君は戦略を立てることができるか

発刊
2024年12月19日
ページ数
260ページ
読了目安
229分
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シンプルな戦略の立て方
ビジネスにおいては、頻繁に使われる「戦略」とは、そもそもどのように考えればよいのか。
「戦略」という本質をシンプルに定義し、戦略を立てるプロセスをわかりやすく解説している一冊。

曖昧であったり、中身がなかったりなど、戦略とは言えない実効性のない戦略も見かける中で、改めて戦略と呼べるものがどのようなものなのかを再確認することができます。

目的と資源を考える

戦略は、達成すべき「目的」があり、「資源」が有限だから必要である。つまり、戦略とは「目的達成のための資源利用の指針」と捉えることができる。戦略を「目的と資源」の観点から捉えると、私たちは思考をこの2つの集中させることができる。戦略を立案し、評価し、採用し、実行し、さらには事後的に検証し、改良する際にも、この2点に集中できる。

 

戦略策定の6つのステップ

①目的を明示する

本質的な課題とは、競合や過去との違いではなく、「達成したい状況」と「現状」とのギャップである。目的が明確になれば、現状とのギャップが見えてきて、課題も自ずと明らかになる。

目的を記述する時には、次の2点に注意する。

  1. 達成したい状況や成功の状態を正確に記述する
  2. その成功が関係者全員に共通の理解として伝わるよう「SMAC(具体的、測定可能、論理的に実現可能、一貫性)」を使う

 

目的を明確化するためには、次の3つの方法がある。

  1. 「この活動がある場合とない場合、何がどう変わるだろうか」と考える
  2. 3C分析を使い、ターゲットや提供すべきベネフィットを基に考える
  3. 指示者に直接確認する

 

②目的を再解釈する

「このプロジェクトは、期間内に目的が達成されました。どのように達成されたでしょうか?」という問いに答えることで、再解釈を進めていく。未来を既に実現した確かな事実として過去形で質問することで、思考力を引き出す。

通常、目的を再解釈すると、描写する「単位」が変わる。例えば、「円」の売上目標が、「人」の新規ユーザーや「回」の使用回数増加といった単位に変換される。こうした再解釈の1つ1つが、戦略の候補案になる。

ex.
・売上増加>購入者数の増加>カテゴリー新規者の増加/再使用者の増加/脱落の抑止
・売上増加>1人当たり購入量の増加>使用頻度の増加/1回当たり使用量の増加

 

③資源を探索する

まずは資源の全容を把握することから始める。広範囲にわたる対象を把握する際には、いくつかのカテゴリーに分類することが有効である。自分たちが自由に使える「内的資源」と、自分たちが直接管理できなくても資源として運用できる「外的資源」の2つに分けて考える。

・内的資源:人、製品、予算、時間、知識、経験、ブランド力、広告、施策
・外的資源:広告会社、メディア、取引先、協業先、影響力のあるプロ、ユーザー、競合の活動

 

「勝利する側」は「より多くの資源を活用できた側」である。投下できる資源量については、人によってその見え方が大きく異なる。新たに資源を見出すには、目的を意識することをはじめ、多様な視点を持つことが有益である。自分とは異なる視点を持つ外部者の意見も有用である。

視点を広げるためには、次の方法がある。

  1. 他の学問領域や専門領域を「フィルター」として適用する
  2. 他者の考え方をコピーして転用する
  3. 未来の失敗や成功を過去形で想像することで、想定外の問題を想定内に引き込む

 

④資源優勢を確立する

「目的の再解釈」の1つ1つが戦略の候補である。それぞれの再解釈案に対して、投下可能な資源量を示し、両者を比較していく。もし、投下できる資源量が再解釈した目的の達成に必要な量を上回れば、目的が達成される可能性が高くなる。ここでの選択肢は3〜5個程度に絞っておくのが現実的である。

 

安定して勝利するためには、「目的に対して投下可能な資源量が優勢であること」が必要である。つまり「資源優勢を探す」ことが戦略立案で最も肝要なポイントになる。資源優勢は固有資源や競争優位にこだわる必要はない。大切なのは、固有かよりも資源優勢を確立できることである。

 

⑤文章に書く

資源優勢をもたらす戦略を、以下のテンプレートで簡潔に文章化する。

  1. 「いつ」までに
  2. 「収益目標」を達成するために
  3. 「再解釈した目的」を実現するべく
  4. 「活用すべき優勢な資源」に集中・注力する

 

⑥組織に展開する

戦略が理解され、実行に移されるには、メンバーが戦略を「自分ゴト化」することが不可欠である。自分ゴト化を促すためには、次の3つの方法がある。

  1. 役割を与える
  2. 人事評価に組み込む
  3. 戦略に関わる仕事に参加する