ゲコノミクス 巨大市場を開拓せよ!

発刊
2020年5月12日
ページ数
232ページ
読了目安
218分
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ノンアルコール市場はまだまだ未開拓である
お酒を飲まない人が増えているのに、飲食店のノンアルコールメニューは乏しい。料理と合わせたノンアルコール飲料の開発などの事例を紹介しながら、お酒を飲まない人たちに向けた市場の可能性を紹介する一冊。

見過ごされてきたノンアルコール市場

お酒を飲めない・飲まない・飲みたくない人を「ゲコノミスト」と呼ぶ。統計データを見る限り、ゲコノミストはマイノリティとは言えない。「ほとんど飲まない」「やめた」「飲まない」と答えた人を合計すると、55.4%になる。男女別に見ると、男性では38.6%、女性は70.5%。つまり日本人の半分以上は、ゲコノミストである。

近年「若者がお酒を飲まなくなった」と言われ、アルコール市場は縮小傾向にある。世界に目を向ければ、「お酒を飲むのをやめる」というトレンドも生まれつつある。

 

しかし、これまで日本の外食産業はゲコノミストの存在に目を向けてこなかった。高級レストランでさえゲコノミストが十分に楽しめるようなノンアルコールのメニューを揃えているところはほとんどなく、ゲコノミストは「単価の低い客」として冷遇されてきた。

これは見方を変えれば、ほとんど手つかずの市場があるということである。外食産業がゲコノミストの不満を知り、ニーズに応える工夫を重ねていけば、その分だけ客単価を上げることができる。

お酒が飲めない理由も様々である

ゲコノミスト市場を開拓するには、ゲコノミストとはどのような人たちなのかを知り、彼らの気持ちを考える必要がある。ゲコノミストは、以下のように分類される。

 

①真性ゲコノミスト:お酒が嫌いだし、体質的に飲めない

②酒好きゲコノミスト:お酒が好きだけれど、体質的に飲めない

③酒嫌いゲコノミスト:体質的に飲めるけれど、飲むのは嫌い

④選択的ゲコノミスト:お酒が好きで体質的にも飲めるが、何らかの理由で飲めない、飲まない

 

ゲコノミストは非常に多様である。飲食店や飲料メーカーがノンアルコールの品揃えを検討する際、ゲコノミストの多様性にも留意する必要がある。「アルコールの代わり」ではなく、もっと視野を広げて開発していくことが、ノンアルコール市場の拡大につながる。

 

ゲコノミクスの事例

飲料メーカーや飲食店では「お酒を飲む人が少なくなった」と嘆くのではなく、ゲコノミストが増加していることに目を向けて「ノンアル需要が増えた」と理解して取り組むべきである。多くの飲食店のノンアルメニューのラインアップは非常に寂しい状態。食事と一緒に飲み物を楽しみたいゲコノミストにとっては、選択肢が少なすぎる。ノンアルドリンクでも、価値あるドリンクならそれに見合ったお金を出すというゲコノミストはたくさんいる。

 

・ロイヤルブルーティー

ボトル入り高級茶のトップブランド。厳格な基準で選別した「手詰み茶」を原料に、添加物を使用せず、微生物制御した衛生・品質管理のもとで、非加熱抽出・非加熱濾過除菌をして、ワインボトルにボトリングしている。1本3,800円〜60万円まで。

 

・The Tea Company

お茶と料理のペアリングにこだわり、国産無農薬栽培の厳選した茶葉を使ったボトルドティー。

 

・sio

東京・代々木上原にあるフレンチレストラン。コース料理にアルコールペアリングだけでなくノンアルコールペアリングをつけることができる。

 

・YOILABO

食事にペアリングできるボトル入りドリンクを飲食店向けに提供しようというベンチャー企業。

 

重要なのは、ただノンアルドリンクを増やすのではなく、「ノミストに提供しているコンテンツと同じ満足度に仕上げられるか」が重要である。