成功に一番重要なのは運
成功における運の要素は、私たちが考えているよりも大きいかもしれない。科学的な研究によれば、スキルは凡庸だが運に恵まれた人の方が、高度なスキルを持っているが運に恵まれなかった人よりも、成功する確率が高くなるという。成功にスキルと才能はそれほど関係なく、一番大きな役割を演じるのは偶然性である。
しかし、努力に意味がないわけではない。運が絶対的であるのに対し、努力は相対的である。努力は、同じような運に恵まれた人と差をつける要素になる。
運がいいと信じれば、幸運に恵まれる確率が高まる
意図的に運を増やすことはできないが、成功の確率を上げるために、私たちに変えられることはある。私たちの態度や考え方、何を信じるかということは、私たちの行動に影響を与える。
運を呼び込むとされる最も一般的な方法は2つある。
①引き寄せの法則
自分の思考が自分の現実をつくるということ。理想の状態を頭の中で思い描けば、そのイメージが現実になる。研究結果によれば、実際のところ、引き寄せの法則はむしろ有害であり、願望を現実化する助けになっていない。ポジティブなことを考えると確かにいい気分になれるが、いい気分は受け身的な態度につながり、願望の実現に向けて積極的に行動を起こそうとしなくなる。ただ信じるだけで幸運に恵まれることはない。
②自己成就的予言
ポジティブな予言、ネガティブな予言、強い思い込みや幻想といったものには、人に大きな影響を与える力があり、その影響を受けた人たちは、予言や思い込みが現実になるような反応をするということ。
期待と知覚は、私たちが「運」と考えるものの中で、かなり重要な役割を演じている。自分は運が悪いと信じているなら、実際に悪運を呼び込むような態度や行動を選ぶ。反対に自分は運がいいと信じている人は実際に幸運を呼び寄せる可能性も高くなる。この現象は引き寄せの法則に似ているが、効果は全く正反対である。
ただ願うだけでは実現しないが、実現すると信じれば実現する。運などというものは存在しなくても、運を信じる価値はある。
運のいい人が持っている性質
運ははっきり白黒分られるものではない。100%のまぐれと100%の努力の間には、どちらとも言えないグレーゾーンが広がっている。そのグレーゾーンでは、私たちの態度、準備、行動、考え方がカギとなり、偶然のチャンスを生かせるかどうかが決まる。
自分は運がいいと思っている人は幸運に気付きやすい。「運」とは、出来事の解釈や受け止め方、そして意図的にポジティブな行動を起こすことが複雑に組み合わさったものと言える。
研究によると、運のいい人が必ず持っている性質は3つある。この性質によってチャンスをつかみやすくなり、それが「幸運」につながっている。
①外交的であること
外交的な人が運がいいのは、外側の世界と熱心に関わろうとするからである。外交的な人は誰とでも気軽に会話ができるため、興味深い人と出会うチャンスにも恵まれている。社会的なつながりは、思いがけない幸運や人生の転機を生み出す。
②オープンであること
考え方が柔軟な人は、全般的にリラックスしていて、新しい状況を積極的に経験しようという気持ちがある。新しい可能性や解決策を拒否するのではなく、むしろ受け入れようとする。リスク回避の傾向が低く、恐怖や不安を基準に物事を決めることがない。オープンな人は、最も幸運な状況に遭遇する確率が高くなる。
③神経症的な傾向が低いこと
神経症的な傾向が低い人は、そうでない人に比べ、精神が安定していて、リラックスしている。精神が安定し、集中している人は、不安に襲われることなく、周りの状況をよく理解できるようになる。また、身の回りで起きることをよく見ており、チャンスに恵まれる確率も高くなる。
幸運を呼ぶ思考パターン
運のいい人には3つの共通した思考パターンがある。
①カルマを信じること
カルマとは、人間の運命は、それまでに積み重ねてきた行動や行いで決まるという意味。カルマを信じる人は、自分の行動に責任を持つ。そのため、コントロール権は自分の中にあると考えている人が多く、他者への接し方も丁寧である。その結果、自然と幸運やチャンスに恵まれる確率が高くなる。
②自分の能力と逆境に打ち勝つ力を信じること
自分の能力を信じる人は、レジリエンスがあり、その結果、有益な行動を長期間にわたって続ける忍耐力と継続力が身に付く。そして有益な行動を続ければ、ポジティブな結果につながる確率も高くなる。
③自分の経験から学ぶこと
運のいい人たちは、ただ闇雲に行動し、後は目を閉じて最善の結果を願ったりしない。彼らは行動し、次に自分の行動がもたらした効果を検証する。そしてその結果に合わせて次の行動を調整する。