100年企業戦略 「持たざる」から「持つ」経営へ

発刊
2018年6月15日
ページ数
196ページ
読了目安
225分
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推薦者

都心一等地にある商業地こそ最強
100年以上続く企業をつくるために、本業以外で収益を生み出すことのできる不動産を持つことが重要であると説く一冊。企業は、どういった物件を持つのが良いのか不動産投資のポイントを紹介しています。

止まらない地方の地盤沈下

東京にヒト、モノ、カネなどがどんどん集まる一極集中が進むと、逆に地方経済は地盤沈下していく。若い人を中心にして人口流出が続けば、地方の経済活動はどんどん縮小していく。人口流出によって地方が追い込まれていく中、企業はどうやって生き残ればいいのか。

東京一極集中による地方経済の地盤沈下が未だに止まっていないのは、地元に新しい産業を作ったり、大手企業の支社や工場を誘致したりするというオーソドックスな手法が、全く功を奏していない証拠である。この出口のない迷路から脱するためには、発想を転換させる必要がある。

そもそも、ゼロベースから新しい産業を生み出そうとしても、すでにヒトやカネがどんどん流出している状態では、できることに限界がある。

本業に連動しない収益エンジンを構築せよ

地方の中小企業はこれから非常に厳しい経営環境に直面する。この厳しい経営環境下でも事業を継続できるようにするための方法が必要である。そこで重視したいのが、内部留保の拡大と、本業に連動しない収益エンジンを構築することである。

創業から100年以上経過した長寿企業の2位には、貸事務所業が入っており、全体の2.5%を占める。本業よりも安定した収益が得られるという点に着目して貸事務所業に進出したところ、結果的に業種が変わるケースが多い。つまり、景気変動の影響を受けにくく、安定したキャッシュフローが得られる貸事務所業などの不動産ビジネスを、本業と別に営むことで、長寿企業になるために必要な安定した財務基盤を築くことができる。

都内一等地の商業地が最強の条件

東京一極集中時代を生き残り、100年企業になるためには、景気の良し悪しに左右されない、盤石な財務体質を構築する必要がある。それを実現するためには、収益物件を所有することである。

不動産は買う場所さえ選べば、株式よりもはるかに高いパフォーマンスが得られる。収益物件を所有する場合は、どこを買うかという点が極めて重要になる。「地方より東京、郊外より都心、そして住宅地より商業地」が、値上がり益も期待できる。

東京都内の中心にある一等地で、かつ商業地は、その時々の一時的な需給変化によって、多少なりとも値下がりするが、基本的には上下の価格変動を繰り返しつつも、右肩上がりのトレンド描く。東京の中心部には、いくら需要があってもそれを満たせるだけの供給できる土地がない。よって、地価は常に上昇しやすい環境にある。

中規模ビルを狙え

不動産を購入する場合、中小規模オフィスビルが良い。大規模オフィスビルは1棟でも建てられると、オフィスビルの需給バランスが大きく変わり、賃料が値崩れするケースがある。一方、中小規模オフィスビルは需給が良好である。但し、縦に細長いペンシルビルはお勧めできない。この手のビルのテナントになる会社は、大半がスタートアップで、経営に失敗すれば倒産して退去するし、成功すれば大きなビルに引っ越していく。入退去が激しいため、安定した賃料収入が期待しづらい。さらに古いペンシルビルはIT対応がしにくく、物件としての付加価値が高まらない。

区分所有オフィスを買え

中規模ビルの価格は、20〜100億円にもなり、中小企業経営者や個人資産家には手を出しにくい。そこで「区分所有オフィス」に注目する。これは1棟のオフィスビルを複数のオーナーで所有する仕組みである。金額的に安くなり、手が届くようになる。