「学力」より「コミュ力」
学力とコミュ力はどちらが必要か。社会人になるまでは「学力」、社会人になってから当分は「コミュ力」、社会人の後半になってからは「学力」の順番ではないか。
就職するまでは「受動的」なことが求められる。問題を出されて解く。面接官に質問されて、企業が求める受け答えをする。一方、社会人になって大切なことは「能動的」にできるかどうかである。「良い大学を出たにもかかわらず、仕事ができない」という評価を受ける人は、能動的に何かを行動することが不得意なのか、慣れていないのではないか。
「ロザンの道案内しよ!」というロケを17年間している。道に迷っている日本人の方や外国人の方を目的地まで案内する。毎週1回のロケで初対面の方と10人ぐらい話をするので、1年間で500人ぐらいの初対面の方と喋っている。
当初、ロケは思っていた感じではなかった。芸人の相方の宇治原さんは道に詳しい。外国人の方が道に迷っていても任せておけば大丈夫だと思っていた。しかし、宇治原さんは初対面の人と喋るのが苦手だった。そのため、道がそんなに詳しくない方のロザンの片割れが喋りに行くというのがスタートだった。ロケが始まった初期の頃は、宇治原さんはほとんど映っていなかった。
社会人になって能動的に動けない人は、周りから見たらいないのと同じになってしまう。ただ、能動的に動けない人が仕事ができない訳ではない。初めは能動的にできるコミュ力が高い人が、仕事を引っ張っていく。但し、学力が高い人も受動的にはできることがたくさんあるので、能動的でコミュ力が高い人が、学力が高い人に能動的に話を振っていく。これができるようになると、仕事が円滑に回る。
「聞く」より「聞き流す」
芸人の世界で、コミュニケーションを取ろうとする芸人は全員いなくなった。消えていった芸人がコミュニケーションを取ろうとしたのは「後輩や先輩芸人」「吉本の社員」「ファンの方」の3つのグループである。
後輩や先輩芸人、吉本の社員さん、ファンの方々、それぞれの立場で意見が違う。そして、どの意見やアドバイスを尊重すればいいのかがわからなくなる。自分や相方の意見よりも、違う意見を取り入れようとしてしまう。
同じようなことが会社でも起こる。会議の参加人数が多ければ多いほど、普通の意見に収まる。意見をぶつけ合うことは素晴らしいが、ぶつけすぎると角が取れて丸くなる。丸くなった意見は普遍的になる傾向がある。聞き流しておくスキルも大切である。
「聞いてもらえる」より「聞いてもらえない」
多くの人は、そもそも自分の話を聞いてもらえると思いすぎである。学校では先生に質問をすれば、基本的に聞いてはくれる。しかし、社会人になると誰も注意してくれないし、話もちゃんと聞いてくれない。「あなたの話し方が下手だから、ちゃんと話が聞けなかったわ」とわざわざ言ってくれることなどほとんどない。
だから「そもそも話は聞いてくれない」と思っていた方がいい。そこから戦略を立て、自分の話を聞いてもらえるようにするにはどうすればいいかを考えるべきである。
「あなたの話は短い時間しか聞いてもらえない」ということを念頭に置いて、コミュニケーションを取っていく。実は話を聞くに値するかしないかをほぼ一瞬で判断されていると思っていた方がいい。
だから、まず結論。それから「というのも・・・」という順番を心がけた方がいい。勉強しなければならない事柄があるとすれば「短くまとめる訓練」。そして感情を入れる。喜怒哀楽の感情を事柄に付け加えると引き込まれる。
「自分」より「相手」
芸人は話が上手いと言われるが、比例して聞き上手が多い。話が上手くなるためには「話を聞くこと」こそ上手くなるべきである。つまり相手のことを考える。
ロケなどで初対面の方にお話をする場合、自分たちの話はあまりしていない。自分たちの話ばかりしていると、引き出しは空っぽになってしまう。自分たちの話をするというよりも、質問していると言った方が正しい。自分の話をするよりも、相手の話を聞いた方がいい。
道案内のロケならば、この3つを基本にして質問をしている。
- どこに行くつもりですか?
- なぜそこに行くのですか?
- 行った後は何をしますか?
基本的な3つの質問を決めておいて、あとは答えによって質問を変えていく。そして、この3つの質問を材料にして、1つの料理を作ると考えてみる。食材でどのような料理を作るかは、それぞれである。決めない方がいい。自分が得意な料理を作ればいい。
相手の引き出しを開けることに尽力する。そのためには、相手に本当に興味を持つしかない。これが相手が引き出しを開けてくれる最善策である。興味がなくても、興味を持とうとすることはできる。興味を持とうとして話を聞くと面白かったりする。