史上最も恋愛が難しい時代
現代ではすべての決断は自分次第である。自分で行き先を決めなければならない。現代人が手にする自由と果てしない選択の裏には、一生の幸せを台無しにしてしまうのではないか、という恐怖が潜んでいる。責任は自分にあり、責めを負うのも自分だけ。そんな私たちに突きつけられる最大の難問が「誰を恋愛相手に選ぶべきか」である。
今は、マッチングアプリで恋愛相手を選ぶ時代となった。何百ものパートナー候補の中から次々にスワイプで相手を選ぶことができる。しかし選択が無限にあることには欠点もある。人間は選択権を切望する一方で、選択肢が多すぎると幸福感が減り、自分の決断に対して疑いが増す。
情報社会に生きる私たちは、果てしない数のランキングやレビューを検索し、正解のものを選ぶことができると感じてしまう。しかし、恋愛にはその手の保証は存在しない。
3つの恋愛傾向
恋愛を失敗させる行動パターンには、3つに分類される。どの傾向の人々も、自分自身か相手、あるいは恋愛に対して非現実的な期待を抱いて苦しんでいる。
①ロマンス志向型
恋愛に対して非現実的な期待を寄せる。運命の人と末永く幸せに暮らす、おとぎ話を求める。
恋愛に関して、人間は2つのタイプに分かれる。
- ソウルメイト信仰を持つタイプ:恋愛成就は正しい相手を見つけることにかかっていると信じる
- 解決型マインドセットを持つタイプ:努力を注ぐことが恋愛の秘訣だと信じる
ロマンス志向型はソウルメイト信仰を持つタイプである。ロマンス志向型は愛を待つだけで、愛をつくるための努力をしない。ソウルメイト信仰から解決型マインドセットへ変えられるかどうかが、人生のパートナー探しを左右する。
②完璧志向型
パートナーに非現実的な期待を持つ。あらゆる選択肢を検討するのが好きで、正しい選択への絶対的な確信を欲する。
完璧志向型の正反対がサティスファイサーである。このタイプは、到達すべき基準値は持っているが、他にもっといい選択肢があるのではないかと過度に心配することはない。自分の尺度を理解しており、十分な選択肢を見つければそれで満足する。サティスファイサーは良い決断をできるだけでなく、その決断に満足する傾向がある。なぜなら、満足することは妥協することではないからである。
恋愛における完璧志向型は、精神的な苦痛をもたらし、決断を遅らせ、チャンスを逃すことにつながる。自分の決断を受け入れることが大切である。
③尻込み型
自分自身に非現実的な期待を課す。恋愛のための準備がまだ整っていないと感じる。しかし準備ができたと思える日などこない。どれだけ自分が完璧でなくても、とにかく外に飛び出して恋愛を始めなくてはならない。
尻込み気質を克服するには、次のテクニックが使える。
- 自分に締切を課す
- 新たなデート生活に向けて準備する
- 他者に自分の計画を話す
- 「デートの達人」としての新たなアイデンティティを手に入れる
- 小さな目標から始める
愛着スタイルを知る
愛着理論は恋愛を理解するためによく使われるフレームワークである。なぜ特定の人に惹かれるのか、なぜかこの恋愛はうまくいかなかったのかを理解することができる。人はみな等しく愛情と関心を求めるが、次の3つのスタイルに分かれる。
①不安定型
パートナーとの親密な関係を求める一方で、2人の未来に不安を抱き、相手が自分に愛情を持っているのか心配する。
②回避型
関係が近すぎると気まずさを感じ、つながりよりも自由を大切にする
③安定型
親密さにも、1人で過ごす時間にも、相手と明確な距離をとることにも心地よさを感じる
安定型の人は人口の50%を占めるが、独身恋愛市場には極端に少ない。彼らは早くに付き合い始め、その恋愛を持続しがちだからだ。不安定型、回避型の人は、安定型のパートナーを探し、自分自身の破滅的な衝動や感情をコントロールする自己制御能力を身につけることで、恋愛スキルを向上させられる。
長期的な関係の相手に求めるべき資質
私たちは長期的な関係に重要な資質を過小評価しているだけでなく、重要でない資質を過大評価している。私たちが思っているほど大切ではない資質は次の通り。
- お金
- 容姿
- 自分と似た性格
- 共通の趣味
人間関係学者が、見た目の特徴や共通の趣味よりも、長期的な関係の成功に寄与すると発見した資質は次の通り。
- 情緒の安定と優しさ
- 誠実さ
- しなやかなマインドセット
- 自分の長所を引き出してくれる性格
- うまく喧嘩するスキル
- 難しい決断を一緒に下す力
結局、恋愛とは2人の人間が一緒になった時に何が起こるかである。相手が自分のどのような面を引き出すかに注意すること。その人と一緒にいる時の自分が好きかどうかが大切である。