本物のリーダーは引っ張らない チームをつくる4つの感情スイッチ

発刊
2018年11月20日
ページ数
298ページ
読了目安
316分
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推薦者

立場や肩書きに頼らない部下の動かし方
従来のようにリーダーが肩書きや立場によって、部下を動かしても成果は上がらない。外部の環境が変わっていく中で、上司はどのようにメンバーを動かせばいいのかを物語で説明している一冊。

リーダーが引っ張れない時代

部下をうまくマネジメントできず悩んでいる上司と、部下にとって悩み深い上司とは、同じ人である。それは、単純に「指示・命令をして自分に従わせること」がリーダーとしての行動になってしまっている人、あるいは上司になったらそうできると思っている人である。これは明らかにリーダーとして「引っ張る」という言葉の趣旨の履き違えである。

現実社会においては、リーダーの立場になった人の行動の基軸が、自分に従わせようとすることになっている場合は多い。しかし、上司に従って、指示の通りにやっていれば成果が出るのであればまだしも、変化が激しく、物事の陳腐化が早く、過去の経験則が決して正解にならない時代である。大きな成果に結びつかないであろうことにエネルギーを使わされれば、現場は疲労感が蓄積し、部下は所属する会社や職場での自分の未来に希望を感じなくなる。

人には人それぞれの強みや持ち味がある。自分の力を過信せず、人の力を借りて、それぞれの強みや持ち味を活かして、結びつけて、チームで仕事をしない限り、大きな成果を出すことはできない。

勘違いしている上司

「リーダーシップ=引っ張ること」という直線的な心構えや姿勢には大きな落とし穴がある。1つは、何でもかんでも「自分の腕力に頼る」という考えや行動につながりやすいこと。「自分でやった方が早い」となって、部下の仕事を取り上げたり、自分がやってしまい、部下を自分のアシスタントのように扱ってしまう。すると、部下は仕事が面白くなく、モチベーションも上がらない。

もう1つの落とし穴が、「自分が主役」という思い込みにはまってしまうこと。自分が主役だと思い込んでしまうと、みんなの力であげたチームの成果なのに「自分の手柄」だと勘違いしてしまう。さらに、部下というのは「自分が説教する相手」になってしまう。

引っ張るというのはあくまでも状況に応じて取る手段の1つであって、それそのものがリーダーシップではない。

組織力の方程式

リーダーは一人で戦う人じゃない。一人で仕事をしたところで、大したことはできない。

組織力 = 個人の力 × 個人間のつながり力

大切なことは、この方程式が「掛け算」であること。いくら優秀な人がいて、個人の力が高くても、個人間のつながり力が低かったら、大して組織力は大きくならない。

本当の「つながり力」は、イベントや制度ではなく、日常の中で作られる。現場のリーダーこそ、現場という日常の中で、社員同士の本当のつながりを作るといった、一番大きな役割を担うことができる。

感情に応える必要がある

リーダーがやるべき行動には2つの軸がある。

①父性のリーダーシップ
ビジョン、戦略、変革、業績などを共有したり、要求したり、追求したり、実行管理したりする行動。

②母性のリーダーシップ
人間としての本質的な感情に応えるためにやるべき行動。

心を持った経営資源である人間は、①だけでは疲れてしまう。そのために②が必要である。

4つの感情スイッチ

リーダーと部下の心と心が結びつくために、リーダーに押して欲しい部下の心のスイッチが4つある。

①信頼感
部下から信頼感を得るための行動が当たり前にできているか。嘘を言わない、約束を守る、責任感、聴く、利他という誠実の5要素が大切。

②達成感
「自分」が仕事に投影されると「この仕事は自分の仕事だ」という気持ちも自然に高まる。その仕事に対する主体性や責任感も強くなる。そのためには「任せる」ことが大切。

③不安感
今の時代、不安感に対するマネジメントが大切。不安の感じ方は人それぞれ異なる。自分の尺度で軽く扱ったり、馬鹿にしてはいけない。まず部下から相談しやすい人になることが大切。

④効力感
自分が言ったり、やったことに対して、周りから嬉しい反応が返っていた時の感情。相手に感謝を伝えることが大切。