ロジカルとクリエイティブを合わせた思考法
論理的に考える力「ロジカル思考」と、枠組みを取っ払って自由に発想する力「クリエイティブ思考」。一見、正反対に見える2つの考え方を合わせた思考法を「ロジクリ思考」と呼ぶ。これを身につければ、予測不可能な複雑でコロコロ変わる曖昧な課題にも、冷静かつ柔軟に対応できるようになる。
「ロジクリ思考」は、7つの能力に分類される。
レジリエンス力
失敗・危機・ストレスなどに心が折れず、柔軟に乗り越える力。様々なロジクリ力のすべての前提にあるのが、レジリエンス力である。レジリエンス力は、簡単に諦めるのではなく、他の方法はないか考え実行する時に必要になる。ピンチの時にレジリエンス力を発揮できる5つの心構えは次の通り。
- 自己コントロールする
感情をコントロールして、今、自分の力で状況を少しでも変えられることに思考を集中させる。 - ネガティブな条件をポジティブに
ネガティブな条件の中でも、ポジティブな要素を見つけて、そこに活路を見出す。 - 思考のパターンを柔軟に変えて何度も試す
平時と同じ考え方をせず、違う解決策はないか柔軟に考える。失敗から学びながら試行錯誤する。 - テキトー力を身につける、完璧主義に陥らない
完璧を求めすぎず、「これだけできたら上等、テキトーでもいい」を思える力を身につける。 - 自分1人でやろうとせず、助けを求める
ピンチの時は、人に頼ったり、助けを呼ぶのをためらわない。
ラテラル力
固定観念に縛られず、物事を多角的に考えることで新しい発想を生み出す力。ラテラル力があれば、今までの常識を超えた新しいアイデアが生まれる可能性がある。ラテラル思考は発想を横に広げていく。ロジカル思考では論理的に正しい結論は1つだが、ラテラル思考では答えは複数ある。問題解決につながる答えは多いほど望ましい。
ラテラル力を身につけるためには、意識して既存の枠組みを外し、視点を変えることが重要である。また、大きな困難を打破するブレイクスルーを得るためには、その答えが以下のように視点を変えて、「違う次元になっている」ことが重要である。
- 形にこだわる
- 形にこだわらず分ける
- 別の物に交換して分ける
- 別の人を登場させて分ける
- 育てて将来に分ける
- 新規プロジェクトの種として使う
- 命題外し
ある程度、同じ次元のアイデアが出てきたら、意識して次元を変える必要がある。
リロード力
アイデアを出し、またさらにアイデアを出し続ける力。アイデアの数をたくさん出すことは、問題解決において重要な能力の1つである。アイデアを数多く出すには、以下の書籍のフレームワークを参考にするといい。
- 『考具』
- 『アイデア大全』
- 『パン屋でおにぎりを売れ』
分類力
複雑なものを整理し、何らかの基準に従った似たもの同士でグループを作って、シンプルにしていく力。きちんと分類できると、全体の構造が見えてきて、効率よく進めることができる。
特に「MECE(お互いに重複せず、全体にモレがない状態で網羅されている)」は、分類する時の基礎的な考え方である。MECEに役立つツールは、以下の2つがある。
- ロジックツリー
- 4章限マトリックス
ネーミング力
名前をつけるとは、その対象に命を吹き込むこと。名前がないと、その物事や概念を認知することができない。親が名前をつけるように、ネーミングはまず名付け親の「思い」が重要である。そして、思いだけでなく「認知される」「売れる」「利用される」「広まる」ことが重要になる。
ネーミングの基本は次の3つ。
- ショート:短い名前
- シンプル:わかりやすく、覚えてもらいやすい名前
- ストレート:特徴がまっすぐ伝わる名前
クリティカル力
前提を疑い、批判的に考える力。古いやり方や考え方で本当にいいのかを常に検証し、必要であればこれまでとは違った切り口のアイデアを採用することが必要になる。クリティカル力を鍛えるには、課題を考える時に以下の6つの手順を意識する。
- 「当たり前だと思っている前提」を洗い出す
- 各前提の妥当性を疑い、新たな視点を見つける
- 新たな仮説を立てて、それを検証する
- 極端な目標の設定をたてる
- 明確にしたゴールと現状の差を確認する
- ゴール達成のためのアイデア・アクションを具体化する
説得力
ユニークで画期的なアイデアを考えついたとしても、自分以外の誰かを説得できなければ、実現しないことが多い。人を説得する時には3つの要素が必要である。
- エトス:信頼による説得法
この人が言うことなら信頼できると思わせること。 - パトス:感情による説得法
聞き手の感情を揺さぶることで共感を得ること。 - ロゴス:論理による説得法
納得できる論理展開で語ること。
プレゼンなど何かを提案する場では、まず自分のエトス度を高めておくことが重要である。聞き手は、何を言うかより、誰が言うかを重視することが多い。プレゼンの際には、エトス→ロゴス→パトスの順で行うのが効果的である。