まず、ちゃんと聴く。 コミュニケーションの質が変わる「聴く」と「伝える」の黄金比

発刊
2023年10月13日
ページ数
320ページ
読了目安
391分
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ちゃんと聴くための教科書
人とのコミュニケーションでは、相手の話を聴くことが大事だと言われている。では、どのようにして聴けばいいのか。聴くという行為を詳細に分解し、意見の異なる相手との対話をするために必要なあり方、スキルを紹介している一冊。

聴くと合わせて、伝える方法についても書かれており、いかに聴くと伝えるを使い分けるかのコツも紹介されています。1on1などビジネスにおいても様々な場面で使えるコミュニケーションの基本から応用までが、わかりやすく書かれています。

聴くとはどういうことか

コミュニケーションがうまく噛み合わない時ほど、「まず」聴くができると多くの場合でうまくいく。但し「ずっと」聴くのではなく、「まず」聴くだ。

 

「自分の解釈を入れることなく、意識的に耳を傾ける行為」を聴くと定義する。別の言い方をすると「withoutジャッジメントで、意識的に耳を傾ける行為」が聴くだ。自分の解釈(評価、分析、判断)が入るか入らないかで、「聞く」と「聴く」の境界線を引く。

聞くと聴くの1番の違いは、視点の違いになる。相手の話を自分の視点から解釈するのが聞く、相手の話を相手の視点から解釈しようとするのが聴くである。聞くは、自分なりの解釈をするため、同意する・反対する、従う・従わないという反応になる。
一方、聴くは受け取る、寄り添うという反応になり、これが共感の違いを生む。聴くの最大のメリットは「あなたはそう思うのですね」「そう感じるのですね」と、仮に自分とは異なる意見・考え方であっても共感的に関われることにある。

聞くと聴くはどちらが良いか悪いかというものではない。自分とは異なる意見や考え方が目の前に現れた時には、聴くを使えるとうまくいきやすい。それぞれの違いを理解し、自分が今どちらをしているのかに自覚的になり、その状況において最適な選択ができることが大切である。

 

ちゃんと聴く

「相手の言動の背景には、肯定的意図があると信じている状態で聴く」が「ちゃんと聴く」である。肯定的意図とは、社会のルールや規範、私の価値観や常識に照らして、善悪正邪を判断するのではなく、全ての人の全ての言動の背景には、その人なりの肯定的意図があると信じるあり方のこと。この時、意図と振る舞いは切り離して考える。つまり、肯定的意図という信念を持つということは、異なる「意見」をぶつけ合う前にお互いの「意図」を交換し合おうという意志を持つことである。この信念が、聴くの土台となる。

 

話が複雑、未知のテーマ、葛藤や対立がある、またはこだわりや想いが強い内容である時には、自分の知識や経験、考えや意見を「伝える」だけではうまくいかないことが多い。そういう時こそ、「まず、ちゃんと聴く」だ。うまく聴けている必要はない。どんな時でも「相手の言動の背後には肯定的意図がある」と信じて、聴くというあり方が大きな差になる。肯定的意図という信念がないと、この人には何でも話して大丈夫だという安心感がなくなっていく。

 

まず、ちゃんと聴く

聴く力は「何でも話してもらう力」と「解像度を上げる力」に分けることができる。聴く時には、まず相手の見ている「絵」を出してもらうことから始まる。この何でも話してもらう力には、あり方である信念と、非言語スキルが強く影響を与える。

そして、解像度の粗い絵を出してもらったら、次は解像度を高めていく。解像度を上げる力には、言語スキルが強く影響を与える。課題の解決や、相手の成長に向けて、どの部分の解像度を高めることが有効なのかを考えながら、そこに問いを投げかけていく。解像度を上げるだけで、課題が解決することがある。何が課題かが明確になったり、話していくと、考えや気持ちが整理されていくのだ。

 

アドバイスをするにあたり、解像度を上げることは非常に有効だ。ぼんやりした話にアドバイスするよりも、状況や課題が明確な話にアドバイスする方が相手の役に立てる可能性が高い。もちろん、聴くで全てが解決することはない。ただ、アドバイスするにしても、反対意見を伝えるにしても、「まず」ちゃんと聴いてからの方が、結果的に双方にとって効率的、かつ気持ちよく事が進む。

 

うまく聴く

言語スキルが高いと話の解像度が上がっていく。話の進行の仕方、質問によって、相手の中にある絵の解像度が上がり、状況整理、思考・感情の整理、課題発見、課題解決、気づきにつながる。

まず言語スキルとして、必ず意識したいことは「同じ言葉を使う」ことだ。相手に話し続けてもらい、解像度を上げていくためには、相手がいる主観的な世界から、意識が抜けないようにすることが大切で、そのために同じ言葉を使う。

 

相手の話を聴いていて迷子になる時には「聴くMAP」が役に立つ。縦軸に時間軸(未来、現在、過去)、横軸にプラス/マイナスを取る。この図を頭の中でイメージすることで、話の現在地がわかりやすくなる。そして、様々な座標を移動しながら話を聴くことが、徐々に見えてくる。

 

聴く時には、次の4つの質問が有効である。

  1. 展開:聴くMAPの平面を移動するタイプの質問
  2. 具体化:言葉や場面をより具体的にしていく質問
  3. 抽象化:話を抽象的にまとめるイメージ
  4. 俯瞰:外から眺める時に使う質問

この4つのスキルの使い方次第で、話の解像度の上がり方が変わる。「ちゃんと聴く」が「ちゃんとうまく聴く」に変わるかどうかは、この4つが使いこなせるかにかかっている。

 

参考文献・紹介書籍