STOIC 人生の教科書ストイシズム

発刊
2024年11月27日
ページ数
232ページ
読了目安
132分
推薦ポイント 4P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

人生の目的と生き方を考えさせるストア哲学の教科書
自らの内面的な素晴らしさ、美徳に人間としての価値を見出し、人が幸福に生きる鍵であるとするストア哲学の考え方を、わかりやすく解説し、実践するための言葉が綴られた一冊。

物質的な豊かさではなく、内面の豊かさに注目する古代から続く実践的な考え方を学ぶことができ、人が幸福になるには何が必要なのかについて、改めて考えるきっかけになります。

ストイシズムとは

ストイシズム(ストア哲学)には、人生の意味を見出そうとする人や苦難に耐える人を助けてきた長い歴史がある。それは、「目的」と「意志」を備えた人生にするための手段として2000年以上にわたって試され、その効果が実証されてきた。

ストイシズムは、次の3つの分野を通じて、自分自身の理解、他者との関係の理解、宇宙の理解を促す。また、ストイシズムは、私たちを内面の豊かさに引き戻し、自分でコントロールできることに意識を向かわせてくれる。その意味で、人生の目的や生き方を理解させてくれる。

 

①論理学:明晰に考えられる

何が真実で、何が真実でないのかはどのようにして知るのか。ストイシズムの論理学は、私たちが行う合理的な思考活動の多くを網羅している。

 

②倫理学:どんな相手ともうまく付き合える

人は、他者とうまく交流できた時に最大の幸福を得る。そのためストイシズムでは、相手の態度とは関係なく、自分は相手に忍耐、思いやり、寛容を示すべきだとされる。

 

③自然学:畏怖の念を育む

古代のストアシズムでは、人間、動物、植物、地球といった太陽の下に存在するものすべてが神聖な結びつきにあずかると信じられていた。自然界について考えることを通じて、畏怖や驚嘆、感謝の念を育む。

 

人生は何をもってよい人生となるのか

古代のストア哲学者たちは、よい人生は「美徳」(内面的な素晴らしさ)によってなると信じていた。自分の内面の糧となるもの「ものの見方」「品性」「道徳的判断」の充実に意識を向けると、深淵で永続的な幸福感のスイッチが入る。

また、美徳に即した行動をとっていれば、平静と目的を見出すことができる。この理想を現実にするには時間と労力を要するが、忍耐と努力によって、誰もが必ず実現できる。美徳は、人間が成し得ることの頂点を表す。

最高の自分を引き出す潜在能力はどんな人にも備わっていて、その力は次の4つの基本的な美徳を育むことで発揮される。

 

①知恵:うわべにとらわれない力

知恵があると、心の奥底にある願望や意志を踏まえて決断を下せるようになる。知恵は、重要なものや争う価値があるもの、引くべき時や進むべき時を教えてくれる。

 

②正義:他人に思いやりを持つ力

ストイシズムの文脈において、正義は「他者への接し方」で語られる。他者に対して敬意を持って接し、よき手本となる行動を示すとともに、人の間に優劣は存在しないとの認識を持つことだ。この正義の原則に従うと、公平で中立的な姿勢や態度になり、場面に応じて寛容さや慈悲の心を示すようにもなる。

 

③勇気:苦難に立ち向かう力

ストイシズムの勇気には、思考、肉体、精神を困難に耐えうるものに鍛えることが伴う。たとえ辛くても、試練を乗り越えることができるか、という問いとの距離を縮めることから勇敢な人生が始まる。

 

④節約:衝動を抑える力

節約は、衝動をコントロールして適度な範囲に留めることを意味する。この美徳に従うと、表層的な誘惑に向かう欲望が消え、内面の充実を求めるようになり、永続的な豊かさを享受できる。

 

紀元前300年頃にストイシズムの教義を確立したゼノンは「美徳は幸福にとって必要かつ十分なもの」だと説いた。物質面での条件にかかわらず、人は高潔であれば満ち足りた人生を送れるというのだ。

 

ストイシズムの実践

・心をひらく

よい人生を送る上での最初の一歩は、新鮮な目ではっきりと世界を見ること。自分の中の前提を疑問視し、習慣になっている思考プロセスが健全で正確かどうかを自問する。

 

・真実を求める

真実には自分の考えを必要に応じて変えるだけの価値がある。真実に向き合うことは、時に辛いが、人はそういう苦痛を経るからこそ成長し、成功する。

 

・静かな勇気を発揮する

勇気は「たとえ辛くても正しい行いをする」ことだと定義される。恐怖心に立ち向かうこと、自らの信念のために立ち上がることは勇気を必要とする。

 

・自分に敬意を抱く

自分を含むすべての人に尊び敬う価値がある。「心の自由」と「自分を敬い尊重する」ことに目を向ける。

 

・負の感情に支配されない

外からの負の刺激と、それに対する感情的な反応は別のことだと気づくことで、人は力を手にできる。

 

・自分自身の友になる

心から自分に自信が持てるようになると、外からの承認をあまり求めなくなり、ひいては他者をありのままに受け入れる余裕が生まれる。

 

・自分の価値観に即して生きる

自分の価値観と自分の欲求の結びつきを強めて、理想を望む気持ちを行動に反映させる。

 

・居場所に満足する

心の平静と充足を得る秘訣は、今現在の自分という人間と自分のいる場所に満足を見出すことである。

 

・内なる砦を守る

ストア哲学者たちは人の意識を聖域とみなし「内なる砦」と呼んだ。自分の頭の中にどんな考えを住まわせているか、という問いが自尊心と心の自由を育む鍵となる。

参考文献・紹介書籍