問題の捉え方を変える
現代社会には緊張感が張り詰め、刺激物や情報で溢れている。そのため考えすぎてしまうと、脳のキャパに過度の負担がかかる。思考が制御不能に陥り、さらに考えすぎてしまう。「考える」ことは、問題を解決するための行為である。しかし「考えすぎる」と逆に問題が生まれてしまう。考えすぎると、心配、不安、ストレス、反芻、強迫観念といった状態に陥り、ひどい気分になる。
考えすぎる人は、今心配している問題が解決すれば、すべての悩みは解消されると思い込んでいることが多い。つまり原因は「考えすぎてしまう自分」ではなく「問題そのもの」にあると思っている。しかし、目の前の問題を解決しても、悩みはすべてなくなったりはしない。すぐに別の心配の種が現れ、また考えすぎてしまう。
不安や考えすぎにうまく対処するためにできるのは「自分の考え方を変える方法」である。考えすぎてしまう人は、遺伝的・環境的要因を抱えていることが多い。しかし、最終的にその原因が現実のものになるか否かは、当事者がその状況をどう捉えているか次第だ。
ストレスから自動的に抜け出す
ストレスを脱し、不安で考えすぎている心を落ち着かせる方法はいくらでもある。
①「不安」と「認識」を区別する
ストレスを管理するために重要なのは、自分自身への気づきを保つことだ。これは自分の内側と外側の反応に素直に意識を向け、「不安」と「認識」を区別すること。「不安」を招く解釈や意味づけを加えずに、ストレスの対象を客観的に「認識」する。そうすれば、避けられないストレスに対して、自分の取るべき行動を冷静に選べる。
②ストレスに4つの選択肢で対処する
あらゆるストレスへの対処法は基本的に次の4つしかない。
- 回避:不要なストレスを避ける
- 変更:ストレス要因を変える
- 受容:ストレス要因を受け入れる
- 適応:ストレスのある状況に自分を合わせる
③言葉に書き出す(ジャーナリング)
日々のストレス体験を言葉にして書き出す。ポイントはストレス源になった体験について書き、徐々にポジティブな感情に意識をシフトしていくこと。その際、次の3つを書く。
- 誰かに助けてもらった時のこと
- 感謝していること
- 自分にとって一番大切な価値観や原則
時間とインプットを管理する
多くの人にとって、優れたストレスマネジメントとは、優れた「タイムマネジメント」である。時間管理を突き詰めると「優先順位を決め、それを目標設定の指針にする」という基本的なスキルに帰着する。
①「緊急」「重要」「非重要」の3つに分ける
その日のToDoリストを書き出し、各項目を「緊急」「重要」「非重要」のいずれかに分類する。自分にとって何が「重要」かよく考えてみる。「緊急」または「重要」なタスクの上限を決めると効果的である。
②「SMART目標」を立てる
「考えすぎ」に関しては、目標設定によって成功以上のものがもたらされる。うまく目標設定ができれば、雑念を断ち切り、集中しやすい。
- S(Specific):具体的であること
- M(Measurable):測定可能であること
- A(Attainable):達成可能であること
- R(Relevant):関連性があること
- T(Time-bound):期限つきであること
瞬間的に不安を吹き飛ばす
瞬間的に「禅の境地」のように心を落ち着かせることができるテクニックを「インスタント禅」と呼ぶ。心身を落ち着かせる「リラクゼーション状態」に入るには、訓練が必要である。以下の4つに共通するのは、頭の中を思考だらけにせず、心を落ち着かせ、体感覚を今この瞬間に集中させることである。
- 自律訓練法:心身全体を対象にする決まった言葉を心の中で繰り返す
- 視覚化:目の前に存在しないものを頭の中でイメージする
- 漸進的筋肉弛緩法:筋肉を意図的に緊張させ、次に弛緩させる
- 心配の先延ばし:「心配する時間」を決めて後回しにする
思考パターンを変える
現実「そのもの」ではなく現実の「捉え方」を変える。大切なのは、有害な思考や考えを見つけ出すことだ。「現実世界に対する自分の考えはどれくらい正確なのか」と自問してみること。認知の歪みには、次のタイプがある。
- オール・オア・ナッシング思考
- 過度の一般化
- 個人化
- 「内在化」または「外在化」
- ネガティブバイアス
- 感情的推論
自分の行動の原因と結果を客観的に観察し、パターンを見つけ出すことで「認知の歪み」に気づくことができる。
人生を変える5つの態度
ネガティブな考えすぎに飲み込まれて動けない人と、どんな課題や緊張にも柔軟にすぐ対処できる人のほんのわずかな違いは「態度」である。
- コントロールできないことではなく「コントロールできること」に集中する
- できないことではなく「できること」に集中する
- 持っていないものではなく「持っているもの」に集中する
- 過去や未来ではなく「現在」に集中する
- 欲しいものではなく「必要なもの」に集中する