プレ・マーケティングの時代
プレ・マーケティングとは、実際に製品を開発し、販売する前に行うべきマーケティングである。例えば、Webサイトの公開前に、TwitterのフォロワーやFacebokページのいいね数、メールマガジンの購読数が一定数あれば、最初の反応が変わってくる。製品やサービスの公開前に顧客とつながることは、様々な好影響を、製品やサービスにもたらす。
クラウドファンディングなどを利用して、まず需要があるかどうかを確認して、それから作る。これによって、誰も欲しがらないものを作ってしまうという最大のリスクを避けることができる。スタートアップ企業でも、完成版の製品を公開する前に、未完成の「ベータ版」の製品を公開し、顧客を集めるなどの手法が取られている。
マーケターに求められる能力は、顧客が必要とするものをどのように実現し、表現するか、ということである。プレ・マーケティングを行わない理由はない。
顧客を知る
基本的に顧客のニーズは濃くなれば濃くなるほど、対象となる人数は減っていく。例えば、強いニーズを持った限られた潜在顧客にだけ広告を打つ場合、高い費用対効果を得られるが、より多くの潜在顧客に対して広告を打つ場合、弱いニーズしか持っていなかったり、そもそも興味関心がないことも考えられる。つまり、より多くの潜在顧客にアプローチする場合は、費用対効果が悪化する可能性が高い。
需要を調査する上で、最もわかりやすい方法は、検索エンジンを利用すること。「キーワードプランナー」や「Keyword Explorer」を利用すれば、キーワードの検索数などを調べることができる。
ニーズを持った潜在顧客を特定する時に必要となるのが、顧客のデモグラフィックである。デモグラフィックとは、主に居住地や学歴や年齢、性別など、その人自身を長期にわたって定義する属性を意味する。ニーズとは、その時に欲しいと思っているか、どういうステータスかなど、短期で変動するものである。
ニーズがあるかどうかは、第三者からは極めてわかりづらく、明確なニーズを持っている人ばかりではない。そこで、デモグラフィックからニーズを推定する必要がある。現代では男女ともにキャリアや行動も多様化しているため、デモグラフィックだけでなく、個人が持つ資質や価値観を尊重した上で、本当にデモグラフィックが潜在顧客の特定に効果的なのかを考えるべきである。デモグラフィックは仮説を作る際に有益だが、実際のデジタル・マーケティングにおいては、デモグラフィックにとらわれすぎない施策を行う必要がある。
競合から学ぶ
デジタル・マーケティングを行う上で、競合の存在は重要である。競合がいないマーケットは存在しない。競合を把握し、競合の存在から学ぶ必要がある。重要なのは「競合として勝ちやすい/勝ちにくいのはどこだろう?」という点を考えることである。
検索数の多い検索キーワードで勝つ自信があれば、検索を中心にする戦略を取ることも可能である。既存のWebサイトが狙っていない小さなキーワードで集客する方法もある。充分に競合を調査した上で、どのように競合に勝つか、どの市場で戦うか、あるいは共存するかを考えることが重要である。
デジタル時代のフレームワーク
「RAM-CE」の特徴は、それぞれのポイントにチェックポイントがあるという点である。例えば、顧客がきちんと記憶しているかどうかについては、指名キーワードの検索数を見ればいい、という具合である。
・Reach(伝達) → インプレッション
・Attention(注意)→ クリック率
・Memory(記憶)→ ブランド検索
・Closing(締結)→ コンバージョン率
・Engagement(関与)→ リピート率