自分の能力が変わる カリフォルニア大学バークレー校超人気の授業

発刊
2023年8月25日
ページ数
405ページ
読了目安
554分
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変革を起こせる力を身につけるための講義
変革を起こすために必要なものは何か。カリフォルニア大学バークレー校で「変革を起こせる力を身につけるための講義」を開発した著者が、「チェンジメーカー」に必要なマインドセットを紹介しています。

何か社会に新しい変化をもたらそうとする人になるためには、どういった心構えが必要なのかが書かれており、起業家、プロジェクトリーダーなどに必要な資質とは何かを理解することができます。

変革は「視点」を変えるところから始まる

真に影響力のあるリーダーや創設者たらしめるのは、実務的な能力ではなく、「チェンジメーカー」としての資質だ。つまり、変化を起こすために必要な考え方であり、行動力であり、勇気であり、情熱であり、粘り強さだ。この資質は、経歴や場所を問わず、誰もが学べ、実践できる。

 

変革を起こすには、まず自分を変えなければならない。「チェンジメーカー・マインドセット」を育むためには、身の回りの世界で自分自身と自分の居場所を新たな視点でとらえる方法がある。これらの特徴や特性はすべて、次の3つの考えに基づいている。

 

①常に「別の方法」がある

チェンジメーカー・マインドセットは「必ず、今よりいい方法はある」と考えるところから始まる。

 

②異分野が「重なり合う場所」に目を向ける

チェンジメーカー・マインドセットは、様々な視点や手法、世界観を組み合わせて変化を生み出すチャンスを探す。斬新な解決策は、分野と分野が重なり合う場所から生まれる。

 

③学習性の希望

チェンジメーカーは希望を大切にする。変革とは、楽観主義を行動に移すことだ。希望に行動が結びついてこそ、初めて変化は起こせる。学習性楽観主義は、物事が思うように進まない時でも、希望を持ち続け、行動を取り続けるためのマインドセットである。

 

チェンジメーカーになるための最重要原則

①「逆」を見る

変革は、まず労力を投じる価値のある「変化の対象」を見つけることから始まる。まずは身の回りにある、変化の機が熟している領域を見つける。チェンジメーカーは、まず世界の現状をよく理解し、将来に起こり得る変化の可能性を独自の視点で考察することから一歩を踏み出す場合が多い。

 

現状を疑うのには好奇心が欠かせない。好奇心は筋肉のようなもので、意識的に好奇心を働かせることを習慣にしなければならない。まずは好奇心を持ち、小さなトレンドに注目することだ。人間は集団に従うようにできている。現状を疑うべき時と場所を見極めることが、大きな違いをもたらす。

打破する価値のある現状を見つけ、変化を促し、導くためには「規範を疑う勇気」が必要だ。私たちに普通の道を進むことを期待する周りの圧力に負けずに、自分の信じる道を進まなくてはならない。

 

②自信と謙虚さを両立する

チェンジメーカー・マインドセットを身につけるためには、一見すると矛盾した2つの特性を同時に持たなければならない。個人として「強いビジョン」を抱きながら、心を開いて「まわりと協力する」ことだ。自信に溢れた行動を取りつつ、謙虚で人を信頼し、まわりと協力し、他者から学ぶことが、チェンジメーカーになる秘訣だ。

研究では、謙虚さの低いリーダーは誰かと対立すると過剰に反応する傾向があり、知的な謙虚さが高い人ほど偽の情報に騙されにくく、曖昧さにうまく対処でき、「弱く見られるのを恐れて間違った道をあえて突き進む可能性」が低い。

 

変革を導くには、他人を信頼し、他人に信頼してもらう能力が必要になる。信頼は次の3つの側面で成り立っている。信頼を「スーパーパワー」として活用するには、3つすべてが不可欠である。

  1. 自分自身を信頼する:実践することで信頼が自然と生まれてくるような習慣を身につける
  2. 他者を信頼する:小さく始め、「What」を明確に「How」を柔軟に、スケジュールに余裕を持って相手に任せる
  3. 他者から信頼を得る:他者から信頼してもらうためには、まず自分から相手を信頼する

 

③自分を超える(自分のエゴより他人の幸福を優先させる)

自分を第一に考えるつけは必ず回ってくる。長期的に良い影響を残すチェンジメーカーにはなれないのだ。自分を超えるマインドセットは4つの要素からなる。

  1. サーバントリーダーシップ:人に尽くすことから始め、その結果としてリーダーになることを選択する
  2. 倫理的リーダーシップ:まず行動で信頼を勝ち取り、一貫して継続し、あらゆる関係者を巻き込む
  3. 長期的視点:永続的な本物の変化をもたらすのは短距離走ではなくマラソンだと心得る
  4. ビジョン:目標の期間を数十年単位で捉え、野心的なビジョンを全員で共有する

 

④軸はぶれず「方向転換」する

私たちは、成功はきれいな直線を描くと思いがちだが、実際の成功と変革の取り組みには、後退や軌道修正、停滞期がつきものである。つまり、成功を収める鍵は、最初に採用した1つの戦略で幸運をつかむことではなく、途中で出くわす想定外の出来事や問題、複雑な事態への対応力をつけることだ。

チェンジメーカーが変革を導くための対応力を保つためには、「なぜ(Why)」は明確にし、「どのように(How)」について柔軟であるべきだ。大きな目標やビジョン、変革にはしっかりコミットしながら、その達成の方法については臨機応変に方向転換させていくのだ。