起業家精神とは
成功するニュービジネスの多くは、ご都合主義を超えた価値から生まれている。ビジネスが成功するのは、より広いビジョンを持っているからなのだ。起業家はある意味で社会の本流から外れている。確かに社会に属してはいるが、一歩引いた見晴らしのいい視点から見ることができるのが起業家だ。
起業家精神とは、行動するより前に、見ることである。「見る」「行動する」、最後に「ビジネスする」がくる。但し、自分の視点だけから始めて成功した起業家は少ない。ヒントは自分の周囲にある。成功する創業アイデアはある特定の職業にのめり込んだり、趣味が高じたり、何か他の目的を追求していく中で生まれる。起業家は「世界にはこれが欠けている!」という熱い思いに駆られて製品やサービスを新しく思い描き、あるいは変化を加えるのだ。
ビジネスははじめが肝心
ビジネスの報酬をお金、リスクを失敗と見るのは本質ではない。大切なのは、損益にかかわらず、何事かを生み出す泉となる数限りない活動である。
始めなければ始まらない。しかし、言うは易く、行うは難し。ビジネスアイデアなるものは、あちこちで聞く。その多くは素晴らしいアイデアだが、問題は「どこから始めればいいのかわからない」ことである。
有効なアプローチの1つは「何が出発点ではないのか」を考えること。まずはじめに、ビジネスアイデアをわかりやすいエッセンスに凝縮してみること。ビジネスははじめが肝心。それで成否が決まったようなものである。ビジネスの成長は一歩一歩階段を上がるようなもの。階段を丁寧に踏みしめていけば、失敗はほとんど起こりようがない。
ビジネスを育てると言うことは、自分自身が汚れ仕事にも自ら精通することを意味する。はじめのはじめに、業務全般について正くコントロールできるだけの力をつけること。業務がどのような基本要素によって成り立っているのかを知ること。最初のこの地道なプロセスを飛ばすと、後々トラブルの原因になる。どんな成功したビジネスであっても、最初は地味な業務から始まっている。
ビジネスは実行あるのみ
ビジネスが失敗する基本的要因は、顧客がいないことである。要するに売れない。そういう時のおすすめは、遊ぶことだ。子供の遊びは、体験したことのないコトや感情への畏怖、驚き、疑い、好奇心でいっぱいだ。子供たちは矢継ぎ早の質問攻めにする。「なぜ?」を手に、顧客の立場に立ってみること。表へ出て、自分の会社を外から眺めてみること。
問題は常にある。問題があるからこそ、そこにチャンスがある。ビジネスが問題や混乱にぶつかった時こそ、真正面から向き合うこと。自分の頭で考えること。手軽で簡単な答えに飛びつくのはやめること。ビジネスに定石はない。ないからこそ努力が必要で、努力した分だけ報われるのである。
ビジネスは理論や革新的なアイデアをテストする実験場ではない。ビジネスとは実行である。アイデアも情報も、創造性も大事だが、何より重要なのは実行である。ビジネスはピアノやサーフボードを習い始めるのと何ら変わりはない。何事によらず「これだけやれば成功する」などという近道はない。
良いアイデアとは
良いアイデアというものは、大して良くは見えないものだ。だが気にする必要はない。良いアイデアは臆病で無力で見栄えが悪いものだ。ビジネスアイデアは日常生活での何かへの強い興味、やみつきになっている何かから生まれるものだ。じっくり考え、自由に連想し、徹底的に調べ、夜遅くまでいじり回す。
良いアイデアの初速は遅い。何か良いアイデアが浮かんだら、友人に話してみるといい。「素晴らしい」と返ってきたら、きっとトラブルに巻き込まれるだろう。話した相手がみんな「抜群だね」と反応したら、時すでに遅し。他の誰かが手をつけている。友人が訳のわからない顔をして肩をすくめたりすればOKだ。
チャンスはたっぷりある。生活者は本質的に満足していない。良いアイデアは、常に人のそばにあるが、でも人が気づかない何かを提供してくれるものだ。起業家はその「何か」に目をつけ提供する。そこで初めて顧客が財布のひもを緩めてくれるのである。
成長の秘訣
成長のための正しい方法は、成長を解放してやることだ。最悪の方法は、成長をプッシュしてしまうこと。伝統的に私たちは、ビジネスの成長を右肩上がりの発想で考えてきた。そこにあるのは「もっともっと」という思いである。しかし、健康的に成長するために、自分自身の言葉で監視でき、理解されなければならない。
すべてのビジネスに、無理のない自然な成長率がある。到達できないと、ビジネスは萎んでしまう。超えてしまうと、ペースに合わせるために四苦八苦する。創業者の果たすべき最も重要な働きは、自社のビジネスに自然と無理なく内在する成長率を見定めることだ。そしてそれにペースをセットする。