自己肯定感を育てる
通信教育「進研ゼミ」には、これまでのべ9200万人の子供たちとやり取りし、蓄積されてきた「ほめのノウハウ」がある。子供の発達段階に応じて、どんな声かけが効果的か。学力を伸ばすために、何を伝えるべきか。ほめ言葉の「1文字1文字」には、赤ペン先生の知恵が凝縮されている。日常の何気ないひと言を少し変えるだけで、子供たちの行動は驚くほど変わる。
赤ペン先生のほめ方の土台にあるのは「何があっても、子供たちを絶対に否定しない」という行動規範である。「進研ゼミ」では、子供たちの「自己肯定感」を育てることをゴールにしてきた。自己肯定感とは、ありのままの自分を価値のある存在として認めることである。「勉強ができたらほめる」のは順序が逆で、ほめられて自分のことが好きになれば、子供は自然に勉強が好きになる。そして勉強が好きになれば、いつか必ず結果が出るようになる。
赤ペン先生の「ほめ方」3原則
赤ペン先生が大事にしているのが、子供たちをしっかり「見る」こと。「見る」ことなしに「ほめる」ことはできない。子供たちの自己肯定感を上げるために、どこを見るべきかには、次の原理原則がある。
①結果ではなく過程をほめる
過程をほめてこそ、その子自身を無条件で丸ごと認めたことになる。結果だけを見たら、その子の答案は「落第レベル」かもしれないが、過程を見れば「あきらめずに挑戦した」という価値が見つかる。逃げずにテストを受けたことも大きな挑戦である。
赤ペン先生は、月に1回提出される答案1枚1枚に向き合い、隅から隅まで子供たちの「考えた跡」を探す。答案のすみっこの計算の跡などから目一杯想像力を働かせる。
②学びの丁寧さをほめる
赤ペン先生が特に大切している評価軸は「学びが丁寧か、雑か」である。丁寧さとは、力をつけるための学びの土台であり、目の前の問題に向き合う姿勢のことである。計算メモや重要なところに線が引かれているなどの痕跡を見つけた時、手放しで子供たちをほめる。
③子供目線でほめる
赤ペン先生の役目は、子供たちを上から評価することではなく、応援すること。寄り添い、伴走しながら子供たちのやる気の後押しをすることである。だから、赤ペン先生は、子供たちと対等な関係であることを大切にしている。そのために、大人としての思い込みや決めつけを取り除かなくてはならない。大人目線か子供目線かは「できたところを見る」か「できていないところを見る」かに最もわかりやすく表れる。
ほめるのに困った時のポイント
①取り組みそのものを1つ1つ丁寧に認める
「がんばろう」と「がんばったね」は全く違う。「がんばろう」と言われると、今回はがんばっていなかったと感じてガッカリするかもしれない。
◯よくがんばったね!
×次こそがんばろう
②ピンポイントでも「できた部分」にだけ注目する
全体としては完璧にできていなくても、細部に注目することで、子供が自分でも気づいていないような「できていること」を言語化し、気づかせる。
◯ここがいいね!
×もっときれいに書こうね
③周りの子とは比べず、過去のその子と比べる
「前はできなかったことができるようになった」という変化を言葉にすることで、子供の自信を育てる。
◯1ヶ月前よりできるようになったね
×◯◯ちゃんはできていたのに
④成果に着目せず、子供の「熱意」を受け入れる
子供の「好き」を全肯定する。大人が自分と同じ目線で自分のしていることを羨ましがっていることが、子供から誇らしいという感覚を引き出し、ありのままの自分を肯定するよりどころになる。
◯夢中になれて羨ましいなあ
×そんなことして何の役に立つの?
⑤得意か不得意かではなく「好き」を聞く
得意かどうかを聞くと、点数や結果を意識させてしまう。「好き」を聞けば、評価を離れて本音が出やすくなり、そこから前向きな声かけにつなげることができる。
◯どの勉強が好きかな?
×どの勉強が得意?