一分で一生の信頼を勝ち取る法 ―NHK式7つのルール―

発刊
2014年8月1日
ページ数
228ページ
読了目安
218分
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NHKニュースキャスターの話術
元NHKキャスターの著者が、NHKで伝統的に受け継がれてきた話し方を紹介している本です。短いニュース番組の中で、信頼を得るために磨かれてきたNHK式の話し方には、一瞬で信頼を得るためのノウハウがつまっていると書かれています。

信頼されるかは1分で決まる

人は、相手の外見や行動などを見て、「たぶんこんな人だろう」と無意識の内に想像する。相手が何か話し出す前からパッと見で、「やさしそう」「まじめそう」となんとなく感じる事がある。相手の話し方や振る舞いなどの「目に見える情報」から、相手の能力や信頼性など「目に見えないパーソナリティ」を推測する事を心理学では「対人認知」と呼ぶ。心理学者のシュナイダーらは、「対人認知の6種類」として、人が相手を判断する過程を6つに分けた。

 

①相手の存在に気付く
②パッと見の印象
③行動から受ける印象
④他の特徴を推測
⑤全体の印象形成
⑥将来の行動を予測

この6つは瞬時に、かつ無意識の内に行われる。その時間は1分もかからない。私達は1分以内で、信頼できる人かどうか相手に判断されてしまう。

 

NHK式7つのルール

放送の現場はシビアである。テレビを見ている視聴者は、信頼できないと思ったら、ほんの数秒でとチャンネルをかえてしまう。そうならないために、NHKには89年の歴史で培われた、数秒の内に信頼される話し方のノウハウが受け継がれている。

 

①話す目的をハッキリさせる
「誰に」「何を」「なぜいま」「なぜあなたが」という問いに答える。人は話を聞く時、その話に「意義」や「大義」があるかを無意識にチェックしている。「意義」や「大義」を持たない話し手は信頼されない。

・誰に:具体的な1人をイメージできるまで考える
・何を:事実(数字、データ)と感情(気持ち)の両方を伝える
・なぜ:なぜを考えると、話す内容に公共性が出る

 

②「13文字以内」でタイトルをつける
NHKではテレビ画面の横幅に入る文字数が13文字以内という制限がある。タイトルをつける時は「何を伝えるか」を考える。タイトルは聞いただけで内容をもっと知りたいと思うものでなくてはならない。具体的な中身に踏み込んだタイトルにすること。コツは、うまいタイトルをマネること。タイトルを考えて話す利点は2つ。

・話がわかりやすくなる
・自分でも何を話しているかわからなくなっても大丈夫

 

③結論は「最初の15秒」で言う
1分のニュースの中で、アナウンサーにとって勝負となるのは、最初の15秒の結論部分。この15秒はアナウンサーの顔がテレビに映っている時間だからである。この部分をリードと呼び、「5W1H」を入れるのが「NHK式」である。

 

④「一文50文字以内」にする
一文が長い文章は、ピントがボケて何を言いたいのかわからない。一文が短い文章は、伝えたい事が明確で、力強い印象を与える。

 

⑤「4つの抑揚」で強調する
「NHK式」では、特に伝えたい言葉が目立つように抑揚をつける。抑揚のつけ方は4つ。

・ゆっくり:強調したいところを一音一音大事にゆっくりと発音する
・大きく:強調したいところを声を大きく強くしながら、同時に身を乗り出す
・前後の間:強調したい言葉を「間」でサンドイッチする
・高さを上げる:強調したい言葉の1文字目を高い音で発音する

 

⑥「1分300文字」でゆっくり話す
1分300文字は、相手に一番伝わりやすい理想の速度である。

 

⑦独り言から入る
現場では、話し始めのひと言を「入りのひと言」と呼ぶ。NHKのリポーターがよく使うのが、自分の五感を使った独り言である。

「甘いおいしそうな香りがしています。こんがりと茶色に焼き上がったパンが次々と運ばれています。ここはパン工場です」

「入りのひと言」を五感を使った独り言で話す利点は、聞き手が話を好感を持って聞いてくれるようになる事である。