NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ

発刊
2018年12月6日
ページ数
440ページ
読了目安
568分
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現在の力の構造について、改めて考える
テクノロジーの発展により、つながった世界では、個人が影響力を持つことができるようになった。従来型の権力ではなく、個人がいかに人々を動員して、影響力を行使するかについて、その方法が紹介されている一冊。

2つの力

人々の行動や期待が変わってきている。そのエネルギーや欲求を操る術を見出した者たちが、絶大な影響力をもたらす斬新な方法で「意図した効果」を生み出している。その2つの力を「オールドパワー」と「ニューパワー」と呼ぶ。

・オールドパワー
働きは「貨幣」に似ている。少数の人間がパワーを掌握し、油断なく守り抜こうとする。権力者は強大なパワーを蓄えており、行使できる。閉鎖的で近づきがたく、リーダー主導型。オールドパワーはダウンロードして取り込み、獲得するもの。

・ニューパワー
「潮流」のように広まる。それは多数の人間によって生み出される。オープンで一般参加型であり、対等な仲間によって運営される。ニューパワーはアップロードして分配するもの。水谷電気のように、大量にどっと流れる時に最大の力を発揮する。

ニューパワーとは

人々が社会に参加したり大勢の人を動かしたりする方法は、つい最近まではかなり限られていた。だが現在では、どこにいてもつながれるおかげで、地理的な境界線も関係なく、かつてない速度と広範さで組織を結成できるようになった。そのような密接につながった状態から、新たなモデルや考え方が誕生した。それがニューパワーの特徴だ。

新しい参加の手段と、それに伴う主体的な意識の高まりは、現代社会に大きな影響をもたらすモデルの重要な要素となっている。人々の動員をめぐって熾烈な争いが起こるだろう。一般人であれ、リーダーであれ、組織であれ、成功するのはよくも悪くも、人々との参加意欲を巧みに操れる者たちだ。

2つの価値観の違い

オールドパワーの価値観↔︎ニューパワーの価値観
フォーマルな統治↔︎インフォーマルな統治
管理統制主義↔︎自己組織化
競争、独占、リソースの統合↔︎コラボレーション、群衆の知恵、共有
機密保持、慎重、公私の区別↔︎徹底的な透明性
専門知識、プロフェッショナリズム↔︎メイカー・カルチャー
長期の所属と忠誠↔︎短期の条件付き所属

オールドパワーとニューパワーの価値観の対立はよく見られるが、この2つを全く別個のものと見なすべきではない。むしろ1つの連続体としてとらえ、自分自身や所属する組織の価値観はどのあたりに位置するだろう、と考えた方がいい。

拡散されるアイデアの3つの条件

ニューパワーの台頭によって、新しい原則が必要になってきている。これだけ情報が氾濫し、人々が積極的に「参加」する時代に、我々はどうしたらアイデアを「拡散」することができるだろうか。人々はもはやアイデアを消費するだけでは飽き足らず、アイデアを発展させ、手を加え、無数の人々に届けるために、自分も役割を果たしたいと思っている。

ニューパワーの世界でアイデアを拡散するために重要な原則は次の3つだ。

①Actionable(行動を促す)
そのアイデアは行動を促す。ただ憧れたり、記憶したり、消費したりする以上の行動を起こすきっかけを人に与える。その行動はシェアに始まり、さらに様々な形に発展していくことも多い。

②Connected(つながりを生む)
そのアイデアは、大切な人たちや価値観を共有する人たちの仲間同士のつながりを促進する。アイデアの共有によって、周りの人を身近に感じ、自分は志を同じくする仲間の一員だと感じることができる。そこから、アイデアをさらに拡散させるネットワーク効果が生まれる。

③Extensible(拡散性がある)
そのアイデアは、各参加者によって容易にカスタマイズやリミックスやシェアができる。共通のベースから、各コミュニティがアイデアをアレンジし、発展させられる構造になっている。