4つの回避術
「回避術」は、問題解決とその手法についての「従来の考え方」に反旗をひるがえす手法だ。回避術が特に効果を発揮するのは、これまでの問題解決法がうまくいかなかったり、これまでの解決法を実行するのに必要なリソースがなかったりする場合である。
回避術には次の4種類がある。
①便乗
一見無関係な既存の「システム」または「関係性」を活用する。便乗による回避術は複数の関係者やシステムの関わり合いに基づいており、その関係性は事例ごとに異なる。便乗による回避術では、与えられた状況の中で「何が欠けているか」から、「何があるか」に視点を移す。そして、「既にある関係性」を活用する。
権力から外れたところで活動する異端の組織は、型破りな組み合わせを見つけ出す上で有利な立場にあることが多い。縦割り組織に開いたひび割れの間には、見過ごされている価値がたくさん隠れている。組織の「中」ではなくその「隙間」に目を向け、他人の成功をどうやって自身のために利用するかを考える。
②抜け穴
「既存のルール」を都合よく取捨選択して当てはめたり、解釈しなおしたりする。大勢の人が、わざわざ自分で抜け穴を見つけ出さなくても、他の人と同じ抜け穴から恩恵を得ることもできる。また過去の抜け穴をヒントにして、現在それと似たようなチャンスを見つけることもできる。
正しい道は1つだけではない。単にルールに従ったり、あるいはルールを破ったりすることが、何かを成し遂げるための最善の方法とは限らない。その「中間」にも選択肢があることは多い。
抜け穴を見つける方法は2通りしかない。
- あまり知られていないルールに目を向けることで、有効な抜け穴を見つける
- 足かせとなっているルールの「細則」に注目することで、そのルールを無効にしたり、ルールの執行を不可能にしたりする
③誘導路
ひとりでに強まってしまう行動パターンを妨げたり、乱したりして、別の方向へ向けさせる。誘導路による回避術は一種の急場しのぎとして機能し、スピードを落として別の方向に進むことを可能にする。これは、最初こそは根本的解決にはならないが、根深い問題をしのぐことはできる。そうやって、厄介な問題が解決されるまでの時間稼ぎをしたり、成功の可能性を高めるために判断を先送りしたり、かかり続ける圧力に耐えたりできる。
誘導路による回避術で大事なのは、避けられない事柄をうまく扱うことだ。複雑な現実の問題に取り組むには、一時的な急場しのぎの方法を受け入れる適応力と意志が必要だ。誘導路による回避術は、必ずしも世界を揺るがす変化を引き起こすとは限らない。しかし、一度に少しずつ現場に挑戦することで、新たな可能性を解き放つ条件を生み出すのに役立つ。
④次善策
その辺に転がっているリソースを別の目的のために転用したし、組み換えたりする。何かを大きく変えるには、大勢の関係者を調整しなければならず、実現の見通しは低い。その代わりに、この回避術を使えば、利用可能なリソースを使って望みを叶えられる。重要なのは、実行可能だがほぼ目を向けられていない代替策に焦点を絞り、利用可能なリソースを型破りな別の方法で利用したり組み合わせたりするのに集中することだ。
次善策による回避術を使うには、複雑なことを避けて当面の目標に向かうのがポイントだ。往々にして最善の一歩は、理想とすべき事柄に焦点を絞ることではなく、活用可能だが無視されがちなチャンスに注目を向けることだ。
回避術のマインドセット
次の3つの原則に従えば、複雑さを受け入れて、障害を回避するチャンスを見つけられる。
①自分の知識の限界を認識する
回避術の達人は「決定的な答え」に飛び付かず、疑うことで恩恵を得る。彼らは様々な角度から物事を見て、型破りな方法であれこれ試し、別の見方をする人から学ぶ。
②レンズを調整する
見えるものは見方によって変わってくる。距離や角度を色々変えてみると、改めて考え直して別の解釈をすることができる。「リソース」「焦点」「対象範囲」について考え直すことで、1つの現象の様々な側面を際立たせることができる。
③部外者のように考える
何か新しいことを学んだばかりの部外者は、以前からの問題に新たな角度で迫ることができる。彼らは、何か新しいことを理解し始めると、目新しい道具や概念をいじくり回し、組み合わせたり改造したりする。この新鮮な視点が変革を起こすこともある。
決まりきった解決法は幅広く適用できて、頼りになるように思えるかもしれないが、実際には融通が利かない。時には問題の解釈の仕方自体が問題となる。
回避術とは、様々な「決まりきった事柄」と「問題」の間を絶えず行き来しながら、目的をかなえるものだ。回避術を思いつくのは、パズルを完成させるのよりも、レゴで遊ぶのに似ている。