最初から相手の好みは決まっている
長年にわたる進化のおかげで、私達の脳には恋人候補に対する好みがプログラムされている。進化論的見地では、あらゆる生物の第一の目的は、自身の遺伝子を次世代に伝える事だ。ゆえに、恋人や結婚相手を選ぶのに細心の注意を払う。
私達は恋人候補全員を偏見のない公平な目で見ているわけではなく、最初から好みの相手が決まっていると言ってもいい。そういった先入観に満ちた嗜好によって、生殖活動の成功率が格段に上がるからだ。
心理学者デヴィッド・バスが行った有名な研究で「未来のパートナーに何を求めるか」を世界各地の1万人以上の人に尋ねるというものがあった。結果は、男女共に長期的なパートナーに優しさと知性を求めたが、財力を重視する女性は男性の2倍以上で、それに関しては、人種や政治体制、宗教や大陸による差はなかった。
左右対称の顔に惹かれる
女性が男性と出会った時、その男性が恋愛対象になるかどうかは、即座に判明するいくつかの資質でほぼ決まってくる。最もわかりやすいのは、民族性や年齢だろう。だが、進化論的見地では、それ以外のさほど明白でない資質にも女性は興味を示す。潜在的な経済力、社会的地位、優しさ、健康などだ。こうした資質は、目に見える手がかりをもとに予測する事ができる。
男女共に左右対称の顔や体に惹き付けられる。その理由は、良質な遺伝子と、良好な健康状態の2つだ。本来、人体の右側と左側の細胞は、左右対称になるように同比率で成長し、分裂する事になっている。だが、病気や怪我から生じる遺伝子の異常や環境的なストレスなど、様々な要因で体は非対称になる。ゆえに、左右対称の顔には、様々なストレス要因に打ち勝つ生理的能力を持っていると見なす。
女性を惹き付ける左右対称の顔の持ち主の方が、左右非対称の顔の男性に比べて、間違いなく健康なのは無数の証拠が裏付けている。左右対称の顔をした男性の方が、感情面でも心理的でも身体的でも健康である確率が高い。
卒アル写真で将来はわかる
アメリカでは結婚した夫婦の約半分が離婚し、男女共に大きな被害を被っている。調査によると、離婚は様々な健康状態の悪化と結びついているらしい。
離婚するか否かを、一枚の写真をもとに予測する事はできるのか。後に離婚した人に比べて、一人の相手と一生添い遂げた人は、写真の中で自然な明るい笑みを浮かべている事が多かった。そういう人達の笑顔は、頬を持ち上げる筋肉だけでなく、目のまわりの筋肉も完全に収縮していた。そういう風に笑っている人は結婚が長続きする確率が高い。離婚した人達の笑顔は、目のまわりの筋肉が収縮していない傾向にある。作り笑いに近い。卒業アルバムの写真で満面の笑みを浮かべていた人に比べて、さほど笑っていなかった人の離婚率は5倍にのぼった。
一枚の写真の笑顔の状態だけで、結婚の結末や性格や寿命が常に予測できるわけではない。だが、個人差があるにせよ、一般的に、写真の中で笑っている人は、笑っていない人に比べて、結婚生活も順調で長生きする。
最も信憑性のある解釈は、写真の中で笑っている人達は、より前向きに感情をコントロールできて、より幅広い社会や人とつながりを持っているというものだ。別の研究では、フェイスブックの写真で笑っている人は、しかめ面の人に比べて、満ち足りた人生を送り、人とのつながりも豊かだという結果がでている。
