住宅営業のパラダイムシフト
住宅展示場は、注文住宅の購入を検討する人が、いつでも行ける場所だが、コロナ禍を境にお客様が来場予約をするようになり、事前に色々と情報を調べてから来場する方が増えた。その結果、多くのお客様が、興味のある会社に絞って展示場を訪れるようになった。従来は、1組あたり7社程度の住宅展示場を見て回るのが一般的だったが、その数は2.8社と大きく減っている。
つまり、お客様が初めて展示場に来場する場合でも、そこから色々と比較されるわけではなく、事実上の決勝戦である。競合は事前の情報戦を勝ち抜いた会社ばかりで、簡単な相手ではない。いかに速くお客様の心をつかみ、契約に進めることができるかが鍵となる。
従来の営業スタイルでは、初対面のコミュニケーションが得意な、ベテランの営業担当が成績を上げていた。しかし現在は、来場予約で得られる情報をもとに丁寧に準備ができる若年層が、売上を伸ばす傾向にある。加えて、SNSやズームを駆使してお客様とのやり取りを増やし、スピード感を持って確度の高い提案をすることが、最も成果を出せる。
初回商談が終わったら、お客様の希望に応じた間取りや土地について、第二面談を待たずにLINEで提案していく。お客様から「もっとこうしたい」という要望があればさらに新しいプランを提案したり、「ズームで少しお時間を頂けますか」とオンラインで打合せをしたりする。
30代以下の若い世代は、オンラインの打合せとリアルの面談にさほど違いを感じない。リアルの商談2回目までにズーム面談が2回できれば、商談2回目の時は、実質4回目だという意識になる。そうしてLINEやズームを使いながらやり取りすることで、商談2回目には、要望をしっかり反映させたプランを提示することができる。
通常、家を買う時、お客様は3社程度のプランを比較して検討する。従来は、競合他社のプランを見てお客様の不満を拾ってから精度の高いプランを提示する方が主流だったが、今は早めにプランを提示して先に商談を進めていく方が、契約率が高くなっている。
昨今の若者世代が大切にしている価値観の1つに「タイパ(タイムパフォーマンス)」がある。そのため、商品について長々と説明したり、ヒアリングに時間がかかりすぎたりする担当者は好まれない。お客様の要望に応じて効率よく商談を進めることが、タイパを重視する世代に求められている。従来の住宅営業の面談は1回に2時間かかるのが一般的だったが、近年実績を上げている営業担当は90分で終わらせている。
担当者の人柄や仕事ぶりでお客様の心をつかむ
顧客アンケートでは、約7割の方が住宅購入の決め手を「担当者」と回答している。そのため、営業担当は、自分の人となりや仕事ぶりをお客様にアピールすることが非常に重要である。そのツールとして最も有効なのが、営業個人のインスタグラムアカウントである。営業インスタでは、お客様に「この人なら任せられる」と思ってもらえるように、SNSで仕事の様子や考え方を発信する。
頻繁に投稿することでフォロワーに閲覧されやすくなるため、毎日、仕事の様子や自分の考えなどについて投稿したり、イベントや面談の空き日程をストーリーで発信したりする。また、お客様は、営業担当が他のお客様もたくさん担当していることがわかると、人気や実力の裏付けを感じ、信頼感を抱きやすくなる。初回面談時や、契約時のお客様との記念写真、お礼メッセージなどを投稿して、他のお客様に見てもらうことで、契約率が高まる。
営業インスタでお客様とつながると、家を建てた後もお客様とのつながりを継続することができる。投稿を見続けてもらうことができれば、別のお客様の紹介につながる可能性も広がる。
SNSで集客を最大化する
現在の住宅会社のマーケティングでは、住宅展示場の事前予約に誘導するのが基本的な戦略である。まず、認知拡大には看板やテレビCMなどが使われる。集客チャネルには、グーグル広告などのウェブ広告、各種SNS、チラシ、住宅のポータルサイトの併用が一般的である。そこから来場予約に進む際、多くの場合は自社ホームページを経由する。
近年はSNSがマーケティングツールとして欠かせないものになった。住宅不動産業界で特に活用が進んでいるのが、インスタグラムとユーチューブである。特にインスタグラムは、男性より女性の利用者数の割合が高く、30代女性にリーチするツールとして有効である。写真映えが重要な住宅広告とも相性がよく、住宅関連のアカウントを通じて情報収集を行うユーザーは非常に多い。ユーチューブは、ルームツアーや住宅の専門知識に関するコンテンツなどで、顧客育成に使用するケースが多い。