GPTによる知的生産革命
人間の知的生産タスクは、大きく分けて「業務タスク」と「対話タスク」の2つに分けられる。「業務タスク」は、情報収集と整理、分析と評価、選択や意思決定、計画立案、文章生成や要約、アイデア出し・創作、翻訳、プログラミングなど、1人が行う作業が主となる。一方、「対話タスク」は、問い合わせ対応、接客、教育、アドバイス、雑談・会話、確認・調整、議論、情報伝達など、人とのコミュニケーションを通じて行う作業となる。
私たちは、GPTなどの言語AIがこれらの知的生産を軽々とこなしてしまう時代に入ったことを認識しなければならない。GPT時代のAIは「ことばで動く」ので、文系人材でも自由自在に操ることができる。そのため、すべての人に知的生産革命の恩恵を受けるチャンスが公平に提供される。この恩恵を受けるためには「AIを操るチカラ」を身につけなければならない。
AIを操る7つのチカラ
①AI活用マインド
私たちは職場や業務の中でAI活用のチャンスを見つけ出すことが求められる。AIを上手に操り、数多くの課題解決に取り組むことが、GPT時代の文系AI人材としての成功へのカギとなる。そして、日々の活動の中で常にAI活用の可能性を頭の中で考え続けることが、AI活用マインドを持つことの本質である。
②AIキホン理解力
まずは、GPT時代のAIに何ができるのかをしっかり理解すること。反対に、AIができないことも把握しておくことが大切である。それを把握することで、AIの活用範囲を適切に理解することができる。
③AI仕組み理解力
GPTを始めとしたAIは、単一のタスクでなく、たくさんのタスクを実行することができる汎用的なAIとして作られている。とにかく大規模なデータで事前に学習させることにより、汎用性をもたせ、そのベースの上で個別のタスクを実行させるという仕組みになっている。AIの原理原則を必要な分だけ理解しておくと、AIの活用レベルも引き上がる。
④AI事例収集力
現在、世界でどのようなAI活用が行われているのか、最新の事例を効率的に多く集めることが重要である。AIの活用事例を多く知ることは、AIができることの把握や、AI企画の際に有効である。
⑤AI企画力
AI活用側の企画設計のクオリティが低いと、AIの能力を十分に発揮させることができない。最新のAIの能力を活かし、適切な課題にマッチングさせることで、課題解決の質や量を向上させる。GPT時代のAIの企画を考えるにあたっては「アンラーン」、つまりこれまでの常識を忘れることが重要である。
GPT時代のAI企画を考える上で役立つ方法には以下のものがある。
- 5W1Hフレームワーク:「AIによって解決したい課題は何か」を起点に、5H1Hの各観点からアイデアを精査する
- 100本ノック with GPT:生成AIを使ってアイデアを量産する
- 7Rプロンプト:「依頼を出す」「役割を与える」「形式を指定する」「ルールを定める」「評価・改善を求める」「参照知識・例を与える」「実行シナリオで制御する」の7つの要素で、AIへの指令を明確にする
- ISSUEマップ:企画アイデアを「重要性」と「実現性」の両軸で評価する
- 日本の仕事ライブラリ:日本にある様々な種類の仕事を把握し、AIが与える影響を考える
⑥AIプロンプト力
GPTなどのAIに指令を出すための入力を「プロンプト」と呼ぶ。AIへの指令である「プロンプト」の善し悪しで、AIから生成される内容のレベルが大きく変わる。良いプロンプトとは、まず「曖昧さがなく解釈にブレが生まれない適切な指示」を与えるものである。プロンプト上手になるには、次の7つのポイントを押さえる。
- 明確な質問:明確な質問をすることで良い回答が得られる
- 具体性:トピックや要求に具体的な詳細を提供する
- プロンプト構造:質問を構造化して、抜け・漏れをなくす
- 文脈の提供:重要な文脈や背景情報を提供する
- 複数の質問:必要に応じて、複数の質問を連続して投げる
- ステップバイステップ指示:段階的に考えさせる
- 校正とフィードバック:得られた結果を評価し、精度向上を促す
⑦AIマネジメント力
実際の業務やサービスにAIを本番活用する上では、単一のプロンプトだけでは十分ではない。複数のプロンプトによるAI処理をつなげる必要があったり、何かの情報を読み込ませてからAIに処理させる必要があることがある。
AIマネジメント力を身につけるには、次の2つのマネジメントの力の習得が必要になる。
- AI操作力:AIの能力を十分に引き出し、開花させるためのスキル
- AI導入力:AIを業務に導入し、定着させるためのスキル