小さな会社は「社長通信」で差別化せよ
競合他社よりもお客様に喜んで頂ける自信があるのであれば、発信をして他社との違いを伝える必要がある。他社との違いが伝わってはじめて、お客様に指名してもらえる。しかし、現代はSNSやブログを通じて、誰でも情報発信できるようになり、ますます情報過多になっていく。その中でSNSを苦手とする人が戦ってはいけない。小さな会社は、そんなところに貴重なリソースを割くのはやめて、あえて流行に乗らずに、アナログのツール「社長通信」で勝負していく方が賢明である。
小さな会社が発信すべきは「社長の人柄」である。そこで差別化をする。唯一無二の社長の人柄は、他社が真似ることはできない。「どうせ買うなら◯◯社長のところから」という状態を作り上げる。テレビや雑誌、YouTube等に出てくるような「名物社長」になる必要はない。お客様に対して真摯に向き合う姿勢、真面目に商売をしている姿勢、一生懸命な社長の素晴らしい人柄を、誠実に淡々と発信していけばいい。
小さな会社は、万人受けする必要がない。小さな会社にとって大事なのは、大企業が手掛けにくい特定の顧客層や地域で、お客様から「ありがとう!」と言って頂けるような取り組みをすることだ。見知らぬ誰かから「いいね!」をされるよりも、既存客や見込み客から感謝されることの方が、小さな会社にとっては何倍も大事であり、その後の商売にも大きくプラスになる。
「社長通信」と同じような効果があるのがメルマガだ。しかし、メルマガはライバルが多すぎるという難点がある。さらに最低週1回は出し続ける必要がある。その点、アナログの「社長通信」は、ライバルも圧倒的に少なく、月1回の発行で全く問題がない。
お客様が商品・サービスを探す時に一番に思い浮かべてもらえれば、真っ先に購入候補となり、選ばれる可能性が高くなる。そのお客様が商品・サービスを探されるタイミングがいつ来るのかはわからない。だからこそ、そのタイミングが来た時に一番に声がかかるように、定期的に「社長通信」を出し続けるのである。
A4一枚「社長通信」の書き方
「社長通信」は、自分にとっての「理想のお客様」のことを想定して書く。万人受けを狙って書くと、内容がぼやけて読者に響かなくなってしまう。まず嫌なお客様を箇条書きにし、その嫌な理由を反対にして考え、置き換える。その一覧を見て、最初に顔が思い浮かぶ人が「理想のお客様」である。
「社長通信」は、A4用紙一枚に以下の4部構成で作る。
①タイトル(社長通信の名前)
まず似顔絵(もしくは顔写真)を入れることが非常に重要である。この「社長通信」が届いた時に、一瞬で思い出してもらえる。文字だけの通信は、大量に届くメルマガと同じになってしまう。
②メインコラム
自分のことをオープンにする「自己開示」と似た言葉に「自己呈示」がある。自己呈示とは、自分が相手にどう見られたいかを意識して、自分の良い面や経験、スキルなどを積極的に相手に伝えることである。メインコラムでは「自己呈示」を使い、サブコラムでは自己開示を使う。特に読者であるお客様にどんなことでお客に立てる人間かが伝わっていない段階では、メインコラムでの自己呈示は必須である。
メインコラムのポイントは次の3つ。
- 文字数は音読しても3分で読める840字程度
- 文字の大きさは基本12ポイント、対象読者が60代以上の場合は14ポイント以上
- FAXでも文字がかすれないように字体は明朝体よりゴシック体
840字程度のまとまった文章を書くためには「4行日記」の文章構成で書く。
- 事実:その日の出来事で心のアンテナが反応したことを1つ選ぶ
- 気づき:「あっ、そうか」と閃いたことを書く
- 教訓:気づきから学んだこと
- 宣言:「ありたい姿」を力強く断言
メインコラムを枠に入れたら、その左下に本文に関する挿絵を入れる。
③サブコラム(編集後記)
サブコラムでは、メインコラムよりももっと個人的なことを自己開示を意識して書く。読者との距離が縮まり、親近感がわく。サブコラムはちょっとした日記だ。仕事よりはプライベートのこと。切り口は、家族のことや自分の健康のこと、趣味、ペット、どこかに出掛けて嬉しかったこと、驚いたことなどだ。
④発行者プロフィール
社長自身のプロフィールを書く。氏名、出身地、生年月日、血液型、出身学校、経歴、趣味、特技、資格、家族構成、ペット、ゆかりの地、尊敬する人、座右の銘、個人的な目標などだ。個人的な情報を複数書いておくことで、読者の方と共通点があれば、それだけで親近感を持たれ、仕事の受注に繋がることだってある。