プロの資料作成力

発刊
2012年5月25日
ページ数
189ページ
読了目安
210分
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相手に伝わる資料の作り方
日本IBMにて、社内外の研修講師をつとめ、多くのコンサルタントを指導してきた経験を持つ著者が、「相手に伝わる」資料の作成方法を伝授。

前半は、相手に伝わるために必要な資料作成の考え方、後半はチャートやグラフの作成方法、色の付け方などの具体的なテクニックを紹介している。

「わかる」「伝わる」資料とは

ビジネスにおける「わかる」には、2つの意味がある。

①意味がわかる:言葉の意味がわかり、情報を適切に引き出すことが可能な状態
②意義がわかる:内容の主張が腑に落ちて、アクションをとることが可能な状態

 

「相手に伝わる」資料は、この2つの「わかる」について、ともにわかりやすい状態である必要がある。「意味を理解」してもらうためには、情報の量と質が適切で脳の本棚に収めやすい塊にする必要がある。「意義を納得」してもらうには、内容に論理的なエラーがないことが必要である。さらにロジックだけでなく、感情的に受け入れてもらう資料を作成することが大切である。

 

プロフェッショナルな資料の3つの要件

プロフェッショナルが作る資料には3つの要件が必要である。

①相手の期待値を理解している
②質、スピードの達成基準が高い
③誤字・脱字がなく、興味・関心を満たし、安心・満足・感動を与える

 

資料作成のステップ

プロフェッショナルな資料を作成するには、「何のために」「誰に」「何を」「どうやって」という4つのフレームワークで、概要を押さえる。

①資料作成の「目的」を明らかにする
②「ターゲット」を設定し、分析する
③ターゲットに対し、相応しい「メッセージ」を作成する
④効果的に伝えるために「構成」を考える
⑤「ビジュアル化」する

 

資料作成する際には、まず「目的」「ターゲット」「メッセージ」「構成」といったステップの前段部分を紙に書き、それから一気にパソコンで作る。いきなりパワーポイントを立ち上げず、まず紙に書けば、本質的メッセージしか書けず、それを確認することができる。

 

Step1 目的を明確にする

目的は3段階で設定する。
①どんな行動をとってもらいたいのか
②そのために何を理解してもらいたいのか
③そのためにどのような状態にするべきか

目的が不明瞭で損をしている資料は多い。営業資料で「こういった商品があります」といった説明だけで、相手から「それで?」と返されてしまうケースが典型。相手にどんな行動をとってもらいたいかを意識し、それを一言で明快にまとめることがポイント。

 

Step2 ターゲットを知り仮説を立てる

ビジネスの資料は、ほとんどの場合、相手に訴えてそこから何らかのアクションを引き出すために作る。よって、相手がどうしたら動くのかといったターゲット分析は、徹底的に行う必要がある。

ターゲットを知るには、プロファイリングを行う。相手の人物像や保有する情報を分析することで、相手の「期待」や「理解」のレベルを明らかにし、何をどのように伝えるのが効果的かという仮説を構築する。

プロファイリングデータは、インターネット等の情報やターゲットの周りの人、同僚や側近、秘書などから集める。仮説を導く際には、相手の現在地を把握した上で、役職や部門、業界、時系列などをスライドさせた視点・視座を盛り込み、いい意味で期待を裏切ることができるかがポイント。

 

Step3 メッセージを作成する

メッセージを作るにあたっては「主張」と「根拠」がともに揃っているか。主張に「◯◯すべき」というアクションが含まれているのか。メッセージがしっかりメッセージになっているのかを確認すること。

説得力のあるメッセージは、以下の要件を満たす必要がある。
①ロジックエラーがない
②5回以上の「なぜ?」に耐えうるほど、根拠がしっかりしている
③相手の感情に染み入る
④前面に自分の感情を出しすぎない

参考文献・紹介書籍