「考える」の始め方

発刊
2023年10月4日
ページ数
191ページ
読了目安
172分
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推薦者

考えるとはどういうことか
「考える」ことが大事と言われるが、そもそも何をすれば考えたことになるのか。
考えるという行為とは何かをシンプルに説明しながら、考えるために必要なこと、考える力の身につけ方が紹介されています。

そもそも多くの人がSNSやメディアなどの情報をそのまま受け取って、自分で考えることをしないといい、そこから抜け出すための方法を提示しています。

考えるとはどのような行為なのか

何かを考える時、何の情報もない、まっさらな状態から思考を組み立てることはできない。その対象の周辺にある情報を「知る」必要がある。「思う」や「悩む」との違いは、この「知る」プロセスが必要かどうかにある。

そして、その知識のかたまりを論理的に、飛躍させずに組み立てていく。つまり、はじめに仕入れる知識が誤ったものであれば、どれだけ考えを組み立てようとしても正解には辿り着けない。正しく知ってこそ、正しく考えることができる。

 

知識は武器で、考える力はそれを使いこなす筋肉。どちらも欠かすことのできないものだが、まずは武器がなければ何も始まらない。では、どこで正しい「知」を得ればいいのか。信頼できる情報は、限られた人だけが手に入れられるものではない。公的な調査結果や統計は今もネットにも掲載されているし、図書館に行けば専門書や論文など、ファクトが並んだ情報を手に入れることができる。そういった意図や思想が「介在していない」情報にあたることを意識するといい。

 

「考える」とは、まず問いを持つことからはじまる。「本当にそうだろうか?」と疑い、答えを求めていく。次の3つのステップはあらゆる場面で使える。

  1. 目の前にある違和感を見逃さない
  2. 疑ったルールや事象に対して「なぜ」「どうすればいいか」を考える
  3. おかしいと思ったら声を挙げ、説明する

 

与えられたルールや条件を鵜呑みにせず「どうしてこの条件が必要なんだろう?」「もっといいルールにできないか?」と考える。

 

問わなければ考えられない。考えなければ議論を起こせない。議論を起こさなければ、いつまでも理不尽を押し付けられる。考える人がいなければ、学校も会社も社会も、多様性の時代に適応できず停滞していく。

「考える」とは、考える対象の定義を疑い、問い直すこと。確かな「知」をたよりに原理原則に立ち返る。場合によっては、自ら定義を定めること。その上で、立てた問いに答えを与えていく行為である。

 

どう考えればいいのか

①まず原理原則を明らかにする

もし原理原則に背いていたら、それは正しいやり方ではないと判断できる。1つずつ「〇〇とは?」をベースにした原理原則を突き詰めて言葉にし、定義を固めていくことが「考える」の第一歩である。

 

②勉強する

勉強には、ベースとなる「知識」をインプットするという働きに加えて、「考え方を学ぶ」という側面がある。学問は、知識だけでなく「考え方」の宝庫である。学問の中でも一押しの1つが「地政学(地理+歴史)」である。地政学は「与えられた前提をもとに状況を正しく把握して考える力」を教えてくれる。

 

あらゆる地理的条件によって与えられた前提は、人間の力では変えられないものである。だから地政学は、国が持っている変えられない条件は何か、前提を正しく把握するところから始まる。自分に与えられた前提を正しく理解する。歴史を振り返っても、自分の手持ちのカードをうまく使った国は栄華を極め、反対にカードを正しく認識できなかった国は外交に失敗したり戦争に負けたりしている。

 

考える力は筋肉のようなもの。地道に積み重ねていくことでしか力をつけられない。知り、学ぶ。問い、考える。めんどくさがらずに、このプロセスを辿るしかない。

 

よく思考するための三種の神器

①タテ

タテとは「歴史」の時間軸。昔の人はどう考え、どう決めてきたのか。人間の脳は、ここ1万年ほど進化していない。だから先人の知恵はアテになる。

 

②ヨコ

ヨコとは「世界」。他の国や地域を参考にする。地球上にはたくさんの国があり、それぞれの問題をそれぞれに解決して国をよりよくしようとしている。視野を広げて海の向こうから学ばせてもらう。視野を広げてヨコを探れば、どこかに問題を克服したお手本がある。

 

③算数

印象論や「なんとなく」ではなく、数字やエビデンス(科学的根拠)を見る。

 

歴史や海外のケース、公に発表されている信頼できるデータを調べる習慣をつけること。誠実に、手間をかける姿勢こそが、考える力を育てるための鍵である。

 

なぜ自分の頭で考えられないのか

思考のスタートラインに立つため、最初に必要なのが「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」の払拭である。アンコンシャス・バイアスは主に、属性に対する根深い偏見のこと。「らしい」「らしさ」という言葉には、様々なアンコンシャス・バイアスが付随している。

 

大切なことは、誰もがバイアスを持っていることを意識すること。それが考える行為を阻害していることを自覚することである。無意識の偏見に気づき、克服する方法こそが「勉強」である。「人・本・旅」で学べば学ぶほど、思い込みも、決めつけも消えていく。

 

自らの偏見や先入観に気づき、拭い去り、物事をフラットに見る。これができれば、今後何が起きても、自分の考えを編み、進むべき道を歩いていける。