目的と資源を考える
戦略は、達成すべき「目的」があり、「資源」が有限だから必要である。つまり、戦略とは「目的達成のための資源利用の指針」と捉えることができる。戦略を「目的と資源」の観点から捉えると、私たちは思考をこの2つの集中させることができる。戦略を立案し、評価し、採用し、実行し、さらには事後的に検証し、改良する際にも、この2点に集中できる。
戦略策定の6つのステップ
①目的を明示する
本質的な課題とは、競合や過去との違いではなく、「達成したい状況」と「現状」とのギャップである。目的が明確になれば、現状とのギャップが見えてきて、課題も自ずと明らかになる。
目的を記述する時には、次の2点に注意する。
- 達成したい状況や成功の状態を正確に記述する
- その成功が関係者全員に共通の理解として伝わるよう「SMAC(具体的、測定可能、論理的に実現可能、一貫性)」を使う
目的を明確化するためには、次の3つの方法がある。
- 「この活動がある場合とない場合、何がどう変わるだろうか」と考える
- 3C分析を使い、ターゲットや提供すべきベネフィットを基に考える
- 指示者に直接確認する
②目的を再解釈する
「このプロジェクトは、期間内に目的が達成されました。どのように達成されたでしょうか?」という問いに答えることで、再解釈を進めていく。未来を既に実現した確かな事実として過去形で質問することで、思考力を引き出す。
通常、目的を再解釈すると、描写する「単位」が変わる。例えば、「円」の売上目標が、「人」の新規ユーザーや「回」の使用回数増加といった単位に変換される。こうした再解釈の1つ1つが、戦略の候補案になる。
ex.
・売上増加>購入者数の増加>カテゴリー新規者の増加/再使用者の増加/脱落の抑止
・売上増加>1人当たり購入量の増加>使用頻度の増加/1回当たり使用量の増加
③資源を探索する
まずは資源の全容を把握することから始める。広範囲にわたる対象を把握する際には、いくつかのカテゴリーに分類することが有効である。自分たちが自由に使える「内的資源」と、自分たちが直接管理できなくても資源として運用できる「外的資源」の2つに分けて考える。
・内的資源:人、製品、予算、時間、知識、経験、ブランド力、広告、施策
・外的資源:広告会社、メディア、取引先、協業先、影響力のあるプロ、ユーザー、競合の活動
「勝利する側」は「より多くの資源を活用できた側」である。投下できる資源量については、人によってその見え方が大きく異なる。新たに資源を見出すには、目的を意識することをはじめ、多様な視点を持つことが有益である。自分とは異なる視点を持つ外部者の意見も有用である。
視点を広げるためには、次の方法がある。
- 他の学問領域や専門領域を「フィルター」として適用する
- 他者の考え方をコピーして転用する
- 未来の失敗や成功を過去形で想像することで、想定外の問題を想定内に引き込む
④資源優勢を確立する
「目的の再解釈」の1つ1つが戦略の候補である。それぞれの再解釈案に対して、投下可能な資源量を示し、両者を比較していく。もし、投下できる資源量が再解釈した目的の達成に必要な量を上回れば、目的が達成される可能性が高くなる。ここでの選択肢は3〜5個程度に絞っておくのが現実的である。
安定して勝利するためには、「目的に対して投下可能な資源量が優勢であること」が必要である。つまり「資源優勢を探す」ことが戦略立案で最も肝要なポイントになる。資源優勢は固有資源や競争優位にこだわる必要はない。大切なのは、固有かよりも資源優勢を確立できることである。
⑤文章に書く
資源優勢をもたらす戦略を、以下のテンプレートで簡潔に文章化する。
- 「いつ」までに
- 「収益目標」を達成するために
- 「再解釈した目的」を実現するべく
- 「活用すべき優勢な資源」に集中・注力する
⑥組織に展開する
戦略が理解され、実行に移されるには、メンバーが戦略を「自分ゴト化」することが不可欠である。自分ゴト化を促すためには、次の3つの方法がある。
- 役割を与える
- 人事評価に組み込む
- 戦略に関わる仕事に参加する