ストレッチ 少ないリソースで思わぬ成果を出す方法

発刊
2018年4月26日
ページ数
288ページ
読了目安
391分
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制約こそが創造性を生む
豊富なリソースを追い求めることが、優れた成果をあげることにつながるとは限らない。手元のリソースの価値を見直し、最大限に活用することが、優れた成果を生むと説く一冊。

ストレッチとは

個人も組織も「成果をあげるには資源(リソース)が必要」と考え、目の前にある豊かさを見逃している。本当は誰でも、手持ちのリソースで仕事や暮らしをもっと充実させることができる。

私たちの多くは、「リソース獲得の重要性を過大評価する一方、手持ちのリソースを活用する自分自身の能力を過小評価しすぎる」という問題を抱えている。

これを正すにはどうすればいいのか。人や組織が考えを改め、リソースを最大限活用して大きな成果をあげ、達成感を得るためには、「ストレッチ」のの極意を習得するのが近道だ。ストレッチとは、多くのリソースを望むのではなく、手持ちのリソースの可能性を受け入れ、それを行動の手がかりにする考え方であり、技能である。

リソースは多ければ多いほど良い訳ではない

事業の立ち上げやキャリアの育成から子育て、幸福の追求まで、何か重要なことを手掛けようとする時、人は普通、本能的にこう考える。

豊富なリソース=優れた成果

要はその方が安心できるからだ。リソースが多ければ多いほど、たくさんのことができ、気持ちが安らぐ。しかし、それは大抵ベストの結果をもたらさない。なぜなら、必要のないリソースを追い求めると、既に手元にあるリソースのポテンシャルを見逃してしまうからだ。

「絶えず何かを追い求める」アプローチを「チェイシング」と呼ぶ。チェイシングに依存しがちな人(チェイサー)にとって大事なのはリソースの獲得であり、手持ちのリソースの活用には目もくれない。その意思決定や行動は一見合理的に思えるが、実は最悪の結果を招きかねない落とし穴が潜んでいる。

結果的に大きな成功を収めるような人は、リソースへのアプローチ方がチェイサーとは全く違う。

リソースの優れた活用=優れた成果

人は必要に迫られてリソースフルになれば、信じられないようことでも成し遂げられる。制約があるがゆえに創意工夫を惜しまず、創造的に行動し、結果として問題解決に辿り着くことさえある。

リソースを追い求める要因と弊害

チェイシングは人を不幸にするだけでなく、リソースが持つ見かけ以上の可能性を見えなくし、ストレッチの能力を低下させる。その要因は次の4つ。

①上方社会的比較(他人よりもリソースを増やそうとし現状に失望する)
②機能的固着(リソースに対する見方が固定化し、手持ちのリソースの価値を見逃す)
③無分別な収集(リソースを集めることが目的化する)
④リソースの浪費(豊富な余剰リソースが浪費に走らせる)

他人の所有物を羨み、自分の持つ資産に気づかないのがチェイシングだ。それは際限なきリソースの供給に依存した生き方につながり、既にある資源を有効活用する可能性を閉ざしてしまう。短期的には、チェイシングで一定の恩恵にあずかれるかもしれない。だが、長期的には心の充足を失い、成功から遠ざかる。

ストレッチマインド

ストレッチの基本は、既にあるものを重んじることだ。ストレッチのマインドを身につければ、リソースが足りないという不安から解放され、すぐそこにあるもので十二分な結果を出せるようになる。その要因は4つ。

①心理的オーナーシップ(当事者意識によって、手持ちのリソースを幅広く活用できる)
②制約の受け入れ(制約があった方が既存の資源を最大限活用しやすくなる)
③質素倹約(社会的比較の影響を受けにくく、手持ちのリソースを再利用する)
④価値を付加する(アクションを通じてリソースに価値を付加する)