Simple 「簡潔さ」は最強の戦略である

発刊
2024年9月11日
ページ数
256ページ
読了目安
249分
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相手に伝わる文章の秘訣
インターネットによって、大量の情報に触れる日常において、相手にどのようにすればメッセージを届けられるのかを突き詰められた一冊。

米国で成功したニュースサイト「AXIOS」の創業メンバーが、相手に読み飛ばされない文章を書くための、秘訣や原則を書いています。日頃、文章を書くにあたって、相手に影響を及ぼすために必要な文章とは何かを見直すきっかけとなります。

物事をスマートに短く表現する

チャット、メール、SNS。私たちは日々、言葉を聞き、眺め、読み、小さなスクリーンでさらに延々と言葉をついばんでいる。そのせいで脳は疲れ果てている。インターネットの普及により、情報の消費をめぐる行為は激変した。しかし、情報が氾濫する環境にあっても、私たちが文章を書き、情報を伝える方法はほとんど変わっていない。

 

こうした問題に対する解決策が、人々が発し、消費する言葉を大幅に減らすよう促す戦略「スマート・シンプル(賢明な簡潔さ)」だ。スマート・シンプルは、力強い言葉と短い文章、関心を集めるタイトル、シンプルな見た目、整理された論理展開によって、「読みとばされる文書」を記憶に残る「必読の文書」へと変える。

 

スマート・シンプル4つの原則

①「タイトル」で心をつかむ

記事のタイトルやメールの件名でも、SNSなどの競合から誰かの注意を引き離すには、短く強い語句が必要だ。

 

②「リード文」で一番大事なことを伝える

最初の1文は最も印象的であること。相手の知るべきことを伝える。単刀直入に、短く、鋭い文にする。

 

③「なぜそれが重要か?」で文脈を示す

私たちが実際に詳しく知っていることはわずかだ。誰もが、新しい事実やアイデア、見解が「なぜ重要なのか」について、いつも説明してもらう必要がある。

 

④「さらに知る」で詳細を伝える

相手が望む以上のことを読ませたり、聞かせたりしてはいけない。さらに知りたいかどうかの判断は相手に委ねる。そして、続く内容は、本当に時間を割くに値する内容にする。

 

これらは、どんな時も守るべき厳格なルールではない。アドリブを取り入れる余地がある。目的は特定の相手に情報を伝え、相手の心を捉え、意欲を引き出すことだ。鉄則は、常に相手にとってのベストを目指すこと。気が散りやすくなっている読み手にとって、一番明確で効率のいい構造こそがベストである。

 

読み手ファースト

まずは「相手の具体的なイメージ」と、「彼らが何を必要としているか」を考えるところから始める。スマート・シンプルを確実に達成するためには、相手に何を心にとどめて欲しいのかを明確に意識すべきだ。伝えたいことを理解してもらう一番の近道は、「伝えたいことだけ」を伝えることだ。

 

  1. 「伝えない1人の相手」に語りかける
  2. 心にとどめて欲しいことを「1つ」はっきりさせる
  3. 人間に向けて「人間らしく」書く
  4. できるだけ短い1文にして書く
  5. 「余計ないこと」は言わない

 

簡潔にするノウハウ

①相手の役に立つ

一般的な人が1つの記事や最新情報に費やす時間は平均26秒。その時間が過ぎた文章は見捨てられる。相手の時間を無駄にすれば嫌われる。

  1. 伝えるべき要点を「リストアップ」する
  2. 要点のリストを「1つか2つ」に絞る
  3. 要点と詳細は必要不可欠の内容に絞られているか本気で見直す
  4. 削除できる言葉、文、パラグラフがないか見直す

 

②一瞬でつかむ

一番重要なのは冒頭だ。最初に目に入る1文が何よりも肝心である。冒頭の言葉選びが、その後に続く何百もの言葉が読まれるかを決定づける。注意を引くフレーズかどうかを見極める確実な方法は、それが他人の書いたものだと想像し、果たして読む気になるか自問することだ。

  1. 「長いタイトル」「冗談・皮肉」「造語」「ビジネス用語」をやめる
  2. 「なぜその情報を伝えているのか」を1文で示す
  3. 声に出して読んで吟味する

 

③相手に知って欲しいことを1つだけ伝える

相手に知って欲しいことを1つだけ抽出し、力強い1文ではっきり伝えなければならない。さもなければ、誰の記憶にも残らない。

  1. 「一番大事なポイント」を突き詰める
  2. エピソードは省く
  3. 1文でメッセージを言い切る
  4. 「副詞」「弱い言葉」「曖昧な言葉」をそぎ落とす
  5. 最後に自問する

 

④「なぜそれが重要か?」を伝える

大半の人は「何が」重要かだけでなく、「なぜ」重要かも理解できないほどに忙しい。「なぜそれが重要か?」という見出しは、読み手の思考をわかりやすい文脈に落とし込む。

  1. 「なぜそれが重要か」と太字で表記する
  2. その情報が重要な理由を1文で説く
  3. 単刀直入にする
  4. タイトル、リード文、見出しのパートを通して読む

 

⑤さらに知る

スマート・シンプルを極めるには、最初の見出しの後に、すみやかに、読み手に親切な方法で、掘り下げた内容や詳細、ニュアンスなどを伝えなくてはならない。締めくくりのパラグラフとして「さらに知る」とだけ書いてリンクを張る。

  1. 太字の見出しで向かう方法を読み手に知らせる
  2. 「箇条書き」を多用する
  3. 際立たせたい見出しや単語、数字に「太字」を使う
  4. 短く区切る
  5. すぱっと終わる

 

⑥適切な言葉を選ぶ

「ほぼ適切な言葉と適切な言葉には蛍と稲妻ほどの違いがある」。

  1. できる限り短い単語を使う
  2. 鮮明で的確、具体的な言葉を使う
  3. 抽象的な言葉を避ける
  4. ぼやけた表現を避ける
  5. 能動的な言い方にする
  6. 歯切れのよい表現を使う
  7. すべての言葉を「総チェック」する