ここらで広告コピーの本当の話をします。

発刊
2014年10月29日
ページ数
272ページ
読了目安
308分
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コピーライティングの教科書
PlayStationや一番搾りのキャンペーンなどの実績を持つコピーライターが、コピーライティングに基本を解説している一冊。そもそも「広告とは何か」という話から、コピーライティングの本質を問います。

コピーライティングの本質

一般的にコピーライターとは「商品や企業を宣伝するため、広告に使用する文言(コピー)を書く事を職業とする人」とされているが、コピーライターとは「商品をいじらず、言葉を使って商品の価値を上げる人」と言える。企業や商品の内容を単に「伝える」ではなく、「価値が上がるように伝える」のが仕事である。

そもそも広告の役割とは「モノとヒトとの新しい関係を創ること」である。だから「言葉を使ってモノとヒトとの新しい関係を創り、商品や企業の価値を上げる」のが、広告コピーによる広告クリエイティブという事である。ここにコピーライティングの本質があり、基本がある。

「価値」とは絶対的なものではなく、相対的なものである。価値は人によって異なる、その人が決める。企業の課題は常に生活者との関係性にある。生活者が「この企業の商品は自分がお金を払って買う価値がある」と感じる関係が創られ、保てればビジネスは維持される。その基本構造の中で、それを言葉で成し遂げるのがコピーライティングである。

コピーを書く上での基本中の基本

コピーを書く時に大事な事の内1つは、「商品の広告コピーは成立するが、カテゴリーの広告コピーは成立しない」である。商品の具体的な情報、競合商品との違いがわからない状態で広告コピーは書けない。カテゴリーでコピーを書いてしまうと、見た目「それっぽい」だけの中身のないものにしかならない。広告コピーとしては成立しない。企業は商品を売りたいのである。「牛丼」という商品は存在しない。それはカテゴリーである。「吉野家の牛丼」という商品なら存在する。「タブレット」という商品は存在しない。「iPad」という商品なら存在する。但し、圧倒的なシェア1位の企業にとっては、カテゴリー=商品となる例外もある。

「商品としての具体的な情報、競合との違い」を「USP(競合優位性)」と言う。商品自体に競合商品と比べた時の優位性があればターゲット(想定顧客)を探しやすくなるし、関係性も作りやすくなる。

コピーという言葉を使って企業や商品の価値を上げるには、USPだけでなく、「いったい誰が買ってくれる可能性があるか」という「ターゲット」の概念が必要である。買ってくれそうな人を探すのは商売の基本である。

自分が広告しようとしている「モノ」はいったい何なのか。他の競合商品とどう違うのか。それを「どんなヒト」に売るべきなのか。これはコピーを考える上での基本である。

普段はバスを使う人も、暑い時、疲れている時、急いでいる時は高いお金を出してでもタクシーを使おうと思う。これが「価値」というものである。価値とはモノとヒトの関係性で決まる。「USP」と「ターゲット」の2つをじっくり調べ、どうやって関係性を創るのかを考えないといけない。

価値を最大化するタグライン

広告コピーとは、価値が最大化されるように商品を「定義付け」するもの。この定義付けに特化したコピーを「タグライン」と呼ぶ。これはよく商品ロゴの上に置かれていたりする。タグラインは、キャッチした生活者の関心を、しっかりと商品への興味に引き込む役割を担っている。

商品について、定義する言葉を変えるだけで、ターゲットにとっての価値は大きく変化する。これがタグラインの基本的な考え方である。タグラインには、妙な言葉遊びや工夫など不要。直球がよい。言葉を使ってモノとヒトとの関係性を創る、企業や商品の価値を最大化するのはタグラインである。

ex.「つながりやすさNo.1」(ソフトバンク)

コピーは2つの視点で行うものである。

・そのコピーがモノとヒトとの関係を創造しているか
・その役割を達成するための、言葉としての力があるか