パーフェクト・ストーリー

発刊
2024年11月28日
ページ数
376ページ
読了目安
591分
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人を動かす効果的なストーリーのつくり方
脳が情報を処理する5つの特徴を踏まえて、効果的なストーリーをつくる方法を紹介している一冊。

ストーリーテリングがなぜ、人を動かすのに効果的なのか、そもそもの脳の仕組みを紹介し、その特徴を利用した優れたストーリーの作り方が解説されています。
プレゼンテーションなど、聴衆に情報を伝え、行動を促す場面で、うまくストーリーを盛り込む方法がわかります。

脳の5つの初期設定

人間の脳には情報と相互に作用し、それを処理するための基本的な方法が備わっている。それぞれの方法が、生存、理解、コミュニケーション、意思決定において、役割を演じている。そのため、人とストーリーの相互作用にも影響を及ぼす。これを「脳の5つの初期設定」と呼んでいる。

脳の5つの初期設定は、ストーリーテリングが人を惹きつける理由を説明するだけでなく、優れたストーリーを作るための案内役になる。ストーリーの中に脳の初期設定を巧みに取り込み、活用できるかが、聴衆に強烈なストーリーを経験させ、そこに没頭させることができるかどうかを決める。

 

①脳はすぐに怠けたがる

脳はカロリーを貯えるため、馴染みのあるものや居心地の良さや、それを感じさせてくれる機会を探してばかりいる。問題提起、緊張、意外な要素を含むストーリーは、脳に注意を傾けさせ、カロリーを消費せざるを得なくする。

 

②脳は仮定したがる

脳は不完全なものが嫌いなので、仮定することでその隙間を埋めようとする。意外な場面転換は、仮定を中断させ、脳を怠けモードから叩き出す。

 

③脳は情報をライブラリに保存する

五感による経験は、それぞれ感情のスタンプを押された上で、整理され、長期記憶としてファイリングされる。脳はそうした記憶、経験、感情を参照することで、未来における反応を予測している。ストーリーは、脳に対してファイリング先を助言することができる。本人がすでに理解し、経験しているものが収められたファイルに、アンカーを下すことができる。

 

④脳は信頼の輪の内側にいたがる

人は信念や経験、願望が自分と重なるストーリーを聴いた時、内集団の一員だと感じる。すると共感とつながりが生まれ、オキシトシンと信頼度が高まっていく。一方、外集団を生むストーリーは、自分とは対照的な経験や視点を認識させる。優れたストーリーは、聴衆に内集団か外集団、もしくはその両方の一員であると感じさせるよう設計されている。

 

⑤脳は快感を求め、苦痛を避けようとする

優れたストーリーは、意図して聴衆に快感もしくは不快感を与えるように考えられている。これによって、人が情報をどう処理し、どんな意思決定を行うかに、直接的な影響を与えることができる。

 

優れたストーリーの3要素

①登場人物

登場人物には次の2つが必要である。

  1. 聴衆が親近感を抱けること
  2. 葛藤を抱えていること

②葛藤

あらゆるストーリーの中心には、何かが起きて、それがすべてを変えるという要素がある。その葛藤がストーリーの核となる。

 

③つながり

優れたストーリーは、意図的に聴衆の五感を引き込むようにできている。聴衆は、登場人物と同じものを見て、聴いて、感じて、匂って、味わって、経験しなければならない。具体的な細部を含め、聴衆の既知の知識にアンカーを下ろし、それを思い起こさせるように持っていく。

 

ストーリーテリング・モデル

①ストーリーのアイデアを集める&選ぶ

自分にとって、一番アイデアを思いつきやすい方法を見つけ、アイデア探しを継続的に行う。探すべきはできあがったストーリーではなく、アイデア、ピース、場面、細部など、後で組み合わせて具体的なストーリーに仕立て上げられそうなものを探すことに意識を集中する。

 

②聴衆のペルソナを作る&結果を定義する

ストーリーテリングの秘訣は、ストーリーではなく、まず聴衆から始めることにある。聴衆のペルソナを定義すれば、ストーリーに取り入れるべき視点や細部が見えてくる。

 

③ストーリーを構築する

優れたストーリーかどうかは、聴衆を引き込み、聴衆に理解されるアイデアを打ち立てられるかどうかで決まる。アイデアを選んだら、次の4つに対し、要約した文章を1、2つ書き込む。

  1. 文脈は?
  2. 葛藤は?
  3. 結果は?
  4. 聴衆の心に着地させるアイデアは?

 

④細部を加え、五感&感情を引き込む

ストーリーの細部を組み立てるには、次の段階を経る。

  1. ストーリー内の出来事とプロット・ポイントをそこに当てはめる
  2. ストーリーの設定と登場人物を聴衆と結びつける
  3. 具体的な細部を加える

ストーリーを作る時は、聴衆に何かを感じさせることに意識を集中する。聴衆の五感と脳を強く引き込む。

 

⑤ストーリーを順序立てる

優れたストーリーは、順序づけと意外なプロット・ポイントを活用し、最も説得力のある形で差し出される。

 

⑥脳の5つの初期設定を適用する

脳の5つの初期設定が活用されているかを確認する。

  • 緊張を高め、解放しているか
  • 感情移入できる登場人物がいるか
  • 五感を引き込んでいるか
  • 具体的な細部が盛り込まれているか
  • ありふれたものをカットしているか
  • 独自の視点を共有しているか
  • 内集団か外集団か
  • 親近感か不快感か

 

⑦すべての要素に場所を与える

ストーリーを1行ごとに確認しつつ、これには場所が与えられているかを問う。

 

⑧ストーリーをテストする

ストーリーをテストし、聴衆がそれをどう受け取るかを確認する。