富が続く人は「自分の糧になること」にお金を使う
富裕層は、お金の4つのスキルである「稼ぐ・貯める・守る・使う」の内、お金を稼ぐスキルがずば抜けて高いため成功している。しかし、お金を稼ぐ力があるからといって、他の3つの力がバランスよく備わっているわけではない。これら4つのスキルの内1つでも疎かにすると、長くお金持ちでいることはできない。
富裕層の中でも「富が続く人」は例外なく、「お金をどう使うか」に独自の哲学を持っている。タイパやコスパといった目先の効率を「追いすぎる」ことは、本物の富裕層にはあまり見られない。だからといって、なんとなく無駄遣いするわけでもない。彼らは「このお金の使い方は、一体何を生み出し、何を育てるのか」を問いながらお金を使っている。
「富が続く人」と「富が離れていく人」は、財産シートが明確に違う。「富が続く人」は無形資産が非常に多く、「富が離れていく人」は無形資産が極端に少ない。表面的なわかりやすい豊かさは、今その瞬間、物質的に豊かである証明になっても、富を続けさせる力があることにはならない。モノとカネ以外の「目に見えない資産」であるスキルや知識、信用、健康、時間といったものにこそ、豊かさの鍵が隠されている。
この「見えない資産」を生み出すのが、「ストック支出」というお金の使い方である。支出は次の2つに分けることができる。
- フロー支出:その場限りで流れていくもの。今日の出費が明日には価値を失って自分の中に何も残らない支出。
- ストック支出:じわじわと自分に蓄積されていくもの。その価値は時間が経ってから効いてくる、自分の糧になる支出。
大事なのは、それが高かったか安かったかではなく、「何のために使ったか」である。価格よりも「どんな自分を育てるお金だったのか」という問いを軸にすれば、お金は「見えない資産」に変わっていく。
富裕層に共通する「8つのストック支出」
富裕層の支出の本質は、静かに続けている「ストック支出」にある。日々の暮らしの中で体験し、学び、人と出会い、健康を守る。そんな積み重ねの中で育っていくのが「見えない自分資産」である。これが人生の選択肢や可能性を広げ、将来の自分を支えてくれる「本当の財産」になる。
富が持続している富裕層のお金の使い方は、大きく次の8つに分かれている。
- 価値ある体験
- 継続的な学び
- 体の健康
- 心の健康
- 家族
- つながり
- 社会貢献
- 投資
8つの領域の内、何を重視するかは、人によって、また年齢やステージにより異なるが、どれかが「ゼロ」の人はいない。豊かであり続ける人ほど、この8つのどこかに偏愛を持っている。
日々の選択が「今の快楽」ではなく「未来の自分と誰か」のための支出につながる。「消えていくフロー支出」よりも「積み上がっていくストック支出」を選ぶこと。それを積み重ねていくことが「見えない自分資産」を築き上げ、長期的な豊かさを得ている「本物の成功者たち」の共通点である。
富裕層の思考の根幹にある8つの行動原則
①好奇心・チャレンジ精神が旺盛で、早期リタイアはしない
失われることのない好奇心、「自分がワクワクするから」「社会のために」という情熱や使命感が、生涯現役を可能にし、長く働き続けることで収入と可能性を広げる確実な道となる。
②圧倒的な努力と行動量でやり抜いた経験がある
圧倒的な努力と行動を積み重ねることで、見えない自分資産が育ち、将来の大きな成果へとつながっていく。
③失敗を恐れず、打席に立ち続ける
挑戦を続け、経験を積み重ねること自体が、見えない資産を育て、将来の自分を守る大きな武器になる。
④時間を味方にし、複利で資産を育てる
短期的に結果を求めず、何事も長期戦で考える。多くの場合、富裕層が手にしている成功は複利的である。この複利の力は資産運用だけでなく、見えない資産にも当てはまる。
⑤凡事を徹底し、信頼を築く
挨拶する、約束を守るといった基本の積み重ねに加え、誰が見てもフェアでフラットな言動が、信頼を生む。できないことを隠さず、透明性があることが富裕層に共通する姿勢である。
⑥「当たり前以上」を積み重ねる
仕事で求められたことをやり遂げるのは当たり前。そこに+αを加えて相手を驚かせる人ほど高く評価され、信用を勝ち取り、やがて大きな成功を収める。
⑦時間=資産という感覚を持っている
「時間=資産」と考え、自分の時間を、誰と何に投じるかを徹底して見極めている。
⑧プロに任せるが、丸投げはしない
お金の管理を決して人任せにしない。プロに任せるところは任せつつ、自分自身でも状況を理解し、最後の判断は自ら行う。
富裕層は共通してモノやカネではなく自分の内側に蓄積されるものへの感度が高い。それは、すぐに見える成果や評価ではなく、経験や学び、信用や判断力といった「見えない自分資産」を、日々積み上げることへの信頼感である。