富の階段
私たちが豊かさから享受できる喜びは、資産が1ドル増えるごとに増加するのではなく、段階的に増加していく。この意味で、富は直線的なものではなく、階段のようなものだ。そして、この階段の各段は、経済的な生活のほぼすべての面に影響を与える「資産レベル」に対応している。各資産レベルでは、お金の使い方から、稼ぎ方、投資法まで様々な戦略が変わってくる。
レベル1(資産1万ドル未満):生存戦略
レベル2(資産1万ドル以上〜10万ドル未満):教育&スキル戦略
レベル3(資産10万ドル以上〜100万ドル未満):投資戦略
レベル4(資産100万ドル以上〜1000万ドル未満):起業戦略
レベル5(資産1000万ドル以上〜1億ドル未満):事業拡大戦略
レベル6(資産1億ドル以上):資産防衛戦略
各レベルは10倍で区切られている。これは、ライフスタイルを大きく変えるために必要な資産の増加量に対応している。あるレベルから次のレベルに到達するのは極めて難しい。各レベルの人数は、階段を登るに従って少なくなっていく。
富をレベル分けすると、富の階段を登るにつれて自分のファイナンス戦略がどう変化するかを想像しやすくなる。
0.01%ルール
自らの富に影響を与えることなく、莫大な消費ができる人もいる一方で、生活のためにすべての支出を細かく管理しなければならない人もいる。資産の0.01%は、「取るに足らない金額」を表す優れた指標になる。例えば、資産が1万ドルの人が何かに1ドル(0.01%)多く払っても、その人のファイナンスに長期的な影響はない。つまり、資産を維持しながら毎日収入以上に支出できる金額は、資産の0.01%である。
富の階段の6つのレベルと各支出の目安との関係は次の通りになる。
レベル1(資産1万ドル未満):余裕なし。支出を全て細かく管理しなければならない。多額の借金を抱えている人も少なくない。
レベル2(資産1万ドル以上〜10万ドル未満):食料品の自由。値段を気にせず、スーパーで食品を選べる。
レベル3(資産10万ドル以上〜100万ドル未満):レストランの自由。値段を気にせず、レストランで好きなメニューを選べる。
レベル4(資産100万ドル以上〜1000万ドル未満):旅行の自由。好きな時に好きな場所に旅行できる。
レベル5(資産1000万ドル以上〜1億ドル未満):住居の自由。資産全体に大した影響を与えずに、夢の家を買うことができる。
レベル6(資産1億ドル以上):影響力の自由。お金を使って他人の人生に大きな影響を与えられる。
この観点からすると、資産レベルが同じ人の多くは消費パターンが似ていることがわかる。隣接するレベルでも、消費パターンは似ている。富の差は10倍もあるが、レベル4の人はレベル3の人と同じような生活をしている。その主な理由は、多くの人が資産ではなく、収入に基づいて消費しているからだ。
しかし、収入に基づいて支出をするのは、必ずしも富の階段を登るのに役立つとは限らない。資産があることは、支出をコントロールでき、貯蓄の方法を知っていることの表れだ。こうしたコントロールがなければ、経済的に苦しい状況に陥る。
1%ルール
ある収入が資産を1%以上増やす可能性があるなら、それを利用すべきだ。そうでない場合は、その機会は諦める。これを「1%ルール」と呼ぶ。1%ルールに従って富の階段を登っていく際に検討すべき、キャリアの選択肢は次の通り。
レベル1(資産1万ドル未満):時給労働
副業や単発仕事など、副業をしながらスキルを磨く機会があれば、積極的に活用すべきだ。
レベル2(資産1万ドル以上〜10万ドル未満):技能労働
時間当たりの単価を高くするためにスキルを磨くことが重要になる。
レベル3(資産10万ドル以上〜100万ドル未満):キャリアアップ、副業、少額投資
資産の1%増えることを決断の基準にする。昇進や本格的な副業を始めることがこれに該当する。
レベル4(資産100万ドル以上〜1000万ドル未満):キャリア転換、起業、中規模投資
高収入が得られる会社に転職できれば、年間1万ドル以上の昇給も十分に期待できる。但し、給与所得だけでレベル4を抜け出すのは難しい。
レベル5(資産1000万ドル以上〜1億ドル未満):事業拡大、大規模投資
ビジネスを立ち上げるか、ビジネスの規模を拡大する。
レベル6(資産1億ドル以上):企業体の構築、大規模投資
富の階段を登るにつれ、断るべき収入機会の種類は増えていく。レベル1であれば、50ドルや100ドル程度の仕事をすることに抵抗がないかもしれないが、レベル2以上になれば、それより良い収入機会に目を向けるべきだ。そして、富の階段を登るにつれ、お金のために働く時間が減り、お金を働かせる時間が増えていくようになる。例えば、投資で資産を増やすことや、起業して人を雇うことなどである。