「考える」ためのシンプルなルール
「考える」とは、適切な問いを立て、足元の情報を整理し、一段ずつ階段を上がっていくような地道な作業である。だからこそ、最初の一歩をいかに早く、迷わずに踏み出せるかが、その後の成果を大きく左右する。このま最初の一歩を迷わずに踏み出すためのシンプルで究極のルールが「◯を2つ書く」である。
「考える」時には、視野を広げることが大切である。物事を捉える範囲や幅を広げ、膨大な知識を蓄え、判断できる領域を広げ、多様な価値観を受け入れられるようになる。しかし、これを実現するには、長い時間をかけた経験の積み重ねと、高度なスキルが不可欠である。
そこで「視野」を広げようとするのではなく、「視点を増やす」ことに意識を向けてみる。この「視点を増やす」最もシンプルな方法が「◯を2つ書く」である。2つを並べて、見比べた瞬間、「2つの視点」が生まれている。そして、◯を2つ並べると、そこに「関係性」が生まれる。
「強み」と「弱み」、「自分」と「相手」、「現状」と「理想」。
こうして2つを並べると、私たちの脳は自然と「この2つはどうつながっているのだろう?」「共通点は?」「違いは?」と、問いを生み出し、動き始める。
次に重要なのが「◯の中に何を書くか」である。この◯の中に書く「ラベル(言葉)選び=問いを立てる」段階で、多くの人の思考が止まってしまう。仕事ができる人は、状況に応じて「今、何を問うべきか」を瞬時に判断できる。それは彼らが長年の経験を通じて、たくさんの問いのパターンを頭の中に蓄積しているからである。
この「問いを立てられない」という悩みへの解決策は、自分の頭で問いを「ひねり出す」のをやめて、ルールによって機械的にセットすることである。場面ごとに「このラベルを使えばいい」という具体例を用意し、その中から使えそうと思ったものを◯にセットするだけである。この問いを自動でセットする仕組みこそが、「悩む」が「考える」に切り替わる革新的なスイッチになる。
「◯を2つ書く」の5つのステップ
①一番上に「テーマ」を書く
ノートの一番上に「今から何について考えるのか(テーマ)」を書く。
②◯を2つとラベルを書く
テーマの下に、ノートに大きく◯を2つ書く。次に◯の上部に「ラベル(問い)」を書く。
ex.「メリット」と「デメリット」、「主張」と「根拠」、「自分」と「相手」
③思いつくままに書き出す
頭の中に浮かんでいることを、箇条書きでどんどん◯の中に入れていく。壁打ちするように、思いのままにノートに書き出すことを最優先にすると、不思議と書いていく内に思考が整理される。
④書き出した2つを見比べる
自分の頭の中から出てきた情報を一歩引いて客観的に見比べる。すると、スッと「気づき」が生まれる。
⑤気づきや次のアクションを書く
2つの◯の下に、大きく矢印を書いて、その下に「気づいたこと」や「次にやること」を書く。大切なのは、頭の中だけで抱えていたものが、眼に見える形になることである。
深く読み解く3つのコツ
書き出した◯2つを読み解くには、次の3つのコツがある。
①「量の偏り」を見る
2つの◯を見比べて「どちらが多いか」「少ないか」をチェックする。量の偏りは「情報不足」や「視点の偏り」のサインである。そして量の偏りは、自分でも気づいていなかった「本音」を教えてくれることがある。
②「線をつないで」見る
左右の◯の中にある言葉同士を、線でつなぐと新しい気づきに出会える。線を引くことで、2つの◯の間にある「ズレ」が自然と見えてくる。
③「×をつけて」見る
どれだけ悩んでも、自分では変えられないことに「×」をつけて、一度思考の外に出すことで、今取り組むべきことに集中できるようになる。「コントロールできるか」「今やるべきか」「自分でやるか、任せるか」など、今の自分に必要ないものに「×」をつけるだけで、頭の中が整理され、次の一歩が踏み出しやすくなる。
7つの考え型
ビジネスの現場で直面する「どう考えればいいだろう?」と手が止まってしまう場面には、いくつかの共通した型がある。
- 「解釈」と「事実」:曖昧な情報で判断に迷う
- 「目的」と「手段」:タスクが山積みでフリーズする
- 「自分の考え」と「相手の考え」:意見が対立して平行線になる
- 「主張」と「根拠」:提案が通らない、響かない
- 「やりたいこと」と「できること」:自分の進むべき道が見えない
- 「メリット」と「デメリット」:決断できずに時間だけが過ぎる
- 「理想」と「現実」:現状への不満が改善につながらない
特に「事実」と「解釈」、「自分の考え」と「相手の考え」は多くの場面で使うことができ、日々の業務の7割くらいは対応できる。