ロジックツリーに必要な2つの力
ロジックツリーとは、何らかのテーマをツリー状に分解し、問題を生じさせている原因や問題解決策を導き出すフレームワークである。ロジックツリーは、全体を構成要素に分解し、体系的に理解できるようにブレイクダウンしていく。よって「試行錯誤段階」や「検討段階」で使われることが多い。
ロジックツリーを使いこなせるようになるには、次の2つの力が必要である。
①視点力:そもそも「何について考えるべきか」を考える
「視点」は物事を考える上での起点になる。「視点」は「何について考えるべきか」という「考える方向」を致命的に決定づけるため、ロジックツリーを扱う上で最も重要なポイントになる。
②論理力:それについて「どう考えるべきか」を考える
「視点」はただそれだけでは「思いつき」と変わらない。「思いつき」を意味あるものに変え、自分の思考を発展させていくために必要になるのが、それについて「どう考えるべきか」を考える「論理力」である。
この2つの力を自由に操ることができるようになれば、物事に対して多様な側面を発見し、筋の良さを見極め、次々に仮説を生み出す力を身につけることができる。
新たな概念を生み出す
ロジックツリーは「全体」から「部分」へと分岐させていくフレームワークだが、その起点となる「全体」に新しい視点を持ち込むことができれば、新しいコンセプトを生み出すことが可能になる。また、「全体」から「部分」へと分岐させていく「切り口」に新しい視点を持ち込むことでも、新しいコンセプトを生み出すことができる。
物事には必ず多様な側面があることから、「視点力」を身につけ、「視点」を自由に操ることができれば、様々な発見をもたらす。
筋のいい仮説を導き出す
「視点」を置いた後、筋のいい仮説に結びつけていくためには、物事の関係を整理しながら、矛盾のない話の筋道を描く必要がある。そこで論理力が重要になる。
ビジネスの課題を正しく理解するには、それらを全体として捉えるだけでは不十分で、構成要素に分解して丁寧に整理し、さらにそれぞれの関係性がどうなっているのかを見抜く必要がある。それらの実態を分岐構造を使って整理し、解明していく。
論理力は大きく次の2つに分けられる。
①物事の関係を見極め整理する力
世の中には様々な「関係」が存在するが、コンサルティングファームの現場で最も頻繁に扱うのが、次の2つである。
1.包含関係
全体と構成要素の関係を指す。包含関係に基づいたロジックツリーの描き方には、大きく分けて2つの方法がある。
- 足し算分解:「全体」=「部分A」+「部分B」+「部分C」のように、構成要素の足し算が全体とイコールになる。
- 掛け算分解:「全社売上高=顧客数×顧客平均単価×平均購入頻度」のように異なる性質の掛け算が全体になる。
どちらの方法にも数多くの「分解の視点(切り口)」が存在するため、試行錯誤が必要になる。
2.因果関係
原因と結果のつながりの関係を指す。様々な因果関係を見極め、頭の中にストックしておけば、「予測」と「原因究明」の両面で役立つ。特に「視点」と「因果関係」は、知識と経験則のストックがモノを言う。常に「なぜその現象が生じたのか?」「その現象はどんな結果につながるのか?」を考える習慣を持つことが重要である。
「包含関係」と「因果関係」を合わせると「構造化」ができる。構造化とは、全体を「構成要素」に分解し「それぞれの関係(包含関係・因果関係)」を整理することで、構成要素とメカニズムを明らかにする手法である。全体を構成する要素(包含関係)とメカニズム(因果関係)の両方を明らかにできれば、どの構成要素をテコ入れすれば、どのような結果を生み出せるかを明らかにすることができる。
②矛盾のない話の筋道を描く力
誰もが納得できる論理展開を紡いでいく。論理展開には、大きく分けて次の3つがある。
- アブダクション:「起こった現象」に対して、うまく説明できる仮説を導き出す
- 演繹法:ルールや法則に事実を当てはめて結論づける。
- 帰納法:複数の事実から共通点を見出し、結論づける
アプダクションは、問題発生個所の特定や問題発生原因の特定に使う。演繹法は主に予測の際に使う。帰納法は、様々な因果関係を見出し、自分の頭の中にストックしていくために使う。