影響力の方程式
習慣に影響を与えたり、社会的大義を唱えたり、あるいはキャリアや会社を成功させたりと、何を成し遂げたいかにかかわらず、私たちは1人では達成できない。成功のための最も普遍的な戦略は、自分や自分の人生、自分が大切にしていることに、影響を与え得る人たちと意味のあるつながりをつくることだ。
私たちの影響力は、私たちが誰とつながっているか、彼らが私たちをどれだけ信頼してくれているか、そして私たちが共有する共同体感覚の副産物である。「影響力の方程式」は以下の通り。
影響力 =(つながり × 信頼)を共同体感覚で累乗したもの
信頼を築く方法
信頼関係の深さに影響を与える要因は、次の3つが土台になっている。
- 能力
- 正直さ・誠実さ
- 徳
この中でも、より脆いものもあれば、他の要素に大きく依存するものもある。人々は、正直さよりも徳の不履行をより重く判断し、能力の不履行よりも正直さの不履行をより厳しく判断する。
残念なことに、信頼の引き金となる要因の多くは、特に短期的には私たちの手に負えない。即断と偏見は、ほとんど瞬時に起こる。では何をすべきか。私たちはすべての人が良くなるような関係を築こうとしているのだから、その背景には徳が必要だ。徳があり正直であるという評判を得ていれば、能力を示すことはずっと容易になり、そして信頼を得ることになる。
研究によると、信頼はむしろ、気遣いや帰属意識を示すミクロな行動の副産物であることがわかっている。例えば、子供の名前を尋ねる、誕生日を覚えている、洞察に満ちた褒め言葉をかけるなどである。コミュニティやグループ、あるいは友情であれ、大切にされていることや帰属していることを示すこうした合図は、驚くほど大きな影響力を持つ。
このようなミクロな帰属表現は、時間をかけて積み重ねられていくが、「ハロー効果」と呼ばれる行動学的ショートカットを使うことができる。私たちが信頼している人が、その人物、製品、サービスに関係していれば、私たちはそれを信頼する可能性が高くなる。
但し、ハロー効果を発揮させるためには、最初に信頼関係を築くための誰かが必要になる。共通点のない人々の間に信頼を築く最も手っ取り早い方法は、共通の目標や問題に共同で取り組むことである。そのプロセスは、人々が協力しなければならないほど大きな課題を見つけることから始まる。誰かがサポートを求めるシグナルを出してくれるからこそ、私たちはその人を信頼することができる。
誰とでもつながる方法
私たちは、何かに触れれば触れるほど、それを好きになり、信頼し、より心地よく感じるようにできている。単純接触効果は非常に強力で、私たちが何を食べ、どのような服装をし、誰と時間を過ごすかに影響を与える。私たちが何より接触しているのは自分自身である。だから、自分と最も共通点を持つ人が、私たちとつながる可能性を最も持っている。私たちのほとんどは、自分とは根本的に異なる人たちとはつながりを持たない。私たちは、政治的見解、収入レベル、宗教的信条、好きなスポーツチームなどが似ている人と一緒に過ごす傾向がある。
そのため、ほとんどの人とつながるためには、彼らが何に価値を置いているのかを知る必要がある。徳の高いアプローチをとり、彼らが気にかけていることに焦点を当てるのだ。
人々は次の4つのグループに分けることができる。あるグループが他のグループより優れているというわけではない。自分の人生、キャリア、会社、大義のために何を望むかによって、適したグループとつながることが重要である。
- グローバル・インフルエンサー:経済界に影響を与え、即座にマスコミの注目を集め、国際的に知られる存在
- 業界インフルエンサー:その業界に影響を与える能力を持ち、業界の尊敬を集めている存在
- コミュニティ・インフルエンサー:コミュニティや業界内のニッチに影響を与えたり、導いたりできる人たち
- パーソナル・インフルエンサー:自分の人生に影響を与えたり、逆に相手に影響を与えたりする人たち
共同体感覚を与える方法
自分が何に関心を持ち、誰とつながりを持ちたいかを考える時、本当に価値があると考えていることに集中すること。自分が本当に大切にしているものの一部になることは、関係者全員にポジティブな影響を与える可能性がある。
コミュニティの活動的な一員になると、私たちは自分がいるべき場所にいるような帰属意識を経験する。人は単にコミュニティに属したいという願望を持つのとどまらず、家にいるような感覚を味わいたい。真の帰属意識を育むために必要な特徴は次の4つである。
- メンバーシップ:内側にいる人と外側にいる人が存在する
- 影響力:コミュニティはメンバーに影響を与え、メンバーはコミュニティに影響を与える
- ニーズの統合と充足:会員とコミュニティのニーズが一致し、双方が価値を得る
- 感情的なつながりの共有:会員が参加してきた歴史や旅路が共有されている