時間を与えてくれる。

 

私たちが感情を持つように進化したのは、それが役立つからだ。一方で、感情は逆の効果をもたらすこともある。健康を害し、パフォーマンスを低下させ、人間関係に問題を引き起こしている。そのため、時には感情のスイッチを切りたくもなるが、成功をもたらすのは、どんな瞬間であれ、感情のスイッチを切ることではなく、感情を巧みに利用し、感情に完全に支配されないようにする方法を理解することだ。

感情的な反応の軌道を、加速させたり、減速させたり、その強さを変えたりすることによって調整することを「感情制御」と呼ぶ。目指すべきは、あらゆる感情を経験し、学び、必要に応じてある感情状態から別の感情状態へと軽やかに移動していくことだ。

 

感情への反応は変えられる

私たちの感情には反射神経と同様の自動性が備わっている。感情のプロセスの最初の部分「トリガー(引き金)」については制御できない。これは周囲の世界の別の側面をコントロールできないのと同じである。トリガーが発生すれば、私たちの感情の自動的な反応が即座に続くことになる。しかし、これは感情の方程式の半分に過ぎない。

 

感情の出現は単なる始まりに過ぎない。私たちの行動、発言、思考こそが、感情反応の継続的な性質と経過を左右する。私たちは認知制御の能力を持つため、自動的な反応を調節し、抽象的に思考し、注意をそらし、様々な優先事項に応じて思考を切り替えることができる。つまり、私たちは感情をコントロールすることによって問題を解決し、安全を確保し、他者と親密な絆を築くことができる。感情を制御する能力は、人類全体が共有する能力である。

 

感情を制御するためのツール

私たちの内部には、感情制御ツール「シフター(変換装置)」が備わっている。これらのシフターは、私たちがある精神状態から別の精神状態へと移行するのを助け、私たちは感情を落ち着かせることもできれば、高揚させることもできる。

 

①感覚のシフター:感覚の根源的な力を利用する

見る、味わう、触る、聞く、嗅ぐという私たちの能力は、感情のレバーとして機能する。感情をコントロールすることは往々にして困難だが、感覚という原始的な経路を利用すれば、比較的少ない努力で感情を転換できる。私たちは感情のレベルを上げ下げするために、意識的に感覚を活用する必要がある。

どの感覚が、自分にとって有効なのかを知ることが最初の一歩だ。意識して使ってみたい感覚のシフターをいくつか見つけ、試用してみるといい。

 

②注意力のシフター:注意力を柔軟に操る

注意とは、どんな情報を自分の意識に取り込むかを決める心のスポットライトだ。ほとんどの場合、このスポットライトは自動操縦になっている。私たちは、状況に応じて様々な程度で注意を向けたり操作したりできる。そして、何に注意を向けるかは、私たちの感情的経験を大きく左右する。その時の背景や要求に応じて、注意力を柔軟に配分し、問題に向き合うか回避するかを変えるのだ。注意力を賢く使うための普遍的なルールは存在しない。本当に重要なのは、柔軟に対応する能力だ。

 

③視点のシフター:視点を変える

注意力が何を見るかを決めるとすれば、視点はそれらをどう見るかを左右する。状況をリフレーミングするには、別の視点から対象を見つめ直し、それに関する考え方を転換する必要がある。

「あなた」という言葉を使って、無言で自分自身を指すことを「距離を置いた自己対話」と呼ぶ。「あなた」という言葉を使って自分に話しかけることで、自分を「他の誰か」の役につける。自分の置かれた状況を別の視点から見て、感じることができるのだ。

感情をリフレーミングしようとする際に距離を置いた言葉を使うほど、その効果が高まることが示されている。

参考文献・紹介書籍