3分間コーチの方法
3分間コーチは、会社内でのコミュニケーションをさらにシンプルで意味のあるものにするための工夫である。3分という時間は「制約」ではなく実践と効果を両立させるための設計である。
3分間コーチをするのに細かなマニュアルがある訳ではない。コーチとして3分間「問いかける」、そして回答に評価を加えず聞く。感想を求められた時に自分の感じたこと・思ったことを伝える。1on1を3分間で行うイメージである。1回に「問い」は1〜3つ。場所はどこでもいい。
①毎日3分間だけでいい。必ず「声をかける」
朝の「おはよう、今日は何に集中する?」だけでも十分である。
②問いは未来志向で
×「なんでできなかったの?」
◯「次はどうすればうまくいきそう?」
③評価よりも「気づき」
「いいね」だけでなく、「何が良かったと思う?」と問う。
④特別な場を設定しなくてもOK
立ち話、昼休み、ちょっとした相談タイミングなど、どこでも実践可能。
何を問うのか
問いには目的があり、何を問うのかは目的に応じて変わる。
①目標設定の場面
- この仕事であなたはどんな成果を出したいですか?
- その目標の先には何がありますか?
②進捗確認・振り返りの場面
- 今、どこまで進んでいますか?
- 順調にいっている部分と、少し引っかかっている部分は何ですか?
③問題に直面した時
- それを乗り越えるために、どんな方法が考えられそうですか?
- 他にできることはありますか?
回答を急かさず、じっくり聴く姿勢が信頼につながる。毎日のちょっとした会話に取り入れることで、コーチングの相手(クライアント)に気づきの機会をもたらす。
コーチングが機能するコミュニケーションにおいて、「話す」と「聞く」の割合は、コーチ20〜30%に対して、クライアント70〜80%である。また、問いにはオープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンがあるが、コーチは主にオープン・クエスチョンを用いる。オープン・クエスチョンに正解がある訳ではない。答えはクライアントにとってもコーチにとっても「未知」である。「何のために」「誰のために」「何をするのか、しないのか」「その先に何があるのか」を前提に対話する。
コーチの仕事は問題解決ではない
3分間コーチとは、向き合って対話するというより、クライアントがキャンパスに絵を描き、それについてコーチが問いかけたり、時にはクライアントも問いかけるといったイメージである。クライアントに未来の絵や今の課題などを絵にして描いてもらう。クライアントの正面にコーチが立って、何かを教えたりアドバイスをしたり、何の絵を描くかを指示したりする訳ではない。描いている絵を評価するのも仕事ではない。
問題解決はコーチの仕事ではない。コーチングの対象となるのは、クライアントの問題との向き合い方や問題の捉え方である。また、コーチは問題を問いに置き換え、いくつもの問いの束にして未来につなげようと試みる。
私たちは常に問題にぶつかる。1つ解決しても、すぐに次の問題に遭遇する。コーチングでは問題を様々な角度から見ていく。1人で考えるだけではなく、他の人と一緒に考える能力に働きかける。
コーチングにおける対話は「探索的」である。たった1つの正しい答えに向かって対話する訳ではない。コーチングでは、一見無駄と思えるようなことでも試してみたり、調べてみたりする。コーチは用意した答えに向けて「問い」かけるのではなく、クライアントの考えやその背景を理解するために柔軟に問いを広げていく。コーチングのセッションは探索的な対話であり、より多くの可能性をお互いの間にもたらす。
コーチはアドバイスしない
コーチは対話の目的に注意を向ける。またお互いの違いを見出し、何が違うのか、違いをどう受け止めているか、対立をどう扱っているか、知っていることをどれだけ行動に移せるか、人それぞれの学習スタイルの違いなどについて理解を深めることが求められる。
コーチはアドバイスはしないが、必要とされる知識にクライアントがどうしたらアクセスできるかについては話すことができる。コーチがアドバイスをすると、クライアントは「言われたからやった」という受け身になりやすくなる。一方、「問い」によって自分で考え、選択し、決断したことは自分の意思で動いた実感につながり、行動の質と継続性が高まる。人は自分で気づくことでしか、本当に自分の役に立つ知識は手に入れられない。
コーチング2つの問い
コーチングの基礎となるのは、次の2つの問いである。
①あなたはどうなりたいのか?
クライアントの理想とする状態やあるべき状態、すなわち目標を問うものである。
②それに対して現状はどうなっているのか?
現実の状態を問うものである。
この2つの問いの間に架ける橋がコーチングである。