問いこそが答えだ! 正しく問う力が仕事と人生の視界を開く

発刊
2020年3月17日
ページ数
400ページ
読了目安
584分
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優れた答えを得るためには、優れた問いが必要だ
新しいアイデアや発想を生み出すには、問題解決よりも、良い問いをたてる能力が大切である。従来の思考の枠組みを外すために、物事の前提を問い直すことの大切さと、そのための手法を紹介しています。

問い答えを見つけるためには、最初に良い問いを立てることが肝心

仕事でも私生活でも、良い答えを見つけたければ、良い問いを立てる必要がある。良い問いを立てるためには、良い問いが運よく思い浮かぶまで待つ必要はない。自分で良い問いが湧いてくる特別な環境をつくることができる。素晴らしい問いを思いつける人も、生まれつきそういう才能に恵まれているわけではない。問う能力に秀でているのは、問う技術を磨き続けた結果だ。

 

考え方の枠組みを変える問いには、状況に関係なく、根本的な共通点がいくつかある。

①後から振り返ると、至極当然の問いだったと思われる問い

②生産的な問い

 

問いを変えなければ、いつまでも同じ道を進み続けるだけで、飛躍は望めない。問いの角度を変えることで、問いは変化の触媒になる。そうすると発想の幅を狭めてしまう固定概念などの思考の壁が取り払われ、創造的なエネルギーがどんどん生産的な経路へと流れ込む。

 

間違った前提を取り払う

人間は根深い理由により、どうしてもいつも同じように考えようとし、よほど困ったことにならない限り、馴染みのある思考の枠組みを捨てようとしない。とりわけ社会集団では、その傾向が顕著になる。序列の中で力を持った人間が怒り、その結果、問うことが制限される。加えて、成長マインドセットを欠き、問わない方が楽だと思い込んでいる人も多い。組織の中で、このような個人による問いの忌避と、権力者による問いの抑圧とが組み合わされば、当然、斬新な考えは生まれてこない。

 

問いは、思考の枠組みを変えまいとする抵抗の壁を崩す最も効果的な方法だ。問いを用いれば、タブーとされていた領域が力づくではなく、そっと開かれて、個人レベルでも、集団レベルでも、当たり前と見なされていた考え方に誤りがなかったかどうか、再検討が促される。

イーロン・マスクはそういう手法を「第一原理思考」と呼んでいる。第一原理思考では、まず、間違った前提が徹底的に取り払われる。そして疑う余地が全くない真実の層に達したら、そこからアイデアが練り始められる。第一原理による問題の分析は次のように行われる。

「真実だと確信できることは何か」と問い、一番根本的な真実まで物事を掘り下げていく。強く確信できることが、基本の真実、自分にとっての公理的な要素になる。それがわかったら、それを使って推論を進める。

 

問いのブレインストーミング

問題の新しい解決策を探っている人にとっては、問いのブレインストーミングは、試してみる価値がある。

 

①準備

  1. 最初に関心がある課題を選ぶ。
  2. その課題を新しい角度から考えるのを手伝ってくれる人を何人か集める。
  3. メンバーが揃ったら、課題についての説明を2分で済ませる。
  4. 問いの提示だけで、解決策を求めないこと、前置きは一切省くというルールを伝える。

 

②問いを生み出す

4分間、課題についての問いをみんなでどんどん出し合う。他のメンバーの発言に対して、一切反対意見を述べてはいけない。目標は15〜20個以上の問いを紙に書き出すことだ。

 

③問いを分析する

書き取った問いをじっくり読み返し、新しい道を示している問いがないか注意深く調べる。驚き、本心、意欲という観点から問いをチェックする。問いを数個選んだら、それらの問いをそれぞれ掘り下げる。自分が選んだ問いがなぜ重要なのか理由を考える。次にその理由がなぜ重要なのか、その理由をまた考える。「なぜ」を重ねていく。

 

問いが生まれやすい場に身を置く方法

①問いが生まれやすい環境を自分で意識的に探す

コーチング、心理療法のセッション、サバティカル休暇、キャンプ旅行でも、問いが引き出されることは珍しくない。

 

②自分で問いが生まれやすい環境をつくる

問いのブレインストーミングを行ったり、他の人に対しても、どんどん問いを発する。

 

③間違うことを覚悟で、自分の個人的な見方に徹する

  • 態度:自分の考えは間違っているかもしれないと考える。
  • 行動:いつもの慣れた場所から飛び出して、冒険に挑む。
  • 習慣:相手に自分の意見を受け入れさせたいという衝動を抑えて、話すことより聞くことに時間をかける。