視覚マーケティング戦略

発刊
2014年9月26日
ページ数
224ページ
読了目安
243分
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デザインを戦略的に取り入れるには
ビジュアルやデザインといった「視覚に訴える戦略」の基本的な考え方を紹介している本です。ビジュアルやデザインの重要性を説き、デザインを問題解決に使うためにどうすればいいのかが書かれています。

見せることを最適化する

人間が受け取る情報の90.9%は視覚から取り入れられている。しかし、それらの情報の多くは無意識に入ってきてそのまま流れていってしまい、意識にとどまったわずかな情報をもとに脳は勝手にシュミレーションをする。そのシュミレーションが錯覚を引き起こす。さらに錯覚は人に期待を抱かせる。視覚マーケティングの本質はここにある。

 

つまり、「見せる」事を最適化する事で、人は錯覚を起こし、錯覚は脳を騙し、人に期待を持たせる。さらに期待は「すごい」「素敵」「おもしろい」などといった感情と結びつき、人を行動に駆り立てる。

 

見た目と内なる力のバランスをとる

人は「見た目」の変化に敏感に反応する。企業が作っている製品、またその製品のパンフレットなど、企業が外に向けて発信しているすべてのビジュアルにも言える。

「見た目(目に見える一番外側のビジュアル)」と「内なる力(内からにじみ出る力)」、この2つはニワトリと卵のようなもので、どちらが先というものではない。常に双方が影響し合って1つの形を形成する。「見た目」と「内なる力」はリンクしていて、双方がバランスよく保たれている事が大切である。この両者のバランスの取り方を決めて、価値を最大化する方法が、視覚マーケティング戦略である。

 

外側のビジュアルを内的改善の力として利用するのか、内側の変化を表出させて威力を増すのか、あるいは両方をどう組み合わせるのかという事を意識すると、いわゆる「ブランドイメージ」をコントロールできるようになる。

・生ジュース → やや昭和っぽい
・スムージー → おしゃれで健康的なライフスタイル感

 

人はまず見る事から様々なシーン、効果・効能をシュミレーションする。そして、脳が勝手に想像して、錯覚し、期待を持つ。スムージーを素敵だと感じる人が見ているのはスムージーが持つ「世界観」であって、野菜や果物をブレンドしたスムージーという飲み物そのものではない。このような「世界観」の事を、広告デザインの業界では「トーン・アンド・マナー」と呼ぶ。

 

世界観を統一する

人が誰でも絶対に感じる「高そうVS安っぽい」「好きVS嫌い」という2つのベクトルの価値観をコントロールしながら、見た人誰もが同じ印象を感じるような世界観を作り上げる。これがトーン・アンド・マナーを考えたブランドデザインである。

会社がトーン・アンド・マナーを決めて、市場に対してコミットメントしたら、次に同じトーン・アンド・マナーで統一しなければならない。そのための手法には「好き嫌い」「高そう安っぽい」という2軸の他に、全体感をスケールする「トンマナレーザーチャート」などを使用する。

 

周辺情報をリサーチしてからデザインする

「新商品を売れるようにするデザイン」を知りたい時、行動観察の分析が有効である。製品の周辺情報、つまり製造者から始まり、流通、店舗、さらには使用者という一連の流れの中に身を投じてフィールドワークして、生の情報をつかむ。

 

こういったリサーチを経ずにいきなりデザインをしてしまうと、情報が足りず、とても狭い視野でのデザイン案しか生まれない。まず大切な事は、周辺情報から自分たちの商品・サービスが持っている価値をもう一度見つめ直す、洗い直す事である。