カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

発刊
2018年6月6日
ページ数
368ページ
読了目安
582分
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顧客を長くつなぎとめるための原則
あらゆる分野でサブスクリプション型サービスが増加している。企業は「売る」から「長く使ってもらう」へと発想を変え、データを駆使して顧客を支援する必要があると説く。

カスタマーサクセスとは

クラウド時代には本当の意味での顧客第一主義への移行が求められてきたが、顧客満足とカスタマーサクセスは必ずしも同義ではない。サブスクリプションモデルにおいては、企業は常に顧客が勝利するよう働きかけ続けなければいけない。うまくいっている企業では、1日も欠かさず顧客の成功を目指している。どの顧客も最高の経験をすべきだし、成功に向けた揺るぎない献身を企業から受ける価値がある。しかし、成功は標準化できるものではない。そのことを理解している企業が、最大の報酬を得られる。

顧客第一主義を究極まで取り入れるということは、顧客の話を聴き、クラウド、モバイル、ソーシャルメディア、分析技術などを活用して、自社のサービスを顧客の立場に寄せて運用するということだ。そして、顧客のまだ満たされていないニーズを深く理解するということである。その理解が自社の組織でカスタマーサクセスを運用するための戦略、チーム、仕組みを築く基盤となる。

心理ロイヤルティを生み出す手段

カスタマーサクセスは画一的な提案ではなく、カスタマーサクセスを下支えするテクノロジーと同じ速度で進化している。顧客の成功には、顧客との絶え間ない確認と、顧客のニーズに基づいた製品やサービスの適用が必要だ。

カスタマーサクセスとは、つまるところロイヤルティだ。セールスフォースのような定期収益ビジネスにとっては、ロイヤルカスタマーは必須である。顧客の獲得には金がかかるから、獲得した顧客を手放さないことは、必須事項だ。

ロイヤルティには、心理ロイヤルティと行動ロイヤルティの2種類がある。ロイヤルカスタマーには、行動や理性からそうすべきと考える人と、そのブランドや商品が好きだからという人がいる。心理ロイヤルティは構築するのも維持するのもずっと大変である。実は、カスタマーサクセスとは、心理ロイヤルティを生み出すための手段である。このことに気づいたマーク・ベニオフ率いるセールスフォースは、10年間、莫大な時間と金をカスタマーサクセスに投じてきた。

カスタマーサクセスとは本質的に、リテンション率とLTVを最大限引き上げることを目標として、カスタマーエクスペリエンスに特化した組織のことである。これが効率良くできるだけでサブスクリプション企業は生き残ることができるし、市場を支配できるのはこの点で極めて優れた企業だけだ。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

カスタマーサクセスはカスタマーサポートではない。カスタマーサポートの中心に来るのは「壊れたら直す」という言葉だ。カスタマーサクセスの組織を成功させるには、カスタマーサクセスとカスタマーサポートとの担当範囲に明確な線を引くことが必要だ。

●カスタマーサクセス ↔︎ カスタマーサポート
財務上の性質:収益ドライバー ↔︎ コストセンター
活動 :先回り型 ↔︎ 要望対応型
指標 :成功重視型 ↔︎ 効率重視型
モデル:分析中心 ↔︎ 人手集約
目標 :予測性 ↔︎ 応答性

カスタマーサクセスの10原則

①正しい顧客に販売しよう
②顧客とベンダーは何もしなければ離れる
③顧客が期待しているのは大成功だ
④絶えずカスタマーヘルスを把握・管理する
⑤ロイヤルティの構築に、もう個人間の関係はいらない
⑥本当に拡張可能な差別化要因は製品だけだ
⑦タイムトゥバリューの向上にとことん取り組もう
⑧顧客の指標を深く理解する
⑨ハードデータの指標でカスタマーサクセスを進める
⑩トップダウンかつ全社レベルで取り組む