「整える」ことが成果を生む
人を最も苦しめるのは「能力不足」でも「やる気の欠如」でもなく、「余裕のなさ」である。余裕がなくなると判断は鈍り、人に頼れず、最後は自分を責め始める。
余裕は、「整える」という考え方で、意識して取り戻さなければならない。頑張り続けるのではなく、気合いで乗り切るのでもなく、まず「自分と職場を整え直す」こと。この順番を間違えなければ、人は無理をしなくても成果を出せるようになる。
自分を整えようとする時、多くの人は「仕事をしながら整えよう」とするが、それでは遅い。仕事は仕事を始める前から始まっている。身体を整えること、自己投資をすることで、仕事が捗るようになる。疲れたまま仕事に入れば、判断ミスが増え、ミスのリカバリーで余計に残業が増えることにもなる。
令和の働き方で生産性を左右するのは「頑張りの総量」ではなく、「整っている時間の長さ」である。労働の質を高めるために「まずは整える」ことが、成功するための働き方のスタンダードである。
心身を整える
・7時間睡眠を最優先事項にする
睡眠不足では高いパフォーマンスは発揮できない。先に7時間の睡眠時間を確保し、1日17時間だと思って、仕事の予定もプライベートの予定も組む。
・腸を整える
腸には体内の約70%の免疫細胞が集まっていて、腸内環境が整うと、感染症や炎症の予防、老廃物の排出、メンタルの安定などにつながると言われている。腸内環境が乱れると、免疫力も集中力も生産性もも大きく後退する。効果的な腸活の方法は以下の通り。
・「ながら運動」で疲れない身体をつくる
運動は、仕事のパフォーマンスに大きく影響する。運動を手軽に習慣化するためには、3分程度でできる内容で、既に習慣化している他の行動と掛け合わせると良い。
- 歯磨きしながらスクワット
- エレベーターを使わず階段で上がる
- テレビを観ながら足上げ腹筋
- 通勤中の早歩きなど
・五感に良い刺激を与える
心地良かったことを増やし、心地良くなかったことを減らす。即効性のある対策が五感に良い刺激を与えることである。
- 嗅覚:香りで脳を瞬時に切り替える
- 視覚:苦手な人を意図的に視界から外す
- 触覚:人差し指でおでこを押す
- 味覚:おやつにゼリーを食べる
- 聴覚:メンターの名言や感謝の言葉を発する
人間関係を整える
相手の出方に応じて、自分の対応を使い分ける。大事なのは、相手のペースに飲み込まれず、同時に自分のペースを押し通さないことである。「一歩引くか、一歩出るか」の使い分けだけで、無駄な衝突が減り、チーム全体の空気もスムーズになる。感情で反応せず、相手のペースに合わせて変えることが、ストレスなく人間関係を回すスキルである。
・相手が剛の人の場合
職場では、勢いよく出てきたり、怒りをぶつけてくる相手こそ、静かに受け流すのが賢明である。否定や責めの言葉には反撃せず、まず事実だけを見る。
- 相手の主張や圧を受け止めて流した後、冷静な資料・代替案で主導権を握る
- 反論せず、相手の感情が落ち着いた後で、事実と改善策を提示する
- 相手の「急ぎ圧」を条件に転換し、ペースと範囲を握る
・相手が柔の人の場合
「いつまでにやろうか?」と言って、一歩前に出てテンポを上げる。
- 淡々と事実で語る
- 境界線(リミット)を宣言する
- 静かにNOを伝える
職場で苦手な人がいる場合には「応援してくれる人が9割」の考え方をする。「好意の1対2対7の法則」では、チームのメンバー全員から好かれようとするのは無理で、どうやっても合わない1割は受け流し、自分を応援してくれる2割と、普通の7割を大事にする。つまり、10人中1人に嫌われても9人は味方になってくれる可能性があり、そちらに時間とエネルギーを注ぐ。
仕事の仕組みを整える
仕事ではどうしても突発的なことが、頻繁に起こる。突発的なことで、期限に追われて焦って、ミスをするといった状況に陥らないように、先手で余白を生むコツがある。それは、「予告」と「予防」で「余地」と「余裕」をつくることである。
①予防する
- 業務に漏れが発生しないように何重もの網を張っておく
- トラブルの芽を先に摘んでおく
②予告する
- 相手に情報を先出しして気づかう
- 聞かれる前に伝える
③余地をつくる
- あらかじめ余力を残しておく
- 様々な可能性を予測して予定を組む
④余裕をつくる
- 気持ちのゆとりを持つ
- 準備を念入りに行う
問題の本質は、本当に「時間がないこと」ではない。「余白のない働き方」をしていることが問題である。「余白」とは、ただのヒマな時間ではなく「考えるための時間」である。人は常にフル稼働では成果を出せない。頭も身体も余白があるからこそ、創造的に動かすことができる。「余白時間」は先にブロックするのが有効である。