世界最強のエコノミストが教える お金を増やす一番知的なやり方 賢明なる投資家のためのパーソナル・ファイナンス読本

発刊
2018年8月9日
ページ数
325ページ
読了目安
389分
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プロにも勝てる投資の考え方
世界最高のエコノミストの一人である著者が、個人でもプロに勝てる投資の考え方を紹介している一冊。個人が資産運用するにあたって、最も賢明な方針が書かれています。

価格と価値の関係は何で決まるのか

・資産の価値とは、誰かがそれを得るのに支払いたいと思う額である
・資産の価値とは、それが将来にわたって生み出すキャッシュである

前者を「時価会計」原則、後者を「ファンダメンタル・バリュー」と呼ぶ。ほぼすべての価値査定方法はどちらか一方の、あるいは両方の原則がもとになっている。

価格と価値、どちらの原則を当てはめるべきか。市場の価格は、ファンダメンタル・バリューと全く関係なく動く訳ではない。ファンダメンタル・バリューが価格に影響するからだ。市場の価格とは、ファンダメンタル・バリューの投票結果なのである。

この考え方からは、効率的市場仮説が導き出される。市場の価格が、様々な情報をもとにしたファンダメンタル・バリューについての推計値の平均であるなら、市場は狭い技術的な意味だけでなく、広い意味でも効率的と言える。つまり、市場の価格には入手可能なあらゆる情報が織り込まれている。

市場の効率性は完璧ではない

投資の世界には、効率的市場仮説が深く根付いている。理論から外れた動きは未だに「アノマリー(変則)」と呼ばれるほどだ。

しかし、市場価格とはファンダメンタル・バリュー推計値の投票結果であるという考え方は、金融市場の現実からかけ離れている。大半の市場参加者は長期的な経済動向や企業の競争優位性ではなく、コロコロと変わる市場の意見や、ブルームバーグの画面を流れていく刹那のニュースに気を取られている。効率的市場に「織り込まれている」のは、金融村で広く共有されているが必ずしも根拠のはっきりしない総意だ。

今上昇している相場は、しばらく上昇し続ける傾向がある。市場は短期的には正の自己相関、つまりモメンタムという特性を持つ。長期的には、大幅に上昇した相場は下落する傾向がある。ファンダメンタル・バリューに向けたミーン・リバージョン(回帰)である。

市場の判断と、その根底に横たわる現実との違いや、価格と価値の違い、市場心理と経済や企業のファンダメンタルズの違いは、明らかに重要である。バフェットとソロスは、これらの違いを利用して何十億ドルと稼いだ。2人とも、この違いが自らの成功の基礎であると認めている。

ソロスの投資戦略の神髄は、うつろう市場心理を他のトレーダーよりも上手に読み、先を予想することだ。バフェットの投資戦略の神髄は、ファンダメンタル・バリューを重視した上で、割安な資産を買うチャンスとして不安定な市場心理を利用することだ。

ファンダメンタル・バリューに注目せよ

企業の価値は、商売敵に対する競争優位性を築けるかどうかによって決まる。長年にわたって超過リターンを生み出す源は、持続的な競争優位性をおいてほかならない。

市場のモメンタムを見極めたり予想したりすることによって儲けることは、例外的とはいえ可能だ。市場に密着し、モメンタムの決定的要因を直感的に嗅ぎとったり、場合によっては分析して突き止める人は、多くはないが一部にはいるが、個人投資家であることはまずない。賢明なる投資家が、市場で後れと取らないには、ファンダメンタル・バリューに注目するほかない。この方法なら、四半期単位とか、頻繁に成績を判断される投資のプロよりも、大いに優位に立てる。プロの投資家の横並び思考に加わらないこそ、逆張りのチャンスがある。投資業界にノイズを無視する自由はないが、あなたにはある。

分散せよ

将来どうなるかの憶測に時間を費やすのではなく、将来は必然的に不確実だと心得よう。様々な偶発時に対して頑丈なポートフォリオをつくって身を守ろう。このような分散こそ、複雑な世界に対処する上で最も有効な手立てだ。そして、投資リターンを高めるには、手数料をなるべく払わないことが大切である。