BCG 経営課題解決「20の思考ツール」

発刊
2025年11月15日
ページ数
296ページ
読了目安
539分
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難しい課題を解決するためのフレームワーク
ボストン・コンサルティング・グループの第一線で30年間活躍しているコンサルタントが、難しい経営課題を解決するために、その打ち手を考え抜く時によく使っている「思考のツール」を20個紹介しています。

課題を解決するにあたって、現状を整理し、正しい戦略を導き出し、実行して成果を上げるために、使えるツール群になっています。どういったアプローチで物事を考えればいいのか、参照しながら、利用することができます。

難しい課題を解く方法

難しい課題を解くには、まず課題の全体像を理解しながら、検討の流れを組み立てることが肝要だ。その流れができたら、それぞれの項目、即ち立ち位置の確認や目的の設定などについて検討する。その際に役立つのが思考のツールである。

思考のツールとは、現状をしっかりと認識した上で正しい戦略を考え、具体的な施策を立て、実行しながら成果を上げ続けるために用いるツールである。

 

経営課題は思考ツールで一通りの検討をするだけでは不十分で、もう1つ重要なポイントが、7つの思考要素である。「誰が、いつ、どこで、なぜ、何を、誰に、どのように」という6W1Hである。7つの思考要素は、考慮すべき点がたくさんある時に、そこから重点を洗い出したり、見落としていた鍵となる課題を顕在化させたりするために必要となる。この鍵となる課題を意識しない状態で解決策を具体化し実行すると、成功確率が低くなる。

 

現状分析を支援する戦略的思考ツール

①構造化

構造化とは、物事の全体像とその中にある構成要素、そして構成要素同士の関係をわかりやすく可視化することである。構造化の目的は単に整理整頓することではなく、複雑な問題を論理的に扱える形に変換し、解決や意思決定のスピードを上げることにある。構造化は「要素分解」の後、「ピラミッド構造」にして行う。

要素分解とは、経営課題の原因を特定するために、課題を構成要素に分解、分析することである。この時、論理的かつ網羅的、即ち矛盾がなく、大きな要素の見落としもないようにすることが大切である。要素分解の手法としては、まず既存のフレームワーク(3C、SWOT、4P 、5Forceなど)の活用を考えるのが良い。要素分解は階層的であり、ピラミッド構造にして見せるとわかりやすい。どの階層においても、すぐ上の層と下の層との関係性は一律で、上の層に「なぜ?」を投げかけた時の答えが、下層に展開される。

 

②類型化

類型化とは、物事や事象を共通の特徴に基づいて分類し、一定の型に当てはめることを指す。複雑な情報の整理や理解が容易になること、予測や分析をしやすくなること、コミュニケーションが円滑になることがメリットだ。ビジネスの現場でよく用いる類型化には、顧客セグメント、業界構造と競争戦略、組織構造、ビジネスモデル、技術革新などがある。

 

③バリューチェーン分解

バリューチェーン分解は、企業のバリューチェーンを細かく分析し、各プロセスでコスト構造や付加価値を明確にする手法である。これにより、競争優位の源泉を特定し、コスト削減や差別化の戦略を立案することができる。

まず企業のバリューチェーンを細かく分解し、各プロセスをリスト化する。次に各プロセスでコスト、時間、付加価値の大きさを数値化して改善の余地があるかを分析する。その結果、どの部分でコストを削減するか、どの部分を強化すれば差別化できるかなどを検討し、その結果をもとに課題を抽出する。

 

戦略構想と施策立案に用いる思考ツール

④多角的な視点

多角的な視点は、1つの物事を様々な立場や角度から考えることを指す。単一の視点にとらわれず、異なる背景や価値観を取り入れて考えることで、より深い理解や柔軟な発想が可能になる。多角的な視点を持つためには、次の5つの思考法が有効である。

  1. 他人の視点で考える
  2. 「短期」と「長期」の両方で考える
  3. 過去・現在・未来で考える
  4. 「メリット」と「デメリット」の両方を考える
  5. 否定的な視点から考える

 

⑤アナロジー

アナロジーは、ある対象と別の対象の間にある共通点を見つけ、それをもとに考える思考ツールである。長所には、難しい概念をわかりやすく説明できる、新しいアイデアを生み出すヒントになるがある。アナロジーを活用するステップは以下である。

  1. 共通点を探す:「AとBはどこが似ているか?」
  2. 対応関係を作る:「Aのこの部分は、Bのどこにあたるか?」
  3. 応用する:「この類似性を使って、新しいアイデアを考えられるか?」

 

成果の創出と維持を促す思考ツール

⑥学習する組織

学習する組織とは、個人が学習するだけでなく、チームや組織全体が共に学び、変化に適応して成長し続けることを目的とした組織のあり方を指す。以下の5つの規律を中心に据え、実践することで変化を阻害する要因を取り除き、柔軟に対応できる力を組織として獲得する。

  1. システム思考:複雑な要素が絡み合った社会や環境において、物事を全体の視点で捉え、相互のつながりや影響を理解する
  2. 自己マスタリー:継続的に個人のビジョンを明確にし。それを実現するためにエネルギーを集中させ、現実を客観的に見る
  3. メンタル・モデル:先入観や固定観念といった、自分の中にある凝り固まった考え方に気づく
  4. 共有ビジョン:組織のメンバーが互いに共有している目的や目指すべき将来の理想像のこと
  5. チーム学習:ビジョンを共有したメンバー同士が、対話を通して学びあう