MONEY BIAS 30のお金の嘘を明らかにし、人生・仕事の思い込みから自由になる新たな習慣

発刊
2025年4月1日
ページ数
344ページ
読了目安
195分
推薦ポイント 8P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

お金に対する価値観を考えさせる本
一般的に考えられている「お金」に関する常識をバイアスだとして、30の嘘として提示している一冊。

お金というものをどのように捉えるかを考えさせ、お金に振り回されない人生を送るためのヒントが書かれています。
日頃、常識だと思っている「お金」の価値観を改めて、見直してみるきっかけになります。

お金からは本当のパワーは得られない

「お金はパワーだ」という信念は強固で、広く信じられている。その信念によってお金がパワーになることもあるが、常にその通りになるとは限らない。お金からは本当のパワーは得られない。

お金にパワーを重ねてしまうのは、私たちがお金に対して2つの誤ったイメージを持っているからである。

 

①「お金持ちは、たくさんのものを所有している」という物質主義的イメージ

私たちは、お金があれば、人生をうまくやっていけると思い込んでいる。皮肉なことに、お金を手に入れようと頑張っている人の方が、既に手にしている人よりもパワーを持っていたりする。彼らは目標達成に向けて集中しており、希望に満ち溢れている。

 

②「お金がないと何もできず、運命を切り開くこともできず、やがて困窮に陥る」というイメージ

私たちの世界に貧困が存在するのは事実だが、個人であれ集団であれ、お金がないこと自体が原因ではない。貧困はお金と関係しているがそれはお金に対する信念や嘘に関係している。

 

最低限のお金があっても幸せになれるとは限らない

幸せで快適に暮らすには、ある程度のお金が必要だと多くの人が思っている。しかし、この考え方は危険である。幸せになるための「最低限の金額」を一度設定すると、そこから際限なく金額が増え続ける。しかし、それを繰り返しても「幸せになるには、最低限のお金が必要だ」という約束は決して果たされることがない。

最低限の金額は、将来の欠乏に対する恐れから設定されているので、目標が達成されたからといって、その恐れが消えることはない。そして、今度こそはと期待して、また新たな目標を設定し続ける。

 

お金があっても安心できない

「お金がないと安心できない」は、「空気がないと呼吸ができない」と同じくらいに切っても切れない関係に見える。ところが、これは嘘である。いくらお金があっても、安心は数分も続かない。ある程度のお金や富があれば安全が保証されるというのは幻想である。現実的には、お金をどれだけ持っていても、いつも心のどこかに不安がつきまとう。快適に暮らしていくためには、あと少しの貯金が必要だと。

 

気がついた時、人生は本来の目的を忘れ、財産を失わないこと、そして財産を守ることになっている。これを維持するためにはお金がかかるので、さらにたくさん稼がなくてはならない。「お金があれば安心」という嘘を信じ、それに従い続けるならば、自分で作った安心という名の牢獄で人生を過ごすことになるかもしれない。安心を求め続けた末に、不安の牢獄に自分を閉じ込める。

 

やりたいことから始める

「やりたいことのためには、働いて稼がなくてはならない」という嘘は、私たちに深く根付いている思考である。この格言を実践して、本当にやりたいことをやって夢を叶えた人を見たことがない。一方で、この逆をいく人は見る。彼らはまず自分がやりたいことから始める。そうすると、お金やそれ以外の必要なリソースが自然と彼らに引き寄せられていく。

 

お金はやりたくもない仕事をした報い、報酬に留まるものではない。仕事は「報い」以上のもの、つまり、仕事は「愛」から生まれる。

 

みんなが利益をあげられる訳ではない

利益至上主義の文化に染まった世界では、ビジネスでも個人でも最後には利益をあげることをゴールとする。利益をあげられる経営が優れており、成功の証とされる。

 

すべての個人・企業・組織・政府機関が、同じ日に12ヶ月分の収入から、支出を差し引いた利益を計算し、それらをすべて合計したら、ポーカーと同じように必ずゼロになる。つまり、誰かの利益は他の誰かの損失を犠牲にして成り立っている。

 

市場に新しく追加でお金が供給され、継続的にマネーストックが増加すると、それが経済全体の価値を押し上げる。つまり、ゼロサムにはならず、みんなが利益をあげられる。しかし、これが成立するには、少なくともニューマネーの増加分と同等の経済成長を遂げている必要がある。

しかし、現在の成熟した経済で起きていることは、マネーストックの増加が単なるインフレであり、実際に経済成長を伴っていない。この時、ニューマネーが増えたからといって私たちが裕福になったと感じるのは錯覚である。実際に世界経済、特に先進国を対象に調査すると、マネーストックの増加に見合う経済成長は実現していない。

 

「みんなが利益をあげられる」という嘘が明らかになれば、私たちの根底にあるものが覆される可能性がある。

  • 利益は優れた経営の結果である
  • 損失は無能な経営の結果で恥ずべきことだ

これらの思い込みは真実であったとしても、一部にしか当てはまらない。このことは私たちの文化の中で、成功をどのように捉え、何を成功とするかについて一石を投じている。