勉強のコツ
勉強法は以下の記憶に関する3つの原則に従っているものが効果的である。
①記憶は思考の残りかすであるため、「意味について考える」ことが役に立つ
②構成をつかめば記憶しやすくなる
③想起練習により情報が記憶に定着する
情報を記憶に定着させる一番の方法は、それが何を意味するのかを考え、自分が学習するあらゆる情報と意味をもとに結びつけることである。そして、内容を理解するには、それがどのように構成されているかを理解する必要がある。そして、内容がどのように構成されているかを理解するには、それが何を意味しているのかを理解する必要がある。
記憶によって重要になるのは精神的負荷のかかる作業をすることである。情報が頭に入っているのは、最も強力な勉強法の1つ、想起練習を活かせているからに他ならない。
授業を理解する
授業は前もって階層的に組み立てられており、教師は全体の構造を頭に浮かべて話している。しかし、授業を聴いている側は、情報を1つ1つ前から順番に、線状に受け取っていくしかない。そのため、構成に関わるような情報のつながりに気づかない。
ただなんとなく聴いているだけでは、全体の構成を把握することはできないため、構成の1つ目と2つ目の階層を把握することを目指すといい。1つ目の階層は「問い」、その日の講義で一番重要なテーマである。2つ目の階層は、結論を導き出す「根拠」である。時々、頭の中で全体像を点検するようにする。いいタイミングは、教師が新しいトピックへ移ろうとしている時である。「先生が今言ったことが、今日の全体的なテーマ(問い)とどう繋がるか理解できているだろうか」と自問する。
ノートを効率的にとる
人は、書く速さの約6倍の速さで話すので、完璧なノートをとること自体が無理である。ノートをとるのが遅れるというプレッシャーを感じると、脳は書くことに多くの注意を向け、理解することに向ける注意を減らしていく。書くことに向ける注意と理解することに向ける注意のバランスを保てるように対策を立てる必要がある。
聴いて学ぶ時にやるべきことは「聴きながら理解すること」と「ノートをとって後で記憶を呼び起こせるようにすること」である。自分が何を学ぼうとしているのかを考え、授業の前に、今日は「理解すること」と「内容を書き取ること」のどちらを重視するかを考えておくこと。できるだけ多くの情報をノートに書き取ることを重視するのであれば、やるべきことは、深く理解したり、自分の言葉で言い換えたりすることは気にせず、できるだけ早く書けばいい。理解することを重視する場合には、先生が話していることを理解したら、それをそのまま書くのではなく、自分の考えたことを書く。
ノートは簡潔さとわかりやすさをバランスよく兼ね備えていることが重要である。教師が質問はないかと尋ねたタイミングで、自分のノートは後で読んでも意味が通るかどうか、チェックするといい。
実習から学ぶ
実習や課外授業の目的は様々である。何を学ぶかによって違った対策をとる必要がある。実習には3つの主要な目的がある。
- 手順:何かをうまく行う方法を教えること
- 経験を積むために行うこと
- 言葉で説明しにくいことを、やってみることで理解すること
なぜ実習を行うのか、その目的をわかっていなければならない。参加する際には、何を学ぼうとしているのかを理解していることだけでなく、注意を向けるべき対象をわかっているかどうかも大切である。やっていることに集中していなければ、学ぶことはできない。
物事についてどう考えるかによって、何を思い出せるかが大きく変わってくる。これは「記憶は思考の残りかすである」と説明できる。従って、実習を通じて学ぶ時にも、注意を向けるべき正しい特徴を選ぶことが極めて大切になる。そのための具体的な指針は次の通り。
- 小さな要素ごとに集中して取り組む
- スキルごとのお決まりの順番に進める
- 自分の結果に対して「上手な人」から意見をもらう
- やり方を変える
- スキルの1要素に意識を集中させ、新しいやり方を試し、結果を観察する
- 長い目でみる
知識を血肉にする
記憶を掘り起こせば、記憶力が向上する。記憶から情報を取り出すプロセスを「想起」という。想起練習は、有効だが注意すべき点が2つある。第一にフィードバック。学習のためにテストを受ける場合、自分が正答できたかをすぐに確かめる必要がある。第二に、想起練習が効果を示すのはテストを行った内容だけ。
想起練習は効果的だが、効果がないように感じてしまう。たとえ難易度が高く、成果が感じられない気がしても、長い目で見ればそれが一番いいやり方である。
想起練習を活かすには、質問回答形式の参考書をつくるのがおすすめである。つまり、フラッシュカードを大量につくって1セットにする。効率的に勉強できるだけでなく、知る必要のあることをすべて1カ所に集めることができる。