2038年のパラダイムシフト

発刊
2024年2月21日
ページ数
448ページ
読了目安
709分
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今後20年で世界はどのように変化していくのか
世の中のトレンドを発見・分析し、今後の動向を予測するトレンドスポッターである著者が、現在起こっているトレンドと、これから20年後の世界がどこに向かうかを予測している一冊。

世界中の32ビットのコンピューターが誤作動を起こす可能性があるとする「2038年問題」を1つの区切りとして、それまでに世界はどのようなトレンドで動くのかを文化、消費者、ビジネスの観点から分析されています。
現時点において、既に顕在化している問題から、テクノロジーや地球環境の変化に伴う変化による今後の問題まで、これからの世の中を考える上で、視野を広げることができます。

今後20年のメガトレンド

20年後の世界を形づくる重要な要素は、テクノロジー、地球温暖化、そして、パンデミックが私たちの働き方や暮らし方に及ぼす影響である。今後20年の軌道を決める10のメガトレンドは以下の通り。

 

①母なる自然は反撃している

世界は炎に包まれ、人間と自然との長年の対立は、地球と未来を守る闘いになってしまった。

 

②現在と将来の混乱は加速し、さらに勢いを増す

私たちのメンタルヘルスと幸福に絶え間ない試練を突きつけられる。多くの物事が超高速で進展し、信頼に足るエンゲージメントのルールはほとんどない。混乱を引き起こす力は執拗で非常に強いため、素早く制御することはできない。

 

③世界の2つの超大国に私たちが求める未来をもたらす力はない

政治と経済の覇権を争う闘いにおいて、アメリカも中国も優位を強固にしようと動くが、成果を出せずにいる。世界が直面する大きな困難が、世界的な協力と犠牲を必要とする今、国民国家の歴史的な支配はますます持続不可能なものになりつつある。

 

④絶望的な時代に必要なのは、絶望的な状況から生まれる計画だ

窮地に追い詰められた時のメンタリティと非常事態に備える暫定協定の考え方も含まれる。誰とどこへ、どのように、何の目的で逃げるかを1人1人がじっくり考えなければならない。

 

⑤境界がぼやけて混沌が増す世界で、明確な水路を確立する圧力が強まる

境界が崩壊し、絶対的なものが混乱状態に陥り、強制するのがより難しくなる一方、多くの境界が新たなに強化される。

 

⑥スモールが新たなビッグになる

ごくシンプルな喜びを味わい、小さなものを使いこなすようになる。自分にとって扱いやすいスケール感は、混乱のストレスと変化のスピードに対する解毒剤である。

 

⑦新たな贅沢はごくシンプルなもの。それは一息つける時間と空間だ

モノ、不確実性、感情的な負担が過剰に積み重なる世界に置いて、自己を新たに発見し、秩序を取り戻す時間は非常に貴重になった。誰もが、現代生活の試練や苦難を和らげてくれる確かな時間と空間を切望する。

 

⑧公平は新たなスローガン

社会は多くの点でバランスを欠いている。重要な資源へのアクセスと富において、とりわけその傾向が著しい。選ばれたごく一部の者はあり余るほどの富を手に入れ、それ以外の者は、不公平な分け前について激しい怒りや恨みを募らせる。

 

⑨フレキシブルなアイデンティティ

厳格なジェンダーロールの画一的な定義は、柔軟な組み合わせに変わりつつあるが、それは新たな戦線を開く。

 

⑩自己が中心に

社会的、文化的な制度が流動的で、内向き志向に陥る時、私たちは個人の体験や成長、パーソナルブランディングを重視する。そして自分と同類の人たちを中心とする制度やシステムを新たに築いたり、そこに参加したりしようとする。自分たちの利益を守るためと、自らが考える最善の解決策をつくり出して、実行する。

 

10個のメガトレンドは、私たちを取り巻く環境が根本的に変化していることであり、その中で私たちが主導権を発揮し、未来を守り、真正なものと意味とを見つけ出そうとしている。

 

今後20年のサブトレンド

10個のメガトレンドは、私たちがどのように暮らし、働き、考えるのかについて、集団にも個人にも極めて大きな影響を及ぼすだろう。これら以外にも、私たちの未来を形づくる動向、変化、展開がある。とりわけ大きな影響を与えるサブトレンドは以下の通り。

 

①早期警告システムとサイバー監視

2038年には、感染症事前警告システム技術が個人用のデバイスで活用され、多くの企業と国家が、このテクノロジーで監視する。

 

②ロボ革命

AIとロボットの急速な発達は、仕事と経済の革命をさらに速める。数千万人の労働者が仕事にあぶれ、社会で激しい対立が起こり、政治的な対立を生み出す。

 

③不公平に取り組む

ユニバーサル・ベーシック・インカムが実施されている可能性は高い、その原資は主に桁外れに業績のいい企業が供給する。このプロセスは、社会の安定と一体性を支える。

 

④デジファブ・ライフ

3Dプリントした多くの商品が直接、私たちのもとに届けられるようになる。2038年には、多くの家やオフィスがデジファブ機を備えている。

 

⑤次世代のエネルギー源

特定の地域や局地において分散型電源と小規模電力網が幅広く採用される。発電テクロジーをより小さく、強力に、手頃な価格でネットワークさせる課題は2038年には解決されている。

 

⑥乾いた地球

最も緊急に解決すべき環境問題の1つは旱魃だ。2038年には、飲料水は今以上に希少で、もっと貴重になる。国は水をめぐって戦争を起こし、水が武器になることすら懸念される。より多くの人が移住を余儀なくされる。

 

⑦ミートフリー・ミート

おいしく、栄養たっぷりで、人工的につくられたタンパク質食品によって、ほとんどの先進国や地域で商業用家畜の必要性が低下している。