セカストの軌跡
セカンドストリートは中古品の買取と販売を行うチェーンだ。なかでも衣料・服飾雑貨に強く、そのジャンルではトップシェアである。国内の店舗数は2025年9月末906店。ユニクロの店舗数797店より100店舗以上も多い。
特筆すべきは成長のスピードだ。1996年、香川県高松市に1号店ができ、少しずつ店舗を増やしていたが、ビデオレンタルのゲオホールディングスがセカンドストリートの運営会社を買収。2010年から出店は加速し、1年の内に40〜50店を都市の繁華街、住宅地、ロードサイドに出店した。そして、台湾やタイ、アメリカなど海外にも進出している。
セカンドストリートは昔からある古着屋ではない。ユーザーは「値段が安いから他人が一度、袖を通したものでも我慢して着よう」と考える人たちだけではない。リユース品を着て、楽しもうと思っている。セカンドストリートは買い物行動を変え、リユース文化を広めている。
セカンドストリートは創業時から現在と同じコンセプトだった。それをブラッシュアップし、店舗数を大幅に増やした。ゲオグループに参画し、多店舗展開を進めるにあたって、意図的に取り組んだことは以下のことである。
- 新品アパレルと雑貨を導入し、中古品に興味がない人でも楽しめるようにした。
- 快適に買い物ができるようにトイレを改装し、主導線を拡張し、バリアフリーにした。
- 大型店スーパーセカンドストリートを出店し、メディアに取り上げられる機会を増やした。
- ブランド品に特化せず、ユニクロ、無印良品のようなカジュアルウェアも買い取って店舗に並べた。
- レジを前面に置くことで、買取を強化した。
2011年、ゲオの社長になった遠藤結蔵はセカンドストリートに集中投資をした。衰えつつあったレンタルビジネスで得た資金を「セカスト」に賭けたのである。この決断が、現在、業界でNo.1になったことに結びついている。
ゲオは、居抜き物件を利用し、最小限の改装で店舗をオープンする。空き物件情報をいち早くつかみ、短期間で改装して開店して利益を上げる。物件を見つけてから開店するまでの時間を短くすることが何よりも重要だ。ゲオ、セカンドストリートが成長したのは、店舗開発のポリシーが明確だったからだ。いい物件を見つけたら、すぐに契約して店をオープンする。うまくいかなかったら、すぐに閉めて他に移る。これがフランチャイズであれば機敏な出店、移動はできない。直営店舗にこだわった出店戦略も、ツタヤに対する優位性の1つだ。
リユースビジネスの存立基盤は売ることではない。商品を買い取ることだ。商品はなるべく高く買い、売る時はなるべく安くする。しかし、それだと利益率が下がる。そこで、ローコストで運営していく。店舗の投資はそこそこきれいに見える程度にしておき、コストを抑えている。
ゲオの逆襲
遠藤結蔵が社長になった2011年以降、ゲオの本業であるビデオレンタルのビジネスは潮が引くように売上が落ちていった。エンタテインメントの世界では配信サービス、サブスクサービスが伸びて、レンタルビデオ店に足を運ぶ人は減っていった。映像ソフトのレンタル市場は2007年3604億円から2022年572億円と84%も減少している。
遠藤結蔵はゲオの店舗に関しては、複合店舗にして新しい商材を投入することを決めた。レンタルのDVD、CD、コミックがいずれなくなることは、父である先代社長、遠藤結城の頃から自明だった。そこで色々な仕事をして、形になってきたのがリユースだった。メルカリがサービスを開始した2013年以降、人々がリユースというカルチャーを認識するようになり、リユースは業界の規模が大きくなっている。
ゲオがレンタルビジネスの衰退と合わせてリユースを伸ばすことができたのはレンタル業で稼いだキャッシュが減らなかったこと、そして、貸す、買い取る、売るを1台のレジでできる基幹システムを完成させていたことがある。ゲオはビデオレンタルを始めたのとほぼ同時に中古のファミコンソフトや中古CDの買取と販売を行っていた。その時に、基幹システムを内製で開発し、各店舗に導入した。そのシステムによって、ゲオの店舗では扱う商品を増やすことができ、同じ仕組みを使うことでセカンドストリートの成長に投資できた。基幹システムにゲーム、DVD、CD、コミックなどを載せたのがゲオで、服や雑貨を載せたのがセカンドストリート、モバイルを載せたのがゲオモバイルだ。