部下を元気にする、上司の話し方

発刊
2018年9月14日
ページ数
224ページ
読了目安
241分
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部下とうまくコミュニケーションをとる方法
上司はどのように部下を褒めて、叱ればいいのか。親やすさは大切でも馴れ馴れしいのはNG。部下との適切なコミュニケーションのポイントがたくさん盛り込まれた一冊。

「褒める」こと、「叱る」ことよりも大切なこと

部下は上司から「自分に深く関心を持ってもらうこと」を求めている。褒められることを望んでいるわけでも、叱られることを嫌がっているわけでもない。自分のことをよく見てくれて、関心を持ってくれている人からであれば、叱られても愛を感じると言う。逆に関心を持ってくれず、自分のことをよく見てもいないのに、適当な表現で褒められると何も響かない上に信頼もできないと言う。

相手に関心を持ち、決めつけることなく、よく観察をする。わからなければ直接質問をする。その姿勢を存分に伝えた上での指導であれば、部下にその場でうっとうしく思われたとしても、嫌われることはなく、「この上司がいて良かった」と思ってもらえる。

今の若い世代の人たちは、私たちが思っている以上に冷静に上司を見ている。部下の成長を心から願うからこそ、部下を褒めることも叱ることも本気でできる。

人として当たり前のことをする

部下たちは上司に対して何かレベルの高いものを要求しているのではなく、もっと人として本質の部分を冷静に見ている。「ありがとう」と「ごめんなさい」がきちんと言えること。上司が部下に対して当たり前のことができているか。部下を持つ上司である前に1ビジネスパーソンであり、人であるということ。その原点に立ち返り、自分自身を見つめ直すことから始めた方が良い。

言葉を崩さず部下をバカにしない

部下に親しみやすい上司として接しているつもりが、結果的に部下からは馴れ馴れしい上司と思われ、嫌われてしまっていることが多々ある。上司が部下に発している親やすさと、部下が上司に求める親しみやすさには、違いがある。

いわゆる「人の心に土足で踏み込んでくる」という印象が「感じのよさ」を上回ると「親しみやすい」から一気に「馴れ馴れしい」に変わってしまう。部下の心に土足で踏み込んでくる上司の特徴は3つ。

①部下をバカにしている
②自己中心的である
③適切な距離感が取れない

安易に言葉づかいを崩すことやニックネームや下の名前で呼ぶことが、必ずしも部下にとって親しみやすさにつながるわけではない。正しい言葉づかいや敬語を使うということは、部下を尊重することにつながり、上司である自分自身を表現するものとして非常に効果的である。

女性脳の部下に対する叱り方と褒め方

「女性脳」的思考を持つ部下は、感情や人間関係を重視する。そもそも「叱られる」こと自体を「上司から嫌われているのかもしれない」という認識を持つ。そのため、怒りという感情よりも、相手に対して「期待」や「好意」を前提に叱る必要がある。最初に感じる「第一感情」(期待、心配)を伝え、相手への感情「第二感情」(怒り)をコントロールする。

褒める時には、第三者からのメッセージを伝える。日頃から他者の目を気にしているため、第三者からの褒め言葉がモチベーションにつながりやすい。

男性脳の部下に対する叱り方と褒め方

論理や根拠を重視する「男性脳」的思考を持つ部下は、感情というものに左右されない。むしろ冷静な視点を持っているため、感情的な発言や感情に訴えかけたような叱り方に対し、心に響かないだけでなく嫌悪感を示す場合さえある。
そこで、取り入れるべきは「相手の言い分」をまず聴くこと。冷静にミスや事実を捉えることができるため、なぜこのような状況が起き、そのような行動を取ってしまったのかを部下本人の口から言ってもらうことが大切である。

さらに褒める時には、「何か工夫したことはある?」と成功の要因を部下本人から言語化してもらうと良い。論理や過程を大切にしているので、その部分まで関心を持ってもらえて評価されたという気持ちになる。