戦わずして売る技術

発刊
2025年9月3日
ページ数
312ページ
読了目安
353分
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推薦者

本質的なWEBマーケティングの活用方法
健康食品・化粧品ブランドを企画開発し、ネットで販売している「北の達人コーポレーション」代表が、WEBマーケティングで、商品を売るための方法を紹介している一冊。

北の達人コーポレーションで行われている具体的なWEBマーケティングの実践方法が書かれており、 ECでモノを売るためのヒントが満載です。スマホで商品が選ばれる時代、どのようにマーケティングを実践すれば良いのかが分かりやすく解説されています。

棲み分けを生み出すことが重要

マーケティングは、競争を避け、顧客にとって本当に価値あるものを提供するための道具である。競合との無意味な戦いをやめ、売れ続ける新たな市場を作ることが、マーケティングの本質だ。

競合との戦いを避けるために最も重要なのが「棲み分け」である。適切な商品を適切なユーザーに届けるコミュニケーションを設計することで、自社商品に合うユーザーのみがスムーズに自社商品に辿り着き、他社商品に合うユーザーはスムーズに他社商品に辿り着く状態を作る。

 

今は、WEBマーケティングの広告配信技術によって、「ドンピシャ」のターゲットにだけアプローチできる。これにより、競合と戦う必要はなくなった。マーケターの仕事は、その商品の特性に応じて「誰に広告を見せるか」「誰に見せないか」という棲み分けのルールを作ることだ。

 

3つの競合を見極めて差別化をする

現代の競合は大きく分けて3種類存在する。

  1. プロダクト競合:同じカテゴリの商品同士で戦う競合
  2. インサイト競合:消費者の心理的な要因による競合
  3. メソッド競合:目的を達成するための方法の違いによる競合

 

プロダクト競合だけを意識して差別化戦略を練っても、WEBマーケティングの世界では無意味だ。なぜなら、消費者は、手のひらのスマホの中のWEBという市場において、常に「プロダクト競合」「インサイト競合」「メソッド競合」という3つの選択肢に囲まれた状態で選択をしているからだ。

競合との戦いを避けるためには、この3つの敵を見極め、それぞれに対する戦略を練ることが不可欠である。消費者の心の壁や、同じ目的を果たすための別の選択肢まで視野に入れてこそ、真の差別化が可能になる。

 

顧客を理解する

WEBマーケティングの肝は「どんな人に」「どんなことを」「どのように」伝えるかだ。ターゲットを「どんな人」に設定し、商品の「どんなこと」を伝えれば最高の反応を得られるかに向けて全力を尽くす。

 

「どんな人に×どんなことを」という組み合わせが変われば、人々の心は異なる反応を示す。「顧客ニーズの9段階分類」は、顧客理解とターゲット設定の精度を極限まで高め、ターゲットの変化がメッセージに及ぼす影響を鮮明にする。

  1. 対策の必要性に気づいていない人
  2. 対策の必要性に気づいているが、その悩みは一時的なものだと思っている人
  3. 対策の必要性は自覚してはいるが、まだ何もやっていない人
  4. 対策を色々と検討し始めている人
  5. 対策を色々と検討してかなり詳しくなっている人
  6. 対策の手を打ち始めた人
  7. すでに対策用のお気に入り商品を使っていて、それに満足している人
  8. お気に入りの商品はあるが、他にもっといいものはないか探している人
  9. 色々試したが、結局満足するものはなかった人

 

悩みの深さや段階に応じて効果的なメッセージは全く異なる。顧客の心の奥に潜む「まだ言語化されていない欲求」を先読みし、各段階で最適なメッセージを送ることで、顧客からの熱狂的な共感を起動させる。

 

顧客を理解するために一番重要なことは「当事者に聞く」ことである。自分が担当する商品について、徹底的にヒアリングを実施しないと売れるかどうか判断できない。ヒアリングのレベルは、3段階に分かれる。

  1. 観察=ターゲット層が何を好んで何を好んでいないかという「結果」を知る
  2. 置き換え=自分がターゲット層だとしたらどうするか「想像」する
  3. 憑依=ターゲット層の「思考回路」に基づいて判断できるようになる

理解すべきなのは「趣味嗜好」「立場」ではなく「思考回路」である。ターゲットに憑依して、思考回路をハックする。

 

「売れる理由」を明確化する

「どんなこと」とは、ユーザーにとっての最大の利点「ベネフィット」でなければならない。このユーザーに訴求する利点を「USP(自社の商品やサービスが持つ他社にはない独自の強みや価値)」と呼ぶ。ターゲット層に響く独自の強みをどう打ち出すかが、マーケティング戦略の成否の鍵となる。

 

USPは、以下の4種類に分類する。

①ユニークベネフィットUSP(ベネフィットの独自性)

他社が提供していない独自のベネフィット。

 

②アドバンテージベネフィットUSP(ベネフィットの優位性)

競合商品と比較してベネフィットに優位性がある。この優位性には「本質的価値」と「付随的価値」の2つの側面があり、3つの細分化される。

  1. リーズンUSP(本質的価値=根拠の説明)
  2. オーソリティUSP(本質的価値=実績・権威性・第三者評価)
  3. エクストラUSP(付随的価値)ex.値段が安い、注文後すぐに届く

 

1つの商品について最大4種類のUSPを生み出すことができる。良いUSPを生み出すには、商品周辺情報をどれだけ知っているかが重要だ。商品は最初からUSPとなりうるものが備わっているわけではない。商品の奥に潜んだUSPを発掘するのがマーケターの仕事だ。工夫ひとつで「比較されない価値」を築くことは可能である。