他人の声に反応しなくて済む時間をつくる
私たちには本来、子供の頃から「内発的動機」が備わっている。誰かに頼まれたり指示されたりしなくても、それ自体が面白いからやっている。しかし、ソーシャルノイズ(社会的騒音)は私たちの内発的動機を簡単に奪い去る。世間の常識を正しく守ること、成績評価を伸ばすこと、他人の期待に応えること、それ自体が目的にすり替わって、何のためにやっていたのか見失ってしまう。
自分の内発的動機の輪郭がぼやけたまま、ただ他人に同調していても、空虚である。私たちに必要なのは、ソーシャルノイズの騒がしさから距離を取って「他人の声」にリアクションしなくても済む「静かな時間」をつくることである。
リフレクションの技術
静かな時間を確保して、一人の思索を深める時に鍵になるのが「リフレクション(内省)」の技術である。リフレクションとは、自分の行動、思考、感情について振り返り、自分を見つめ直すことである。過去の経験の意味づけを変えたり、自分が大切にしていることを言語化したりすることができる。現在の視点から過去を振り返って、その出来事に意味づけをして、そこで得た気づきを未来に活かすことができる。
リフレクションには、2つのモードがある。
①分析的リフレクション
今起きている結果の「原因」を論理的に分析して、ポジティブな出来事の再現確率を上げたり、ネガティブな出来事の再発を防止したりする。
②物語的リフレクション
今の視点から振り返ると過去の経験はどのように再解釈できるか、感情的にしっくりくるストーリーを見出す。
バランスを取りながら、この両方を使い分け、あるいは両方を織り交ぜることが大切である。分析的リフレクションに偏りすぎると、パフォーマンスが外部から見た「望ましさ」に最適化されすぎてしまう。
リフレクションは四半期ごとぐらいで行うのがちょうど良いが、慣れてくると短期(週次〜月次)、中期(数ヶ月単位)、長期(年次〜数年単位)で、スパンの異なるリフレクションをライフスタイルに埋め込むと、最強の習慣になる。
リフレクションが上手い人の習慣
①心の「モヤモヤ」から他人を追い出す
リフレクションが上手な人は「心のモヤモヤ」を見逃さない。何かにモヤモヤしているということは、自分の根っこにある価値観が揺さぶられているが、まだ言葉にできていない状態。自分を見つめ直す最高の素材である。モヤモヤの背後には大抵「他者」が存在するが、一旦他者をはがし、意識を自分に向ける。
②日々の何気ない「学び」にフォーカスする
リフレクションが上手な人は、成果やステータスの変化よりも、日々の何気ない「学び」に意識を向けている。学びとは、勉強、読書、セミナーなどで得た知識だけでなく、日々の経験を通して得た些細な「気づき」も含まれる。日常の何気�い学びを言語化することを意識し、自分の内面で起きている変化を味わうことが大切である。
③自分の興味の「飽き」に敏感になる
リフレクションが上手な人は、飽きるのが上手い。仕事でも趣味でも「飽き」をネガティブなものとして捉えず、「次のステップ」に進めてくれるシグナルのようなものとして受け止める。何かに飽きてきたということは、ある欲望が満たされて、新たな内発的動機が芽生えつつある状態である。自分の中の「飽き」を察知したら、それをリフレクションの手がかりにする。
④定期的に「自己紹介」をアップデートする
リフレクションが上手な人は、「自分についてなんて説明するとしっくりくるか」を定期的に見つめ直し、アップデートしている。静かな時間の中で自分を見つめ直し、アップデートしていくことは、自分を外側からではなく、内側から位置づけ直すためのエクササイズになる。自分をどのように紹介するのかは、ソーシャルノイズから健全な距離を取りながら、主体的に生きていくための大切な習慣である。